2019.02.12 Tue

水辺公園の価値を最大化するために、情熱家が奔走 美濃加茂「RIVER PORT PARK MINOKAMO」(後編)

水辺公園の価値を最大化するために、情熱家が奔走 美濃加茂「RIVER PORT PARK MINOKAMO」(後編)

RIVER PORT PARK MINOKAMO 夜のBBQエリアの様子

勉強会から「かわまちづくり事業」がスタート

水辺公園の価値を最大化するために、情熱家が奔走 美濃加茂「RIVER PORT PARK MINOKAMO」(後編)

デザインが水辺の公園を変えた様子を紹介した前編
https://mizbering.jp/archives/22660
後編では公園の整備背景や事業スキーム、その想いについて紹介してきます。
前編に引き続き、このお二人に話を伺いました。
右:美濃加茂市の建設水道部土木課の大塚氏
左:RIVER PORT PARK MINOKAMOマネージャーの飯田氏

ーー整備までにどのような経緯があったのでしょうか

大塚:平成21年に国交省のかわまちづくり支援制度が創設された情報が届き、制度の「川の歴史・文化をまちなかへ」というコンセプトがかつて太田の渡しやライン下りとして利用されていた木曽川と中山道の太田宿が栄えた歴史から、市として最適ではないかと話があがりました。
そこから美濃加茂市のかわまちづくり事業が始まっていきました。地域の方と勉強会や協議会の場を繰り返し、構想を練っていきました。最初の頃のかわまちづくり構想は自分としてはイマイチで、相談した上司に怒られてしまいましたね(笑)。
ーー具体的にどのように進めていたのでしょうか。

大塚:まず「ガヤガヤ会議」という地元の方との勉強会からはじめました。それが協議会→推進部会として発展していきました。森林エリアの整備をボランタリーにやってくださっている藤井さんは、元々協議会のメンバーの一人です。部会の事務局は市がやっていますが、自主的に集まっていますね。固くない部会で参加率も高く、昔木曽川で実際に遊んでいた、情熱を持った方が多いですね。
協議会でもライン下りを復活させたいという意見はでたのですが、過去の事故や利用者の減少もあり事業として難しくなっていったこともあって、それが今のラフティングやSUPに展開していきました。その後は、様々な社会実験をやっていきました。

左:かわまちづくり事業の概要・経緯
右:「ガヤガヤ会議」初期のニュースレター

●美濃加茂市の「かわまちづくり事業」について(市サイト)
http://www.city.minokamo.gifu.jp/shimin/contents.cfm?base_id=5182&mi_id=4&g1_id=15&g2_id=67

まずやってみる。自分が社会実験を実施
「あそこであんなことできるなら、うちもやりたい!」

ーーどのような社会実験ですか。

大塚:最初に行ったのは防災フェス。。ハピネットみのかもという地域のママさんたちの団体と消防団がタックを組んで行った比較的大きなイベントで、当時、私が地元の消防団の分団長ということもあり呼びかけやすく、実現しました。
「あそこであんなことできるなら、うちもやりたい!」
この防災フェスをきっかけに公園をつかって、何かをやりたい人が出てきました。
世論として箱物行政と言われている時代で、整備したけど、使われないという事態は絶対にしたくなかったんです。色々な人に色々な使い方をしてもらって、その意見を基に本整備に活かすと決めていました。なので、ぼくが最初に考えていた整備イメージとだいぶ変わりましたね。
整備する前にこれまで社会実験に関わった7団体全て集めて、ヒアリングする場を設けたことがありますが、プレイヤー同士の会議はとても有意義な場になりました。つながりによる化学反応も面白かったですね。

最初の社会実験として大塚氏も一緒に企画した防災フェスの様子

運営側が楽しくないといけない

ーーどのような点に配慮しましたか。

大塚:大事だと思うのは“運営側が楽しくないといけない”ことです。
そのための配慮はとても気をつけました。関わったプレイヤーに楽しんでもらえるか。自分もボランティアとして一緒に現場で汗を流し、楽しいことをやってきました。全体の雰囲気づくりは一番気を配りましたね。色々苦労もありました(笑)。
また、ぼくから「やって」と言ったことは、一度もないんです。言ったら仕事になってしまうので。「やる?やるなら、やろうか」といつも言っています(笑)。
ーーその川のアクティビティのサウンディングはどのようにされたましたか。

大塚:計画はできても市としてこの場所で川の観光を再興させていくことに自信はありませんでした。そんな折に出会ったのが、郡上で18年に渡ってラフティングやカヌーなど様々な川のアクティビティを提供しているアースシップさんでした。

これまで行ってきた社会実験イベント(一部)

10年間様々なケーススタディを繰り返す

ーーなぜ大塚さんはそんなに多くの多様な社会実験をマネジメントできたのでしょうか。
大塚:ぼくは窓口になり許認可を出しただけです。10年間ずっと同じ部署にいたことは大きいと思います。そのおかげで、地域とのつながりもたくさんできました。また、市長のバックアップも大きかったですね。担当者としてバックに民間の声があると庁内の合意形成もしやすかったです。コンサルも上手に使わないとダメですね。丸投げではダメです。
ーー社会実験を経て公園をどのような管理運営にしていくことになったのでしょうか。

大塚:市として川のアクティビティ、飲食(BBQ)が軸になると考えていました。指定管理エリアと設置管理許可エリアが混在する管理運営体制となっています。
公募のプロポーザル募集のときには、以下の点に配慮しています。

・指定管理料だけで成り立つ従来の仕組みではなく。
指定管理者が自主事業で稼ぐことを前提にして指定管理料を切り詰め、事業の自由度を上げる。
・設置管理許可使用料も(当然)指定管理者に支払ってもらう。
・他の指定管理は3年、5年、10年と延ばしていく形ではなく、施設などに投資し易いように最初から5年契約とした。
・事業者が出した利益が一定の水準を達成した場合、市に還元する形ではなく、施設の管理運営、整備などに還元するようにと用途を事業者が使いやすい形にした。
・地域団体によるイベントなどの取り組みが行いやすいように都市公園条例を改正

市としては初めての試みだったのですが、自力で稼ぐブルックリンブリッジパークや広島など色々な事例を研究し、それまでの維持管理料などを参考に市役所内部の仲間に相談し自分たちで繰り返しシミュレーションするなどしてスキームを考えていきました。その結果、募集の際に大手が手をひき、こちらの想定していた自主事業を得意としている覚悟のある事業者が応募することになりました。

飯田:民間事業者としても整備に投資している部分もあり、それぞれ行政側と役割分担をして整備をしていきました。デザインは細部までこだわりましたね。木材としては地元で有名なアベマキを活かしたり、様々なクリエイターとコラボしています。
ーー整備を具体的にやっていくときに配慮した点はありますか。

大塚:指定管理者の意見をできるだけ聞きながら、市の意向と折り合いをつけて進めていきました。これからを担うなるべく若い人にお願いするようにしましたね。デザイン部分も指定管理者とミユキデザイン一級建築事務所らでデザインチームを結成し細部にこだわりを持って整備しました。(2018年度グッドデザイン賞 受賞 http://www.g-mark.org/award/describe/48014 )
「美濃加茂じゃないみたい!」「美濃加茂を自慢できる場所ができた!」って声を時々聞きますが、その時が一番嬉しいですね。

指定管理と設置管理許可エリアを混雑させた運営体制

ダメと言うのは簡単、いつもやれる理由を探している

ーーそんな大塚さんの原動力はなんでしょうか。業務で挫けそうになったことはありませんか。

大塚:ある意味ぼくは染まりやすいタイプなんですよね。地域の声にすぐ「いいね!」と反応する。
『ダメと言うのは簡単じゃないですか。相談された案件に対して、どうしたら一緒にやれるのか、
これならいけるんじゃないかと、いつもやれる理由を一緒に探しています。』
市民のやりたいことをサポートするのが一番の仕事だと思っています。
たとえ落ち込んでも、半日休めば立ち直れます(笑)。
今は公園で何かやりたい方の窓口がぼくのいる土木課?になっているのですが、そんなコーディネートを指定管理者に渡していけることが理想ですね。
ーー運営をしていく中で配慮していることはありますか。

飯田:ここでは川のアクティビティやBBQをすべて手ぶらで体験できるようしています。コンセプトで掲げている『アウトドアをもっと身近に』できるようにしていきたいです。またファミリー層の利用に力をいれるので、アウトドアをする上での『遊ぶこと・リスクマネジメント』の教育の面も配慮しています。そのためにも、まずはこの場所を知ってもらい、地元の方に選んでもらえるようにしないといけないと思っています。おかげさまで、これまで苦情は一件もないですね。
ーー広報PRなどどうされていますか。

飯田:まずはホームページでしっかり広報しながら、Instagramはがんばっていて、アルバイト向けに一眼レフカメラの講習会を実施し、1つの業務としてSNSでの情報発信に力をいれています。

Instagram「riverportpark」アカウントより

夢はひろがる、地域住民が公共を担っている

ーーこれからやりたいこと、構想はありますか。

大塚:公園だけでなく、回遊性や地域連携など進めていきたいです。そのために、例えばパーマカルチャーとして、駅前の公園で農園や食べられる樹木を植えることで、食べられるまちとしての新しいストーリーをつくるのも面白いんじゃないかと思っています。すでに先駆けて公園ではレモンを地域のこどもたちと栽培し始めています(笑)。
それも地域の方と相談しながらですね。地域住民が公共を担っていますから。
かわまちづくり事業として、やりたいことはたくさんあるので、あと5年は担当部署変えないでほしいと上司に言っています(笑)。
飯田:フィットネスに力をいれていきたいですね、地域の子育て世代のお母さんの利用を増やしていきたいです。また昔使っていた木造船の復活など面白いことにどんどんチャレンジしていきたいです。まずはしっかりBBQ事業で稼いでくことですね。

公園内にあるかつて活躍していた木造船

全国の水辺の先進事例が一挙に集まる祭典「ミズベリングフォーラム2019」に
大塚氏率いるリバーボートパークチームが参加決定しました!
皆様お誘い合わせの上、ぜひご来場ください!!!

【ミズベリングフォーラム2019 開催概要】

■開催日時:2019年2月28日(木)
フォーラム/14:00〜17:00
交流会/18:00〜20:00
■開催場所:渋谷ストリームホール東京都渋谷区渋谷3丁目21−3
■参加費:無料
交流会参加者/4,000円
交流会参加者(学生)/3,000円
■主催:ミズベリング・プロジェクト事務局
■共催:国土交通省 水管理・国土保全局
■協力:東急グループ/(一社)渋谷未来デザイン/地方創生イノベーターINSPIER

参加申込はこちらのホームページで登録をお願いします。
https://mizbering.jp/kawarouze/

 

RIVER PORT PARK MINOKAMO

住所 岐阜県美濃加茂市御門町2-2-6
TEL 0574-49-6717
休館日 火曜日
開館時間 9:00~17:00
HP https://rppm.jp/
Facebook https://www.facebook.com/RIVERPORTPARK/
Instagram https://www.instagram.com/riverportpark/
Writer's Profile
細田侑
水辺コミュニケーター

1991年東京都墨田区出身、傘職人の孫。幼少期の経験から自分の居場所と役割を模索、途上国支援の道を目指すが高校での島留学や東北での復興支援をきっかけに地域活性やまちづくりに興味を持ち、大学ではコミュニティマネジメントを専攻。現在は、地元でヤッチャバ(都市型マルシェ)の運営や離島の活性化、水辺のまちづくりなど場づくりを繰り返している。水辺は江東区のNPOの活動に参加したのをきっかけに、その魅力に惹かれ水辺が好きになりそこに関わる人と一緒に活動することが楽しい。
水辺総研
NPO法人江東区の水辺に親しむ会
すみだ青空市ヤッチャバ
しまステーション

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