2020.05.26
ミズベリングトレンドリポート
【TREND WORD 04】水辺&メディアの力
*2019年のミズベリングがどういうトレンドだったのかをレポートするこの企画。2020/2/20に行われたミズベリング・フォーラム2020で発表された内容を再編集してお届けしています。
3つの水辺&メディアの関係が注目された年だった。
1.水辺の力がメディアに評価をうけて、注目される。
2.水辺の力を活かしたメディア的価値に注目が集まる。
3.ミズベリングのソーシャルデザインの手法そのものが評価される。
メディア力を身につけたミズベリストたちによるあらたなクリエーションがこれからも増えそうだと感じた一年だった。
メディア露出
水辺の力がメディアに注目される
都市計画や土木などの専門メディアからライフスタイル誌まで幅広く水辺が扱われた2019年。水辺の拠点の開業に焦点をあてたもの、観光地としての可能性に焦点をあてたもの、ビジュアルが美しいもの、さまざまな切り取り方がされたが、多くが水辺環境の豊かさをポジティブに伝えていた。
左上から:CREA TRAVELLER 2020冬号(文藝春秋)、CREA 2020 1月号(文藝春秋)、東京大改造マップ2020-20XX(日経BPムック)、PEN 2019/11/15号(CCCメディアハウス)、自遊人 2019年2月号 (自遊人)、メトロミニッツ 2019年5月号(スターツ出版)
リバーメディア元年
水辺の力を活かしたメディア的価値に注目が集まる
水辺がいくつかのPRのベニューとして使われた2019年を、リバーメディア元年とした。
水辺の場所としてのシュールさと場所としてのニュース性に注目があつまり、各地で注目が集まった。官民連携組織が間に入って調整している事例も今後増えていくものと思われる。
2019年8月24日、25日
東京・渋谷の渋谷川、渋谷ストリーム前
本物そっくりのオブジェの体長の約4mものカバの親子3体が現れ、道行く人の関心を集めた。これはドキュメンタリー専門チャンネル、ナショナル ジオグラフィックの新番組のプロモーションなのである。ますます厳しくなる地球環境の中でも強く生き抜く動物たちのドラマをテーマにした番組を、驚きをもって世の中に伝えることが目的として、カバの親子が水場を求めて、タンザニア・カタビ国立公園から渋谷に逃げてくる、というストーリーのプロモーションを行った。また身近な出来事として捉えてもらうため、都会を舞台にしてその驚きを機に、1人でも多くの人々に、地球の厳しい環境変化と強く生き抜く動物たちの生き様に想いを馳せてもらい、救いの手を差しのべ、さらには敬意の念を抱くようになることも狙った。
2019年9月〜10月初旬
大阪市中心部を流れる大川
直径約10mものラグビーボールバルーンが浮かんだ。場所は、川野駅はちけんや付近。これは、9月20日に開幕したラグビーワールドカップ2019のプロモーションの一環だ。ラグビーワールドカップ2019大阪・花園開催推進委員会は、これまでも御堂筋や主要駅など多くの人々が行き交う場所を装飾するなど大会開催の機運を高めてきたが、開催間近の時期を狙いさらにインパクトあるプロモーションを行ったもの。国内外から大阪を訪れる人々に、ラグビーワールドカップ開催の雰囲気を体感してもらう目的だとする。
2019 年9月16日 〜10月6日
福岡市の中洲懸橋
イルミネーションイベント 『青の洞窟 FUKUOKA』は地域活性化プロジェクトの一環として博多の魅力を世界に発信すると同時に、環境に優しいまちづくりの活性化を目指し主催したもの。『青の洞窟 FUKUOKA』実行委員会は中州観光協会・中州町連合会など地元の3団体からなり、パスタやソースを主とした「青の洞窟」ブランドをもつ日清フーズが特別協賛だ。当イベントは、博多・中洲に位置する中洲懸橋 に「青の洞窟」が青い滝となって出現するという設定。クルーズ船も用意された。青い滝が流れる橋をくぐり、博多湾までの名所を巡る航路で、約30 分間のクルージングが味わえた。
土木広報大賞 水辺で乾杯!
ソーシャルデザインの手法そのものが評価される
場所 : 全国各所
開業年: 2019年7月5日㈮、6日㈯、7日㈰、8日㈪ 午後7時7分全国一斉同時乾杯
運営者: ミズベリングプロジェクト事務局
区域 : 全国各所
概要 : 土木広報大賞は、日本全国の各地域で展開されている様々な広報のうち、暮らしを支えている土木の役割・意義・魅力について広報を行っている活動または作品などで他団体の模範となるもの、他団体への展開が期待されるものなどを取り上げ、顕彰することを目的として行っている。
ミズベリングではすっかりおなじみの、水辺で乾杯!が「ソーシャルデザインの手法」として評価をうけ、準優秀部門賞(映像・WEBメディア部門)を受賞!
身近にある水辺を、もう一度、眺めて、風や水面の流れに身をゆだね、いつもと違う時間の使い方をして、家族や恋人と過ごす、あたらしい時間が生みだし、水辺の風景に、あらたな発見や想像を生んできた水辺で乾杯は、まさに風景を創造してきた。ふだんの何気ない日常が、水辺でとってもプレミアムになる。水辺で乾杯! は、水辺のとっておきな時間を、全国みんなで同時共有するソーシャルプロジェクトだ。
水辺がメディアの注目をうけ、水辺そのものがメディアになる未来
水辺でおこっている出来事にメディアが注目しただけではなく、水辺そのもののメディア価値に気がついたさまざまな人々があらたなアクションを起こした年であった。水辺とメディアの関係を深く考えることであらたな未来に近づくのではないでしょうか?
この記事を書いた人
ミズベリングプロジェクトディレクター/(株)水辺総研代表取締役/舟運活性化コンソーシアムTOKYO2021事務局長/水辺荘共同発起人/建築設計事務所RaasDESIGN主宰
建築家。一級建築士。ミズベリングプロジェクトのディレクターを務めるほか、全国の水辺の魅力を創出する活動を行い、和歌山市、墨田区、鉄道事業者の開発案件の水辺、エリアマネジメント組織などの水辺利活用のコンサルテーションなどを行う。横浜の水辺を使いこなすための会員組織、「水辺荘」の共同設立者。東京建築士会これからの建築士賞受賞(2017)、まちなか広場賞奨励賞(2017)グッドデザイン賞金賞(ミズベリング、2018)