2024.03.08

【イベントレポート3】MIZBERING INSPIRE FORUM 20231215 新領域を解き放て!

2013年のスタートから10年を経た2023年12月15日に開催されたMIZBERING INSPIRE FORUM2023のテーマは「新領域を解き放て」。ミズベリングはさらにどのような新領域を切り開くのか?前回、前々回に引き続きイベントの様子をレポートします。

パリ、ニューヨーク、世界の水辺は凄かった

イベントはいよいよ最後のパートに。ここで新たに登壇したのはニューヨーク在住の建築家・重松健さんと国土交通省水管理・国土保全局長の廣瀬昌由さん。そこに山名さん、ミズベリング事務局の岩本唯史さんも加わり、語られたのは世界の水辺事情。

最初のお題はパリ。2024年の夏に開かれるオリンピックでは市内中心を流れるセーヌ川で開会式が行われる予定で、動画も公開されています。会場でも流された動画はとてもインパクトのあるもので、まだ見ていない人はぜひ。河川の使い方の概念が変わります。

ちなみにパリでは100年前の1924年にもオリンピックを開催していますが、その時のセーヌ川は泳げない状態。そこで今回は泳げるようにしようと水質改善に取り組み、100年ぶりに泳げるセーヌ川を取り戻したと山名さん。パリに住む人には一番うれしい変化かもしれません。

 

続いて多くの図とともに重松さんから説明されたのは2012年のハリケーン・サンディで大規模な高潮被害を受けたニューヨークの南先端部を対象にした新しい都市計画「Big U」。16キロに渡る⽔辺に堤防を設ける計画ですが、これが単なる⼟⽊⼯事、堤防に終わらないのが凄いところ

「街の価値を上げるような工事として位置づけられており、川沿いに張り出した遊歩道、水辺の劇場など災害対策でありながら経済対策でもあり、防災しながら日常の生活のレベルを上げようという計画です」と重松さん。

 

そのため、道路、港湾、公園その他、役所内のいろいろな部局から予算が出ており、その結果として街を⼤きく変える⼯事になっているといいます

 

役所内で柔軟に予算をやりくりするだけでなく、民間とも連携、商業施設の収益で公園を維持するような仕組みを作るなどのやり方も見習いたいところ。作られた新しい施設が地域の人達にとっての場所になるために何年もかけて地元と対話しながら計画されてきたという話、点としてではなく面として開発しているという話など重松さんの説明には深く、深く頷かされました。

 

イベントの最後の〆は廣瀬さんによるこれからの水辺について。水辺に関わる人の笑顔のすばらしさ等いくつかありましたが、一言でいえば「もっと自由に、大胆にやってよい」。この言葉を支えに今後、水辺とそれ以外の公共空間がさらに日常に近しいものになっていくことを期待。次回はその変化を聞きたいものです。

国土交通省水管理・国土保全局の廣瀬昌由局長

ちなみに途中でブルーマンが登場、水辺の10大ニュースが発表されましたが、それについては文字数の関係で省略させていただきます。ブルーマンさん、ごめんなさい!(終)

 

ミズベリング・インスパイア・フォーラム2023の様子は、見逃し配信をしています。
以下YOUTUBE埋め込みからどうぞ
終了後懇親会の様子。今年もたくさんの交流が生まれました
ミズベリング10年のコメントを来場者の皆さんからいただきました。

この記事を書いた人

中川寛子

住まいと街の解説者。(株)東京情報堂代表取締役。オールアバウト「住みやすい街選び(首都圏)」ガイド。30数年不動産を中心にした編集業務に携わり、近年は地盤、行政サービス、空き家、まちづくりその他まちをテーマにした取材、原稿が多い。主な著書に「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)「解決!空き家問題」(ちくま新書)等。宅地建物取引士、行政書士有資格者。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。

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