2020.05.12

ミズベリングトレンドリポート
【TREND WORD 01】新水辺続々オープン

例年以上に水辺で新たな価値創造が行われた2019-2020年。どんな価値がうまれたのか、トレンドリポートします。1つめのキーワードは、「新水辺続々オープン」

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今年は例年になく、いままでにない新水辺スポットが続々と全国で開業し、水辺を楽しみ、水辺で時間をすごす選択肢がたくさん増えました。すべて共通して官民がそれぞれ力を出し合ってできたものばかり。これは一過性のものではなく、経営され、運営され、持続可能な価値を提供してくれるものです。
ミズベリングはもうテンポラリーなイベントではなく、人々が水辺で過ごす時間を変えたのです。

木伏緑地

川沿いの公園のP-PFIで、川を活かすまちづくり

所在地 : 岩手県盛岡市盛岡駅前通
開業  : 2019年9月10日
運営者 : ゼロイチキュウ合同会社
区域  :  公園面積4,042.06 ㎡、建築可能面積485.0 ㎡
(建ぺい率12%)壁を有しない高い開放性を有する建築物を含む建蔽率増加+10%
概要  : 民間の力を借りて都市公園を整備する「公募設置管理制度(Park-PFI)」を活用した施設。「water neighborhood〜水辺界隈の生活者になろう〜」がコンセプトで、北上川河川敷と一体的に活用して木伏緑地界隈での生活が日常に豊かさをもたらすことを目指した。 飲食店や管理棟が入る建物はコンテナを使い、現在は9店舗が入居。住民から設置の要望が多かったトイレは市が約2800万円かけて新設し、芝生広場も設けた。
サイト : https://www.iwate-np.co.jp/article/2019/9/7/64056

かわまちてらす閖上

復興とかわまちづくり、ミズベリング

所在地 : 宮城県名取市
開業  : 2019年4月29日
運営者 : 株式会社かわまちテラス
設置者 : 民間事業者と名取市が出資したまちづくり会社「株式会社かわまちテラス」
規模  : 施設面積 約4500平方メートル
概要  : 東日本大震災によって大きな被害を受けた閖上地区の商業の再建のため開業。名取川の堤防上(7.2m)に建物が位置しており、全国でも珍しい商業施設となっている。建物は地元閖上地区の「ゆりあげ港朝市」を思わせるような形態で、名取川堤防沿いの松並木「あんどん松」や閖上の海からイメージしたという黒みがかった緑「海松藍(みるあい)色」のシックな外観となっている。出店する27店舗の業種別は飲食13店、物販・水産加工品販売12店などで、地域住民向けに美容室やコインランドリーも入った。このうち震災前に閖上で営業していたのは、飲食店「漁亭浜や」や中華料理店「浜一番」、水産加工品販売「まるしげ商店」など9店舗に上る。
背景  : 国土交通省「かわまちづくり支援制度」閖上地区 まちなか再生計画
サイト : https://kawamachi-terasu.jp/

五ケ山クロス

ダム建設に乗じて官民連携で魅力創出

所在地 : 福岡県那珂川市
開業  : 2019年3月
概要  : 2018年に竣工した福岡県内最大の五ケ山ダム周辺の整備事業の一環として、福岡県那珂川市がダム工事のヤードを整備した観光拠点施設(ショップ・カフェレストラン・展望デッキ)である。敷地の一部が河川敷地になっている。山並みやスケールの大きなダムの景観と調和するデザインとなるよう、ダムの堤体と呼応する大らかな曲面の造形としている。天然木デッキによるルーフテラスを設け、人びとが休憩できるベンチのような緩やかな大階段とスロープにより、ランドスケープと建築が連続した一体感ある風景を創出。モンベルが出店しており、福岡都市圏からもっとも近いアーバンアウトドアの聖地としてさまざまなアクティビティを提供している。
サイト : http://nakagawa-gokayama.com/

深川川床

川を活かして、風流なまちをもういちど

所在地 : 東京都江東区 門前仲町 大横川
開業  : 2019年3月(お江戸深川さくらまつりの期間に合わせて開催、2019年12月より冬季休業中)
運営者 : 川床設置者→NPO法人江東区の水辺に親しむ会 先行使用者→割烹料理店「金柳」
区域  : 大横川沿い (巴橋〜石橋間の右岸区域)を都市
・地域再生等利用区域に指定
規模  : 60.04m2
概要  : 伝統芸能の発信の場であり、有数の繁華街でもある門前仲町の大横川沿いは桜並木が並び、春は「お江戸深川さくらまつり」でにぎわう場所。この地に京都の川床のような水辺空間を創出することで、にぎわいを生み出し、水辺に親しむ文化を発信する狙い。
背景  :  NPO法人江東区の水辺に親しむ会・有限会社金柳は、河川敷地を民間が事業目的に利用する規制緩和(*都市および地域の再生等のために利用する施設に係る占用の特例)に基づく河川敷地の占用許可を大横川の河川管理者である江東区より受けたことで実現。

Hi-NODE

官民連携で、港のあたらしいあり方を模索

所在地 : 東京都港区日の出ふ頭
開業  : 2019年8月3日
運営者 : 事業主→NREG東芝不動産 設計→野村不動産 敷地所有者→東京都港湾局
区域  : 日の出ふ頭北側の敷地
概要  : 海辺と暮らしの新しい関係を築くことをコンセプトに海、風、緑を感じられる空間を都心で作りあげた。船客待合所と海に面したバルコニーやテラス席を設置したレストラン、ウッドデッキや芝生広場も。
背景  : 東京圏の国家戦略特別区域の特定事業「(仮称)芝浦一丁目計画」の関連事業
備考  : Hi-NODEは「日の出」の意味でもあり、Hi(高い、盛んな、わくわくする)とNODE(結び、交点、結節点)を組み合わせた造語。
サイト : https://hi-node.jp

かすみの森スラックラインパーク

マイナースポーツ愛好者の利用機会を広げた

所在地 : 愛媛県東温市
設置者 : 東温市
利用者 : スラックライン連盟愛媛県支部ほか
開業  : 2019年3月23日
概要  : 重信川かすみの森公園の一部にスラックラインパークが設けられた。スラックラインとは、ウェビングと呼ばれる細いベルト状のラインの上でバランスを楽しむスポーツ。鉄製の支柱「アンカー」4本を使って12〜40メートルに長さを変更でき、高さも初心者や子ども向けの30センチから、上級者向けまで調整可能。予約不要だが、利用にはスラックライン用ベルトなどが必要。
背景  : 国土交通省「かわまちづくり支援制度」(ただし、自由使用の範囲での利用)

ハレノガーデン(天神中央公園)

天神地区を一体的に運営する新たな拠点

所在地 : 福岡県福岡市中央区西中洲
開業  : 2019年8月9日
設置者、運営者: 西日本鉄道(株)
制度  : パークPFI
背景  : 西鉄は、福岡県が行う天神中央公園西中洲エリアの再整備のうち、飲食・休養施設整備事業者として選定された。
概要  : 天神中央公園西中洲エリアにおいては、公募設置管理制度(Park-PFI)を活用して、選定事業者である西日本鉄道(株)が公園内に飲食店を整備し、憩い・賑わいの場となるよう公園の再整備が実現。西鉄が運営する他の近隣施設(本施設、SHIP’S GARDEN(水上公園)、オ・ボルドー・フクオカ)と一体的に運営することで、天神の東エリアの賑わいづくり、魅力向上を図り、天神全体の価値向上を目的にしている。

この記事を書いた人

株式会社水辺総研代表取締役、RaasDESIGN代表、BOAT PEOPLE Association理事、水辺荘発起人 、一級建築士

岩本 唯史

公共空間としての水辺がよくなることで、社会がよくなると考える。建築家として建物のリノベーションを主に設計の仕事をしている傍ら、都市をリノベーションするのであれば、公共空間である水辺を外して考えることはできないと考え活動している。BOAT PEOPLE Associationのメンバーとして、いままでさまざまな水辺のトライアンドエラーを繰り返して社会に水辺の空間のあり方とつきあい方を提案してきた。 2005年横浜トリエンナーレ出展作品「Life on Board II」「内閣府都市再生モデル調査事業、FLOATING EMERGENCY PLATFORM」「地震EXPO09(BankART)」「東京アートポイント LOB09-10」など。最近は横浜の水辺を「使い倒す」ことを目的に、水辺のソーシャルスペース「水辺荘」を日ノ出町たちあげ、都市に新しい風景をつくる試みをたくさん行っている。

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