全国一斉「水辺で乾杯」実態調査2024
毎年開催している「水辺で乾杯」今年もご参加ありがとうございました!2万人を超える方々と水辺で同じ時に乾杯を行う圧巻のイベントになりましたが、その実態はどうなのか?今年はアンケート調査を実施したのでその結果を報告いたします。
水辺で乾杯2024はどうだった?
新たなキャラクター、KANちゃんPAIちゃんを迎え、実施された今年の水辺で乾杯。

今年は全国で260箇所、21,292人のご参加がありました。(2024年12月31日現在、264箇所に増えています)
最多の参加者を数えた前年度に比べて、人数は減ったものの、開催箇所は増加してます。

乾杯投稿から見えてくるもの
今年も例年通り、公式のキャンペーンサイトから、乾杯実施の報告を投稿でしていただけるようにしておりました。どんな方々が乾杯されていたのか見てみます。
全国各地の県庁の職員さんたちも水辺で乾杯

各地で、水辺を盛り上げる地域主体の方々が、水辺で乾杯を実施
かわまちづくり大賞受賞エリアも乾杯
運河でも、プールでも水辺で乾杯
まさにこれからが期待のエリアも水辺で乾杯
今年通水100周年を迎える、荒川放水路。今年の荒川の水辺で乾杯はメモリアルイヤー。 国交省水局ミズベリング担当職員さんたちも水辺で乾杯
さまざまな思いをのせて、水辺で乾杯の投稿がありました。
乾杯アンケート
ではどのような方々が水辺で乾杯に参加されているのか?今年は以下の通りの方法で、アンケートを実施しました。
水辺で乾杯について「教えてちょうだい」アンケート2024
- アンケート実施期間 2024年7月1日〜7月31日(期間30日間)
- アンケートの形式 WEBアンケート(MICROSOFT FORMSを利用した)
- アンケートの対象者
1.「水辺で乾杯」の乾杯投稿を公式WEBサイトから投稿した者に完了画面で周知した
2.「水辺で乾杯」をFACEBOOK、Xで投稿した者にSNSの機能でアンケートの協力依頼を行った
3.FACEBOOK広告でミズベリングに関心があるものとその友人の範囲で周知を行った
- 設問数 15問
- 有効回答 166
- 平均回答時間 6:20

どのような属性の方々がアンケートに回答いただいたのか、という問いに対して、行政関係者の総数は全回答の半分に満たず、それ以外のセクターの回答者が多いことがわかった。一番多かったのが一般市民の回答者。
水辺で乾杯に参加した回数を聞いたところ、意外な結果となった。
初めて参加するという方が多いという結果だった。水辺で乾杯が常に固定しているコミュニティの方々ではなく、新たに参加する人が多いという結果に、水辺で乾杯を主催する側としては勇気づけられる結果となった。
どのような動機で参加されているかも聞いてみました。
初回の参加は地域活動の一環で、という回答が多く、消極的な理由での参加者は10%にとどまりました。
参加意識の変化についてはポジティブな結果が得られました。
参加意識の変化を聞いたとこり、当初は批判的や受け身な姿勢だった方々が、参加を通して主体的意識を持つように変化していることがわかりました。
水辺で乾杯にどのような価値があるかを自由回答で回答していただきました。それをChatGPT-4oを利用して、分類したところ、楽しさ、環境意識の再認識、地域交流の3つの価値があることがわかりました。
共感のポイントについて選択回答で答えていただきました。
上記は水辺で乾杯のどの部分に共感するかを複数回答で答えていただいたものです。事務局側で用意した設問に満遍なく回答をいただけている一方で、一つだけ「将来について色々と話せる機会」については、少ない結果となりました。これは将来をワイワイ話せる場にはなっていないという示唆的な結果でもあります。また情報発信についても改善が必要かもしれません。
一方単独回答の場合は、やや傾向が異なりました。

複数回答の場合よりも、より集まれる機会であることや、河川敷のいいところを共有できることに回答が集まり、共感が集まった。一方、将来についていろいろと話ができる機会であるというところは、共感があまり得られれていないことがわかりました。
認識の変化について
水辺で乾杯を開催後、河川について知識が増えていることがわかった。
地域課題についてよくご存知の方が集まるイベントであることがわかるとともに、参加によって知識や興味が増えたという方が増えていることが特徴として挙げられます。
水辺で乾杯で増えたものを自由記入で回答いただいたものをChatGPT-4oで分類した結果、「人とのつながり」が最も多いという結果が得られた。
水辺で乾杯にご意見をいただいたところ、発展に対する期待が寄せられました。各地域での今後のミズベリング活動の発展のきっかけとして、期待を寄せられていることがわかります。
このほか、乾杯投稿に直接かき込んでいただく形のアンケート調査、「〇〇のつながり」の結果は以下のとおりでした。
地域とのつながり、自然とのつながりなどに期待が集まりました。一方で、水辺で乾杯アンケートで「増えたもの」として圧倒的な結果だった、「人とのつながり」に関することは、大切にしている〇〇ではやや少ない結果となり、「大切なもの」と「実際の結果」にやや乖離があることがわかりました。これは、「人とのつながり」が評価指標としてあまり評価されていないことかもしれません。
「水辺で乾杯」とは何なのか?
水辺で乾杯とは、行ってみると河川や水辺、地域に対する知識が増え、認識の変化が生まれるイベントであることがわかりました。また、行く前より、人のつながり、地域のつながりなどが増える機会であることもわかりました。
河川や水辺に対するロジカルな認識ではなく、エモーショナルな価値を生み出す機会であり、楽しさが水辺や河川への人々のエンゲージメント(関与)を生み出すイベントであることがわかりました。
人のつながりがきっかけとなって、川や自然、そして地域への深いエンゲージメントが増えていくことを期待できるような内容を得ることができました。
皆様ご参加、またアンケートへのご協力ありがとうございました。
この記事を書いた人
ミズベリングプロジェクトディレクター/(株)水辺総研代表取締役/舟運活性化コンソーシアムTOKYO2021事務局長/水辺荘共同発起人/建築設計事務所RaasDESIGN主宰
岩本 唯史
建築家。一級建築士。ミズベリングプロジェクトのディレクターを務めるほか、全国の水辺の魅力を創出する活動を行い、和歌山市、墨田区、鉄道事業者の開発案件の水辺、エリアマネジメント組織などの水辺利活用のコンサルテーションなどを行う。横浜の水辺を使いこなすための会員組織、「水辺荘」の共同設立者。東京建築士会これからの建築士賞受賞(2017)、まちなか広場賞奨励賞(2017)グッドデザイン賞金賞(ミズベリング、2018)