2024.03.08

【イベントレポート1】MIZBERING INSPIRE FORUM 20231215 新領域を解き放て!

2013年のスタートから10年を経た2023年12月15日に開催されたMIZBERING INSPIRE FORUM2023のテーマは「新領域を解き放て」。河川空間の活用が進んだこの10年を踏まえ、これから先のステージに向けてミズベリングの役割を考える場ということでしょうか、これまでとは一味違う、水辺以外も巻き込んだ活動が多く紹介されました。以下、当日の様子から未来の水辺を一緒に妄想していきましょう。

2013年のスタートから10年を経た2023年12月15日に開催されたMIZBERING INSPIRE FORUM2023のテーマは「新領域を解き放て」。河川空間の活用が進んだこの10年を踏まえ、これから先のステージに向けてミズベリングの役割を考える場ということでしょうか、これまでとは一味違う、水辺以外も巻き込んだ活動が多く紹介されました。以下、当日の様子から未来の水辺を一緒に妄想していきましょう。

青づくめの水辺の妖精の登場に会場騒然

会場は東京の新しい水辺スポットのひとつとして人気の高い竹芝エリアにある東京ポートシティ竹芝ポートホール。今回のフォーラムで最初に会場及びオンライン参加者の度肝を抜いたのはミズベリングプロデューサーの山名清隆さんとともに司会を務めた国土交通省水管理・国土保全局の木村ほのかさんのいでたち。

国土交通省水管理・国土保全局の木村ほのか氏(左)とミズベリングプロデューサー山名清隆氏

ミズベリングのイベントでは真っ青な全身タイツのブルーマンがしばしば登場していますが、この日の木村さんは青く輝くショートヘアに青いブラウス、濃い青のストッキングに薄い緑のスカート、白い靴とまるで水辺の妖精。

 

イベント直前に環境省から出向、ミズベリング歴はわずか3カ月という木村さんですが、すっかり水辺の魅力にとりつかれてしまったそうで、なんとこのスタイルで山手線に乗って会場まで出勤してきたのだとか。車内の人達の驚きの様子を想像すると思わず頬が緩みました。

胎動からウェルビーイングへ。水辺の10年を振り返る

青の衝撃からスタートしたフォーラムで最初に語られたのは水辺のこの10年。国土交通省水管理・国土保全局の舛田直樹さんと株式会社水辺総研の滝沢恭平さんのかけあいによる振り返りです。

国土交通省水管理・国土保全局の舛田直樹氏(左)、ミズベリングディレクター滝沢恭平氏(右)

まず、胎動期であった2013年には水辺とまちのソーシャルデザイン会議、ミズベリング東京会議が開催、ミズベリングがスタートしています。

ただ、この時点では「前向きに創造的な議論をしましょう」という国交省からの呼びかけにミズベリングプロデューサーの山名さんが「河川空間でそんなこと、していいの?」と思ったほど水辺が遠い存在だったのも事実。隔世の感とはこういう変化をいうのでしょう。

 

2014年にはあの名コピー「川ろうぜ!」が爆誕、2015年には今も続く「水辺で乾杯」がスタートしています。2014年~2018年頃までのやってみる期では2018年のグッドデザイン賞金賞受賞も忘れられないできごとでした。

 

東京五輪前から2020年にかけてはこの日の会場となったポートシティ竹芝をはじめ、東京ミズマチ、タグボート大正、長門湯元温泉などと日本のあちこちでさまざまな施設が登場。水辺を使う気運が高まった時期ですが、残念なことにコロナの襲来で水辺も冬の時期を迎えることになりました。

 

しかし、2023年の制限解除以降、ミズベリングは広がりを見せていると舛田さん。

ピンチそのものをチャンスにしていく時代

「社会全体としてネイチャーポジティブ(自然再興)が重要になっており、そこに水辺ポジティブが加わることはウェルビーイングに大きく寄与します。これからは川の内外に手をいれ、生物多様性、防災問題などさまざまな観点で水辺を考えていくことになる。コロナで停滞しましたが、それはピンチではなくチャンスだったのではないかと思います」。

川沿いには共通性がある、だから成り立つ「流域関係人口」

続いてはソトコト編集長の差出一正さんによるINSPIRE TALK「水辺の関係人口」。編集者が一番忙しい最終校了日に職場を抜け出して登壇してくださった指出さんは釣り大好き人間でほとんど魚のことしか考えていないと自己紹介。

ソトコト編集長 指出一正氏

関係人口という概念の提唱者の一人でもある指出さんは全国のプロジェクトに関わっており、そのうちには水辺、流域を中心にした関係人口構築を意図するものも多いのだとか。

 

「川は古来、情報や人間関係のハイウェイ。ゴシップや遊び方なども川を通じて広まっており、川沿いにはいくつもの共通項があります。そこで遠くから来る人を対象にするのではなく、川沿いで繋がろうというのが流域関係人口です」。

地域に関わることが面白いと言う視点

福島県浜通り・相双地域の「ふくしま未来創造アカデミー」、山形県小国町の「白い森サスティナブルデザインスクール」、高知市の「エディット・カガミガワ」、山形県置賜地域の2市2町で作る「やまがたアルカディア観光局」などさまざま事例が語られたのですが、いずれにも美しい水景の写真が添えられていたのが個人的にはツボでした。

 

それ以外にも2歳の頃から子どもを連れての釣行してきたお父さんとしてのミズベリング子育て論や水辺の関係人口のサスティナブルな視点についてなど会場が頷く話が続いたのですが、最後にひとつだけ、多くの人が深く納得していた話をご紹介しましょう。

ウェルビーイング=ご機嫌な状態

それはウェルビーイングという言葉は言い換えればご機嫌であるということ。最近よく聞くようになったウェルビーイングですが、適切な訳語がなく、なんとなく分かったような分からないようなというのが多くの人の本音でしょう。

機嫌な状態は編集者の超超意訳で言うとウェルビーイングのことである

でも、それをご機嫌な状態と解すれば、すっと腹落ちします。しかも、「ご機嫌な状態は伝わります」と指出さん。楽しい水辺からご機嫌な気分がさざ波のように広がっていく感じでしょうか。幸せそうな風景が目に浮かびます。

ご機嫌な状態の説明をしているところにリンクします。

記事は第二弾に続きます

この記事を書いた人

中川寛子

住まいと街の解説者。(株)東京情報堂代表取締役。オールアバウト「住みやすい街選び(首都圏)」ガイド。30数年不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくりその他まちをテーマにした取材、原稿が多い。主な著書に「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)「解決!空き家問題」(ちくま新書)等。宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

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