2022.01.31
まちの資源を活かして、欲しい風景を自分たちでつくる〜埼玉県越谷市「Lake and Peace」〜

年間5000万人の来場者のある日本最大級のショッピングモール、越谷レイクタウンにて昨年10月に開催された水辺のガーデンフェス「Lake and Peace」。
今回3回目の開催となった「Lake and Peace」の実行委員長である畔上さんに
立ち上げの経緯や想い、今後の展望について聞いた。
当日はカヌーやディンギーなど水辺のアクティビティが体験できた
水辺を開いていくきっかけ
埼玉県の南東部に位置し、都内からも北方に22kmとアクセスしやすい越谷市。「新しく水との共存文化を創造する都市」をスローガンとして整備されたニュータウンの越谷レイクタウン(以下レイクタウン)。水害対策の調整池としてつくられた大相模調整池(以下調整池)はレイクタウンのシンボルとして地域に親しまれている。
そんなまちで、越谷を楽しむ水辺のガーデンフェスとして2019年にスタートした「Lake and Peace」。”レイクでピースに!レイクをピースに!”
をキャッチコピーに水辺のアクティビティからデイキャンプ、マルシェなど多世代が水辺で楽しめる風景をつくりだしている。
「越谷レイクタウンがオープンして約10年。商業地としての賑わい、水辺の近い住環境が混在することがこのまちの特徴であるのにも関わらず、まだぼやけているなと感じもっとでききることがあるんじゃないかと思い、最初は公共空間を活用してみる社会実験としてスタートしました。」と語る畔上さん。
年間5,000万人というあの東京デイズニーランドの2倍の人がレイクタウンに訪れているので、地域の人たちとレイクタウンのショッピングモールにきた人たちが交わる場所として調整池の周辺の水辺空間が可能性あると感じたそうだ。
越谷市で生まれ育ち、現在建築家として活動している畔上さんは、商工会議所の仲間や地元の友人、越谷市観光協会が行っていた未来塾の受講生仲間などに声掛けをして仲間を集めていった。
「まず周りの人に声かけていったので、全員越谷市民で運営しているのですが、40・50代が中心なのでもっと若手を巻き込んでいきたいですね。笑」と話す。

市内在中のメンバーが中心の実行委員
まちの水辺の魅力を再実感
社会実験的にイベントでつくりたい風景をつくっていったことで、このまちの魅力を改めて感じていったそうだ。
「水辺のアクティビティ・公共空間・商業施設が連携することで豊かなにぎわいが生まれると感じました。やっぱり自分のまちにはこんな素敵な水辺があると。」
レイクタウン内のショッピングモールを運営しているイオン、中の店舗や市内の店舗さんなど積極的に協力や出店をしてくれ、反応も上々のようだ。
一方で「レイクタウンに住んでいる一番身近な近隣のマンション住民の参加や必要性も感じています。まだ共感力が足りていない部分があるので、丁寧にコミュニケーションしていく必要がありますね。」
レイクタウンは新しいまちだからこそ、まだまだ自治会ごとの連携もできていないようで、そういった連携のきっかけに「Lake and Peace」はなっていくのかもしれない。

工夫しながら前にすすめる
コロナ禍の2020年の2回目ではソーシャルディスタンスをとりながら、水辺で楽しくピクニックをできる風景を演出。
イベント自体を中止にしなかったからこそ、3回目の開催につながったそうだ。だからこそ、様々な地域の団体・企業が協力協賛しているのだろう。

イベント自体を中止にしなかったからこそ、3回目の開催につながったそうだ。だからこそ、様々な地域の団体・企業が協力協賛しているのだろう。
「ステージやゲートをつくったのは地元協賛企業さんです。ナショナルチェーンや地元企業が協働のしてくことは大きな進歩ですね」

水辺を楽しめる豊かな日常づくりへ
1年に1度の2日間のイベントから、より日常的な風景にしていきたいと意気込む畔上さん。
「新しい地域なので、柔軟な地域だと思います。ぼくの役割はもっと積極的に連携、協働していく石(きっかけ)を投げていくことです。」
1991年東京都墨田区出身、傘職人の孫。幼少期の経験から自分の居場所と役割を模索、途上国支援の道を目指すが高校での島留学や東北での復興支援をきっかけに地域活性やまちづくりに興味を持ち、大学ではコミュニティマネジメントを専攻。現在は、地元でヤッチャバ(都市型マルシェ)の運営や離島の活性化、水辺のまちづくりなど場づくりを繰り返している。水辺は江東区のNPOの活動に参加したのをきっかけに、その魅力に惹かれ水辺が好きになりそこに関わる人と一緒に活動することが楽しい。
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