2020.02.25

【イベントレポート】MIZBERING FORUM 2020220 〜川ろうぜ!突き抜けようぜ!

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新型コロナウィルスの影響で開催も危ぶまれましたが、関係者の努力と寛容によって無事開催の運びとなったミズベリングフォーラム2020220。その速報レポートをお届けします。動画の速報レポートはこちらでご覧ください!

会場は竹芝ピアホール

会場はいま最も熱い水辺スポットの一つである竹芝エリア、竹芝ニューピアホール。オープニングムービーとともにキックボードに乗って流れるように登場したのは本日の司会、ミズベリングプロデューサーの山名清隆、東武鉄道まちづくり推進統括部浅草・ミズベリング開発担当の中島結香さん。

司会の山名と中島さん

水辺でたくさんの新しい動きが起こっている

最初からトップスピードではじまったのはミズベリング事務局岩本の「ミズベリングトレンドレポート」。

全国の新しい水辺アクションを、「新水辺続々オープン!」「エクストリーム系水辺の夜明け」「大阪力」「水辺&メディアの力」「かわまちづくり大賞とミズベリング」「トライアンドエラー2019」「SUPでまちを盛り上げよう」「アーバニズムの夜明け」「人材育成」「開業間近」という10の切り口で紹介。たくさんの新しい水辺アクションが披露されましたが、ここではほんの一部だけご紹介(レポートはウェブで公開予定ですのでぜひチェックしてください)。

水辺のトレンドを10のキーワードでレポート

「水辺&メディアの力」では、ブース出展もしてくれた女性向け旅行誌である「CREAトラベラー」編集部の深尾さんがステージに。これまでなかなか通らなかった水辺の企画が、今年になって通るようになったというお話。女性誌にも水辺の盛り上がりが届いていることを実感するエピソードでした。

そして「大阪力」。全国的な知名度となった北浜テラスなどの事例では、13年ごしで実現した船寄せ場や、ギリギリアウトを狙った水上に浮かぶレストランTUGBOAT TAISHOなどの動きが。「リバーメディア元年」は、ナショナルジオグラフィックが渋谷川を使ったプロモーションをするなど、水辺自体がメディアになるという動きについて。「アーバニズムの夜明け」では、タクティカルアーバニズムを推進している泉山さんのご挨拶。水も都市も道路も垣根を越えて新しい動きが始まっています!

水辺のイノベーターズ饗宴

ピッチセッションは7人の水辺イノベーターのプレゼンテーションです(登壇予定だった国交省道路局の祢津様は急遽欠席に。祢津さんのご活躍については先日公開したインタビューをご参照ください)。

●堤防が笑顔の場所になる 〜スノーピークやすらぎ堤の挑戦

トップは株式会社スノーピークやすらぎ堤事務局の荒牧翔太さん。
新潟市内を流れる信濃川の河原を賑わいと笑顔の場所に変えていったお話です。河原の堤防は、災害と生活を隔てるだけのものではなく、川と街を近づけるものでもあると気づいた荒牧さん。自ら率先して信濃川の前でCAMPをしたり、テントをはって会議をしたり、手ぶらでCAMPできるイベントの開催をしたりと続けているうちに、出店者や地域の人たちがどんどん参加してくれたといいます。水上コンサートや就活イベント、そして結婚式まで、気づけば地域の人たちが集まり、賑わいがあふれる笑顔と憩いの場所になったという、まさにミズベリングらしい川辺のお話でした。

株式会社スノーピークやすらぎ堤事務局の荒牧翔太さん

●ランドスケープインパクト!  株式会社E-DESIGN 忽那裕樹さん

続いて登壇は、これまでのミズベリングでも度々登場していただいている、株式会社E-DESIGN代表取締役忽那裕樹さん。ナニワのランドスケープ”アキンド”としてさまざまなオープンスペース、パブリックスペースの環境づくりと仕組みづくりされてきました。

“ランドスケープインパクト!”で会場を沸かす忽那裕樹さん

北浜テラスをはじめとする水都大阪の偉大なる活動を駆け足でたどりながら、水都大阪パートナーズという中間支援組織をつくり、大阪の様々な場所・団体の水辺活動にきっかけと支援を与えてきたことが伝わる力強い発表です。

キーワードは、”ランドスケープ(いい発音で)インパクト!”。
「20年後に御堂筋の全てを公園にする」というとても明快で魅力的なビジョンも提示されていました。
忽那さんといっしょに水都大阪を牽引してきた1人である筋原章博区長もご登壇。トップである区長が「ギリギリアウトを狙え!」と発信することのインパクト。まさに大阪力という時間でした。

港区長の筋原章博さん

●ギリギリセーフで社会を守る。 国土交通省三橋さゆりさん

そして国土交通省利根川上流河川事務局長三橋さゆりさん(ダムカードブームの仕掛け人でもあります)の「利根川危機一髪」。

自身で撮影された令和元年台風第19号翌日の利根川の様子を語る三橋さん

発表は昨年の台風19号、正式名称は令和元年台風第19号が過ぎ去った後の利根川の衝撃的な映像からスタートしました。三橋さんご自身が撮った600mの川幅いっぱいにごうごうと流れる川。利根川は流域面積が日本一。つまりもっとも広い面積から集まった雨が流れ込むのが利根川だということ。
19号の雨により、堤防を越える11mという水位予測が出て、流域自治体の首長とのホットラインは200回を越えたそうです。幸いにも洪水の予測は外れましたが、計画高推移を越えたというのは衝撃的な事実であったことを臨場感たっぷりにお話くださいました。
なぜ利根川は守られたか。それは堤防を広げる引堤、高くする築堤、渡良瀬流水地、そして12のダム。つまり治水は70年間続けられてきたこうした土木のあわせ技によるものであり、今回もそのあわせ技で「ギリギリセーフ」を保ったという、現場の迫力をそのままもってきた説得力のあるお話でした。

●星野リゾートの水辺への取り組み 株式会社星野リゾート石井芳明さん

星野リゾート石井芳明さんからは、山口県長門湯本温泉での取り組みについて。元気がなくなっていた温泉街の再生計画を市から委託され、マスタープランをつくり、地域住民ともたくさんの会議を重ねて、2020年3月にオープンする予定の新しい川辺のまちづくりです。どんどん人を巻き込んでいった経緯が特徴的だったと石井さんがおっしゃるように、地元の若者や、出向できていた経産省の職員も霞が関を辞めてこの長門に移住するなど、ここに関わることで人生が変わっていく人が多いという面白いお話。ミズベリング的には川床や沈下する川上の飛び石歩道など水辺施策も見逃せません。

長門湯本のプロジェクトを語る石井芳明さん

●霞が関の働き方改革を進める! 国土交通省都市局今佐和子さん

続いて今佐和子さん。国交省都市局で、「車のための空間から人のための空間」に向けて取り組んできた今さん。マチミチ会議の開催や、NYタイムズスクウェアを人中心の空間に変えた張本人、ニューヨーク市の前交通局長であるジャネット・サディク=カーン氏の講演会の企画など、携わってきたアクションを紹介しつつ、「幸せな働き方を探して」というテーマでのプレゼンテーション。

産休中に参加してくださった今佐和子さん

ちょうど一週間前から産休中の今さんは、”仕事と育児で疲弊したくない”ということで、人事制度をフル活用、時短勤務、フレックス、テレワークを駆使して、クリエイティブに働くというチャレンジをしています。
これまでの霞が関のマナーとはすこし違う働き方は、ときに上司から「ギリギリアウト!」と叱られることもあるそうですが、
昨年のミズベリングでの筋原区長の「ギリギリアウトを狙え!」に影響されてしまった今さんは、これからも「ギリギリ」を狙うとのこと。こうした新しいチャレンジができるのは、協力してくれるチームのメンバー、そして組織の寛容さがあるからだ、と今さんは言います。霞が関でもすこし緩やかで健康的な働き方が広がっていくことを予感させてくれる、ワクワクする発表でした。

●イーストベイエリアの水辺を使い倒す 竹中工務店まちづくり戦略室 高浜洋平さん

東京タワーや東京ドーム、あべのハルカスなどの建設で知られる竹中工務店さんは、今年でなんと創業410年。建築からまちづくりへという視点で2017年に発足されたまちづくり戦略室の高浜洋平さんが登壇し、「イーストベイ東京プロジェクト」についてのお話を。
都心部から極めて近いのにまだ未活用空間がたくさんあり、埋め立てられたたくさんの島々で成り立っているイーストベイエリアには、とてつもないポテンシャルがあると高浜さんは言います。木と水の町である木場周辺での「木のまちプロジェクト」、門前仲町駅近くではじまっている「ふかがわ川床プロジェクト」、本社そばの水辺沿いにある公園や緑道を使った「健康緑道プロジェクト」、将来の舟運ネットワークを見据えた「都市型自動運転船プロジェクト」などを通して、イーストベイの水辺変革に取り組んでいくというお話でした。

イーストベイ東京プロジェクトについて話す高浜洋平氏

“Change is the only constant”  山崎満広さん

水辺イノベータのプレゼンテーションに続いて行われれたのはインスパイアトーク。ポートランド開発局や、デザインコンサルティングファームのZIBAデザインなど、グローバルなイノベーションデザインの最先端で仕事をされてきた山崎満広さんが見ている世界の変化、そして日本の可能性についてのお話です。

世界の変化はますます加速していること、しかし日本はとにかく遅く、遅れているという危機感がまず共有されます。

団塊世代からZ世代へ。
ハンコからブロックチェーンへ。
ヒエラルキーからネットワークへ。
コントロール(管理)からエンパワー(能力開花と権限付与)へ。
プランニング(計画)からエクスペリメント(実験)へ。
プライバシー(気密性)からトランスペアレンシー(透明性)へ。
プロフィット(利益)からパーパス(目的、ミッション)へ。
プロモーションからクリエイティビティへ。

世界で起こっている変化を、短い言葉で叩きつけます。では日本はもうダメなのか。それは違うと山崎さんは言います。

日本人は日本の素晴らしさに気づいていない。もっともクリエイティブな都市は日本であり(Adobe社の調査)、ソフトパワーランキングもトップクラス(雑誌MONOCLEの2019年ランキング)。外国人は日本が大好きだと。失敗してもいい環境、寛容さと心理的安全をみんなで確保すればいい。”Change is the only constant” 。この世でたった一つの真実は変わり続けることだけだと、明るく、力強く呼びかける山崎さんでした。

山崎満広さん

●竹芝から見える水辺の未来ーWATERS竹芝

続いて竹芝エリアマネジメント事務局長の田中敦典さん、東日本旅客鉄道株式会社東京支社事業部、首都圏えきまち創造センターの花倉伸治さんが登壇し、会場にもなってる竹芝エリアがどう変わっていくかについてのお話。

JR東日本の花倉伸治さん

最寄りの浜松町駅周辺では、世界貿易センタービルや東芝ビルの建て替えが進行中で変貌の真っ只中。山手線という陸の動脈に、隅田川までつながる水の動脈、伊豆七島への海路と、様々な流れの結節点でもあること。防潮堤があり水面が安定した水辺に面しているこの場所ではじまる新しい場所は、WATERS竹芝と命名されました。
水辺的な注目点はここに桟橋と干潟をつくるということ。環境・水質・生物調査を行い、絶滅危惧種指定されているミミズハゼやアベハゼなどの生息なども確認、仮設桟橋設置実験や近隣の高校との授業など、様々な社会実験も重ねてきました。新しいプロジェクトに取り組むと必ず社内に現れる、「費用対効果マン」や「どこで回収するんだマン」との調整も乗り越え、実現にこぎつけたとのこと。
興味深かったのが、一見効果が見えにくいと思われる小さな社会実験を続けていくことで、社外への宣伝に使えるということで社内の関心が高まったり、若者を相手にしている採用担当が敏感に反応してくるという話。前の山崎さんの発表にもあった「計画より実験」の意味が会場にも伝わった瞬間でした。

アイディアセッション:水辺で変わる人と地域

刺激的だったそれぞれの発表の後はアイディアセッション。
セッションの前に、ミズベリングチームの中川より”水辺に関する意識調査”の結果をシェア。

「水辺が好きか?」については86.1%が好きと回答。「水辺のイメージ?」は、”落ち着く”が86.1%と、水辺の癒やし効果が確認できました。そして「100円のコーヒー、水辺だったらいくらまでなら買う?」は平均320円と、3倍以上の大きい効果が。
いっぽうで「初デートが水辺だったら?」には、”特になにも思わない”が33.8%と、水辺は恋愛にはあまり効果がないのかもしれないという疑念も…。

前方にあったステージから、会場中央に車座にセットされたセッションスペースには、山名、岩本などミズベリング事務局チームに加え、国土交通省河川環境課ミズベリング担当の吉村様も登壇。吉村様は、最初にミズベリング担当になったときは、「正直、おれはなんというところに来てしまったんだ」と愕然としたそうですが、だんだん変わっていったという話で会場も笑いと納得の雰囲気。「昔は川しか見ていなかったけれども、人を見るようになった」とご自身の変化を語られていました。
水辺とミズベリングの活動を通して変わっていく人と地域。星野リゾート石井さんの発表でも話題になった泉さんもマイクを握り、ちょっと助けに行くくらいのつもりだったのが、現地のシェアオフィスに投資するまでの関わりになって、変わっていったというお話。登壇者の方たちが話してくれたことと結びつきながら、ミズベリングを通しての「変化」と「変革」について対話が交わされました。

盛り上がるアイディアセッション

水辺を通しての変革がいたるところで起こり、それが可視化されることによってまたその輪が広がっていく。ミズベリングのこれまでの歩みを再確認できたセッションになりました。

会場では、ブース出展も盛り上がっていました。昨年の台風被害でも活躍した国交省の緊急災害対策派遣隊TEC-FORCEの活動を紹介するたくさんの写真パネルが会場を囲み、アウトドアブランドのスノーピークさんは、信濃川のやすらぎ堤で使用しているセットなど水辺の遊びの提案を。ウォーターズ竹芝の展示や東急不動産さんが持ってきてくれた竹芝ウォーターフロントの大きな模型。水辺の特集で誌面をつくった文藝春秋さんの『CREAトラベラー』さんのブース。そして珈琲を出してくれているのは雑草コーヒーさんなど。

会場の様子。国土交通省TEC-FORCEの活動が紹介されている写真パネル。

新型コロナウィルスの関係で開催も危ぶまれましたが(残念ながら交流会は縮小になりました)、”ギリギリセーフ”で開催の運びとなった今回のMIZBERING FORUM 2020220。官民が混ざり合いながらのイベントは、官民それぞれが、成し遂げてきた水辺での様々な試みと成功、そして新しい可能性を来場者の皆さんとともに共有できた場になりました。

また次回のフォーラムでお会いいたしましょう!

この記事を書いた人

淵上周平

1974年神奈川県生まれ/ふたご座。大学では宗教人類学を学び、日本各地のお祭りや聖地を巡る。出版社にて編集者、その後WEBベンチャーへの参画、地域活性・社会起業のWEB媒体の編集執筆業などを経て現在にいたる。株式会社シンコ代表。ほかに株式会社エンパブリック取締役など。

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