埼玉の入間川とことん活用プロジェクトを事務局で視察してきた
ミズベリング現場会議として、河川敷地内初出店のスターバックス(スターバックス コーヒー 狭山市入間川にこにこテラス店)が実現した、埼玉県と狭山市が進める「入間川とことん活用プロジェクト」をミズベリング事務局で視察してきました。
当日は国交省が位置する霞が関から埼玉県の狭山市の現地までは、中型バス「水辺利活用の取り組みを現場で聞く号」をチャーターし移動しました。中で会議ができるのシート配置を活かして、ミズベリング定例会を実施しながらのバス移動です。
一時間ほどで狭山市入間川の水辺に到着しました。
広々とした河川敷にスターバックスの建物が、周辺の緑に溶け込むように建っています。なかなかわくわくする風景です。お客さんたちも思い思いに外のテラス席に座りながら、河川敷の抜けのある空間を楽しんでいるようです。隣接して子どもたちが遊ぶ遊具もおいてあります。
本日はここで現場会議です。なんと、入間川流域の間伐材でつくったテーブルをオープンスペースにセッテイングしていただきました。やった!理想的な水辺で会議ですね。
当日われわれ事務局を出迎えていただいたのは、狭山市で水辺事業を担当する狭山市環境経済部商業観光課主任荻原和也氏、狭山市環境経済部商業観光課主事信沢匠人氏、狭山市総合政策部政策企画課主査北淳氏(前商業観光課本件担当者)、埼玉県県土整備部河川環境課昔農卓磨氏、そして、埼玉県で水辺利活用を推進するキーマン埼玉県県土整備部河川環境課主幹石野剛史氏です。
いろいろ大変おもしろい話を伺うことができました。詳細は後日レポートしますが、以下に興味深かったポイントを記します。
<プロジェクトのきっかけ>
埼玉県県土整備部河川環境課主幹石野剛史氏が入間川対象地の河川敷での利活用のポテンシャルは県内でもトップレベルと認識されていました。石野氏が、河川利活用の企画メニュー案の簡単なものを書いて狭山市に提案したことがきっかけです。担当であたった狭山市総合政策部政策企画課主査北淳氏(前商業観光課本件担当者)は、「ええ!こんなことができるんだ」と驚きを持って受け止められたそうです。
<プロジェクトのプロセス>
「入間川とことん活用プロジェクト」では、①地域の多様なステークホルダーをまきこみ、川の魅力を再発見して、地域での利活用の促進につなげていくことと、②ハード事業としての利活用施設の整備を進めました。
施設整備では、埼玉りそな銀行と協働し、50社のヒアリングを通して、民間事業者の受託要件や事業の可能性を探りました。誰でも空間を利用してくつろげること、河川景観にマッチすることなどのハードの仕様を固めました。そして、ここが驚きなんですが、河川占用料については埼玉県の設定で、建築を伴う場合360円/平米/年間、工作物150円/平米/年間という破格の安さで設定できたのことです。一方で、占用期間10年の制約と、駅から遠くにぎわいがなかったロケーションで商圏が少ないと見られていたことで、事業者は1社しか応募がありませんでした。事業者へのプレゼン4日前に、台風19号で避難指示が出で事業者が集まるか担当者は不安でしたが、スタバがプレゼンに来てくれて応募をしてくれました。スタバで富山の河川空間での事業をした方が担当者だったとのことです。
<担当者のマインドセット>
事業をすすめるにあたって幅広いステークホルダーを巻き込む必要があったが、狭山市担当の北氏は、「このままでは自分が描いた以上の空間にならない。自分が成長し続ければよい空間になる。自分がやった分だけ返ってくる、ソフトはやればやるほど成果がでる」と考えました。その結果、北氏は、「地域を愛し、深い知識を持っている地域の方」と信頼関係が築くことができました。上司の荻原氏が「はみ出してもいい」と応援してくれていること、県の応援があったこともプラスに働いたようです。
<利用者と今後の展開>
スタバは通常若い人の利用が多いが、本件では地域の高齢者の利用も多いとのことです。また、保育園の帰りの母親がよく利用している。土日祝日は駐車場に入れないぐらい多くの利用者が訪れます。前年度のゴールデンウイークでは売上がスタバの県内上位でした。今後の展開として、社会実験としてキッチンカー、飲食、物販などの仮設での営業を行う予定です。
というようなお話を聞けました。
本プロジェクトの推進トリガーとして、以下のようなことが挙げられるのでないかと考えました。
・市の中心部にある利用しやすい河川敷のロケーション
・低めに抑えられた占用料により、事業者が投資判断がしやすかった。
・最初にプロジェクトのアイディアについてパスを出す人(県石野氏)がいて、受け止める(北氏)ことができた。
・担当者(北氏)が自己成長の場としてプロジェクトを捉え、内発的動機でプロジェクトの推進役となった。
・担当者(北氏)は市民との協働を推進することと、庁内調整を行うことの二刀流が自然にこなせていること。
・担当者をサポートする県、応援する上司(荻原氏)がいた。
・河川空間が広く高水敷のレベルがまちと一体化していて使いやすい。
というわけで、今年は、ミズベリング現場会議をちょくちょく開催したいと思います。
現場で担当の方といろいろお話を伺うい、アフターコロナに向けてみなさんと水辺利活用の知見を共有していきたいです。
わがまちの水辺へぜひ来てほしいという熱い担当者や市民のみなさん、ぜひご連絡ください!
水辺の現場会議でお会いしましょう。
この記事を書いた人
ミズベリングとは、「水辺+リング」の造語で、 水辺好きの輪を広げていこう!という意味。 四季。界隈。下町。祭り。クリエイティブ…。 あらためて日本のコミュニティの誇りを水辺から見直すことで、 モチベーション、イノベーション、リノベーションの 機運を高めていく運動体になれば、と思います。
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