2023.07.31

「日本一の水路のまち」を目指す潮来で、水辺の副業人材を大募集!

―茨城県独自「副業協力隊」制度で、県外人材の登用により水辺の賑わい拠点作りを目指す。関係人口増加とプレイヤー創出となるかー

茨城県潮来市でSUP(Stand Up Paddle Board)などの水辺アクティビティを展開する一般社団法人いたこミズベデザイン(以下、いたこミズベデザイン)は現在、茨城県の「副業協力隊」(“企業連携型”地域おこし協力隊)制度を活用し、水辺の賑わい拠点づくりのプロジェクトマネージャーを募集しています

「日本一の水路のまち」を目指す潮来市

「水郷潮来」を掲げる潮来市は、茨城県東南部に位置し、北は行方市、南は神栖市、東は鹿嶋市、西は千葉県香取市に面しています。東部は北浦に面し、西部は霞ヶ浦と北利根川、南部は外浪逆浦というように、水辺に囲まれた地勢です。人口は2万6,652人で、生産年齢(15~64歳)人口比率は55.1パーセント、高齢化率(65歳以上)は34.7パーセントとなっています(2023年7月1日現在)。

潮来市のウェブサイトより

同市は、2022年1月に「潮来市日本一の水路のまち基本計画」を策定しました。古代東海道における鹿島神宮への経路として、近・現代に至るまで陸上や海上交通の要衝として栄え、「水郷潮来」として知られる同地。広域的な「水路」に着目し、地域資源である水郷地形を活かした「舟運の再生」や「船着き場の整備」、「花のある水辺づくり」など、「日本一の水路のまち」づくりを市民共同・協働で進める、としています。

いたこミズベデザインのビジョン「水辺の日常を未来に」の実現へ

このような潮来のまちに魅せられ今年1月、東京から移住してきた4人がいたこミズベデザインを立ち上げました。「水辺の日常を未来に」をビジョンに掲げ、SUPで鹿行地域の水路を巡るツアーを企画・運営しています。興味深いのは、4人全員それぞれ別の仕事を持っているということ。つまり、いたこミズベデザインへは副業として関わっており、週末を中心に活動を行っています。

メンバーの4人。写真は茨城県が主催する、ローカルアクション・事業の立ち上げを促進するプロジェクト「STAND IBARAKI」最終公開プレゼンにて、MVP賞「STAND IBARAKI賞」を受賞した時のもの

代表理事の横地綾人さんは「私自身が最も大事にしていること」として、「地域課題を自分ゴトに」を挙げます。東京の経営コンサルティングファームに在籍している横地さんは、中堅中小企業の事業再生や経営戦略を担当していますが、暮らしの場である潮来においては、「そう遠くない未来に、自転車やSUP、マリンスポーツのベース拠点をつくり、魅力ある水辺で自分のための時間を過ごせる、そんな日常と文化づくり」の活動を続けています。

次のステップに向けて、アクションができる知恵袋人材の募集

そういった活動のなかで、多くの人が集い水辺や地域一帯について知り、さらに一緒に楽しみを深めるための拠点の必要性を痛感したいたこミズベデザインは、新たにこの「水辺拠点づくり」に挑戦することを決め、実際のアクションにも協働いただきながら知恵袋として伴走いただける人材を募集することにしました。

業務内容は、これまでいたこミズベデザインが培った地域内外とのネットワークを活用し、地域のステークホルダーとの関係性を深めて拠点づくりを推し進めるために必要な実験・イベントを企画し、一緒に設計していくこと。そのほか、拠点候補地・物件の選定、拠点づくりのためのファイナンス面のリサーチ(補助金・助成金の活用、クラウドファンディング活用の検討、地域内共同出資など)や、持続的な運営事業企画、関係機関や住民との合意形成、などを挙げています。

人材募集についてはこちら

県独自の「茨城県副業協力隊」制度の活用

いたこミズベデザインが今回行う「水辺の賑わい拠点づくりのプロジェクトマネージャー」の募集は、「茨城県副業協力隊」制度を利用しています。

同制度は、総務省「地域おこし協力隊」を活用し、茨城県が県外の人材を「副業協力隊(”企業連携型”地域おこし協力隊)」として委嘱し、挑戦に意欲的な県内企業へ隊員を派遣し協業することによって、地域の課題解決や活性化に資する事業が創出されることを目的としています。この「副業協力隊」は、ほかの仕事を持ちながら副業として県内企業と連携した協力隊活動を週の半分(20時間)程度行うことが想定されていることが特徴です。

茨城県政策企画部計画推進課の髙木明大主事は「移住推進施策を行ってきたが、いきなり移住となるとハードルが高い。そのため、まずは地域で活動するプレイヤーなどの『関係人口』を増やす施策を実施している。その1つとして、副業をフックとして地域とのつながりを作る副業協力隊制度を開始した。副業協力隊として着任される方には、活動を通して、第二の故郷と呼べるような地域との繋がりをつくったり、地域をフィールドに自分が培ってきたスキル・経験を試す舞台として関わっていただきながら、ロールモデルとして、茨城県での副業ライフを伝えていただけたら」と話します。また、「コーディネーターの設置など、派遣先企業と協力隊員間のスムーズな関係をサポートする体制も整っている」とも。

茨城県政策企画部計画推進課の髙木明大主事

隊員の主なミッションは、受け入れ企業と協働して、地域における新たな事業の創出や課題解決に資する「地域活性化プロジェクト」に取り組むこと、また、自身の隊員としての活動(県内企業との協働、茨城での副業ライフの様子)を、SNS等を活用して県内外へ発信すること、とされています。住民票を移して生活の拠点を茨城に置く必要がありますが、2拠点居住での参加も可能です。

隊員としての活動に対して、報償費および活動経費が県から支払われます。報償の月額は233,300円、活動経費は上限額 83,300円×活動月数(年額)。任期は1年度ごとに更新で、国の地域おこし協力隊の規定により任期は最大3年。なお、隊員は、協力隊活動以外の時間の使い方を自主的に決定でき、例えば、東京の仕事をテレワークで行うことも可能です。

茨城県 副業協力隊(“企業連携型”地域おこし協力隊)についてはこちら

「外から来た人の視点、中に入ったから分かる温度感」を武器に!

いたこミズベデザインは、ビジョンを実現する上で「外から来た人の視点、中に入ったから分かる温度感、この2つを武器に一緒に汗をかく仲間」を求めています。

横地代表は「地域から街と水辺の未来を発信することは、この上ない仕事の手触り感があるということを約束できます。ぜひ、水辺の資源に関わるソーシャルデザインに興味ある人に応募いただければ」と呼び掛けています。

審査は、第一次選考の応募フォームに記載された内容を基に行われます。応募フォーム又は県HP内の応募フォームからお申込みください。応募締切は8月 25 日23時59分まで。

募集要項の詳細と申込はこちら

 

この記事を書いた人

「二子玉川まちメディアfutakoloco」編集長、「チームうなラボ」フェロー

小林直子

主に公民連携分野のフリーランス・ライター/エディター。二子玉川のまちづくり歴10年。まちづくり法人で情報・広報戦略と水辺などの公共空間における官民共創事業に従事。住民主体のまちメディアfutakolocoを運営。多摩川流域生まれ&育ち。あだ名は「こばなお」。#コミュニティプラットフォーム #プロセスデザイン #パブリックリレーションズ #パブリッシング

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