2014.03.01

神田がアイランド?
知られざる神田のお話。

この記事をシェアする

ニューヨークのマンハッタンってマンハッタン島って言いますよね。あのニューヨークの中心地、セントラルパークがまんなかにあるあの場所って、島なんですよね。西にハドソン川、東にイーストリバー。ブルックリンブリッジが跨いでいるのがイーストリバー。半島かと思いきや、ブロンクスとマンハッタンの間にはハーレム川という川があるが、実はこれは厳密には海峡なんだそうです。海峡と言えばドーバー海峡とか津軽海峡とか想像しますが、こんなに町のどまんなかで海峡ってあるんですね!
いつか行ってみたいハーレム海峡。ちょっと演歌っぽい

Wpdms terra harlem river

By Decumanus (English Wikipedia) [GFDL or CC-BY-SA-3.0], via Wikimedia Commons

さて、我らが東京にも島はあります。月島?まちがいありません。だけど私たちがよく知る土地も実は島なんです。(本州も島じゃん、というツッコミは甘んじて受けますが、続けます(笑))
地図をご覧ください。

image1

googleマップ よく見るやつですね。

どこが島なの?という方。皇居もそうですけど、今回ご紹介するのは違いますよ。ズームアップしてみます。

image2

あ、高速の下、川なんですね!しかも日銀のすぐ横!

image3

どうやらずっと高速道路(首都高速5号池袋線)の下でつながってます。ここで神田川と合流するんですね。
そうなんです。つなげていくと、実はこうなります。

image4

この線で囲まれた部分が島なんですね。ほぼ中央に神田駅ありますし、私はここを「神田アイランド」と呼んでいます。北を神田川、南を日本橋川、東を隅田川で区切られています。
ちなみに他のポータルサイトではどういうことになっているかというと、YAHOO!地図はこちら。

image5

どのポータルサイトも、当たり前のように首都高が存在感を示しています。実際スケールあっていないと思うんですけどね。
mapionはこちら

image6

マピオンに至っては、川と市街地の色の違いすらあまりない。

これは、今の時代をよく表していると思うんですよね。首都高の下に川が流れてようとなかろうと、生活をする上で情報として必要でないのかもしれません。実は川の下を鉄道がくぐってようと、川の上を水道が通っていようと、知らなくても生活はできてしまうんです。効率的で便利な世の中ですよね。

たまに思わぬところで川に遭遇してびっくりすることってありますよね。東京ドームシティに行く橋を渡るとき、「川があるな」と思ったことありませんか?その川と、JR高田馬場駅のすぐそばの川がつながっていることって、驚きに満ちていると思うんですけど、それだけ川が人間の生活と遠い存在になってしまったということでもあるんですよねえ。

ところで、YAHOO!地図は最近地図レイヤーで「水域マップ」というものを公開しています。テレビでのタモリさんの地形マニアとしての活躍などで、興味が高まっているのかもしれませんね。

image7

水域マップには、地形もなんとなく表されていて、どこが高台なのかもわかるようになっています。江戸城(皇居)が武蔵野台の東の突端につくられていることがこの地図からもわかりますね。首都から人工物が取り除かれた状態がみられるのがこの地図です。

image8

ところで神田アイランドってなんなの?

さて、今回あらためて神田アイランドを眺めてみると、不自然なところがありました。それが受験生で有名なこちらの地名「駿河台」。確かに坂になっています。坂を上りきった先にお茶の水駅があって、神田川が谷底を流れています。不思議に思いませんか?

image9

もうひとつは神田の象徴というべき、神田明神。実は神田アイランドにはありません。神田アイランドの北の対岸にあります。これも不思議です。実際、神田明神の氏子町会は神田アイランドには収まりきらずに、北の湯島の方までのびています。

これをひもとくためには、まず地形図を見ましょう。地形図はさっきのYAHOO!地図水域図からみてみましょう。

image10

右上の「地図」からメニューを引き出し、

image11

「水域図」のラジオボタンをチェックします。

image12

そうすると、まちのいろんな情報が消されて、人工物がなくなった都市が現れます。できることなら、首都高を点線表示にしてもらったら100点満点なんですがそれはさておき、お茶の水駅の北側、神田川は蛇行していて、そこは、台地を切り裂いているように見えます。

image13

この部分です。
種を明かすと、この部分の神田川は人工なんです。徳川家康の時代に、仙台藩の伊達政宗に命じて掘らせたので、「仙台堀」とも呼ばれていました。実は、神田川は堀だったのですね。本郷台地と駿河台はもともと一つの台地でした。
ちなみに、この堀の現在はこんな風景です。

緑がいっぱいで、癒されるすてきな場所なんですけど、実は人工河川なんですね。
洪水が頻繁におきるようでは、町は成長しません。神田川の洪水に悩まされ続けてきた徳川幕府は、日本橋方面に水をできるだけ流さないように、仙台堀を開削させました。そして、掘った土を盛り土に使い、低地のかさ上げも行ったと言われています。完成は1659年だそうです。

川を注意深くみていくと、実はさまざまな発見があります。なぜなら川には歴史の痕跡がたくさん残されているからです。時には意外な結論に導かれることもあります。神田を島として見ると、東京の歴史と先人のまちづくりの苦悩と努力が見えてくるのです。

まずは、身近なポータルサイトの地図を眺める旅からはじめてみるといいかもしれませんね。意外な発見に満ちあふれています。

Google map
ストリートビュー機能、地形機能、航空写真、鳥瞰写真、KMLという独自の地図レイヤー情報、過去の航空写真データなどさまざまな新機軸であっという間にYAHOO!地図を追い抜いてしまった巨人。姉妹にGoogle Earthというものがあり、無数の地図レイヤーをダウンロードすることによって、さまざまな視点の地図を閲覧することができる。
Yahoo! JAPAN

Yahoo!地図

Googleが上陸する前は王者だった。最近はここで紹介した「水域図」をはじめ、「地形図」などのレイヤー機能の充実をはかっている。
Mapion

Mapion

日本語表記地図のパイオニア。陸上情報は豊富だが、水辺はあまり強くない。
Gooマップ
NTTグループが運営するgooの地図で特筆は、「江戸切り絵図」レイヤー機能と、「昭和22年」「昭和38年」の航空写真の機能があること。これは特に面白い。
logo

東京時層地図

一般財団法人日本地図センターがつくったiPhoneアプリ。スマートフォンのGPS機能と江戸切り絵図、震災復興図など多彩な歴史地図のレイヤー機能をあわせてまち歩きの世界にセンセーションをおこした歴史地図アプリのパイオニア。とくに、地形図との符号ができることがすばらしい。

この記事を書いた人

株式会社水辺総研代表取締役、RaasDESIGN代表、BOAT PEOPLE Association理事、水辺荘発起人 、一級建築士

岩本 唯史

公共空間としての水辺がよくなることで、社会がよくなると考える。建築家として建物のリノベーションを主に設計の仕事をしている傍ら、都市をリノベーションするのであれば、公共空間である水辺を外して考えることはできないと考え活動している。BOAT PEOPLE Associationのメンバーとして、いままでさまざまな水辺のトライアンドエラーを繰り返して社会に水辺の空間のあり方とつきあい方を提案してきた。 2005年横浜トリエンナーレ出展作品「Life on Board II」「内閣府都市再生モデル調査事業、FLOATING EMERGENCY PLATFORM」「地震EXPO09(BankART)」「東京アートポイント LOB09-10」など。最近は横浜の水辺を「使い倒す」ことを目的に、水辺のソーシャルスペース「水辺荘」を日ノ出町たちあげ、都市に新しい風景をつくる試みをたくさん行っている。

過去の記事

> 過去の記事はこちら

この記事をシェアする