2015.01.21
ポートランドにも町内会のようなものがあるみたい
ミズベリングが参考にしたい、まちづくりの先進都市でみた、市民の態度
オレゴン州ポートランドは、市民参加のまちづくりで有名な街です。
このまちのまちづくりが紹介される際、必ずと言っていいほど「ネイバーフッド・アソシエーション」という仕組みが紹介されます。
日本にも似たような地域の組織、町内会や町会、自治会がありますが、なにがちがうのでしょうか?
百聞は一見に如かず、ということで、実際に見に行ってきました。
12月11日。ポートランドのパール地区(Pearl District)の貸し会議室で夕方18:00から開催されていたパール地区のネイバーフッドアソシエーションのボードメンバーの会議を傍聴させていただきました。
パール地区のネイバーフッドアソシエーションは、パール地区を清潔で、安全、そして楽しい場所にしつづけるために働いているボランティアの組織だと定義づけています。パール地区で1.住んでいる 2.会社、NPOの組織の代表 3.土地、建物を所有している、の3つの条件のいずれかに該当する人ならばだれでも参加できます。
ボードメンバーになるためには、立候補し、ボード会議で多数決で承認をうけなければなりません。
まず、印象に残ったのが、この議事進行がとってもプロフェッショナルなこと!
いくつかの議題が会議に提示され、無駄話は一切なく、あっという間に議決されて行きます。
その様はまるで大会社の役員会のような手際の良さで、とてもボランティアのあつまりとは思えない手際のよさでした。
そんなみなさんが、なぜネイバーフッドアソシエーションに参加しているのかインタビューしてきましたので、動画をごらんください。
ネイバーフッドアソシエーションの参加者からは、このような発言がありました。
・私の意見が採用されて社会が変わるかもしれない可能性がある。
・みんな地元に興味がある。
・上の方でみんな決められてしまうことがいやでニューヨークからひっこしてきた。ここではプロセスを大事にしてくれる。
・この地域には参加してくれる専門家がいて、その専門性に感謝してくれるひともたくさんいる。
・地域の公益性を最大化するために努力している。
みなさん、まちを良くしたいという思いをもって立候補して参加しています。それぞれのその思いを共有できるものにしていくための実践的プロフェッショナルなボランティア組織がポートランドの市民参加の社会を支えていました。
ミズベリングは、水辺をよくしたいという各個人の思いを、どうやってみんなの思いにするか、というチャレンジだということもできます。ポートランドで見てきたのは、1960年代からはじまった、市民参加型社会の50年の積み重ねでした。私たちが将来、水辺やまち、環境とどのように向き合っていることが理想型なのかという視点も必要かもしれません。
*そんなポートランドの先進的なまちづくりが体感できるミズベリングインスパイアフォーラムは、2015年1月29日に開催されます。2014年3月22日に行われた、ミズベリング東京会議でおこなったことの”次”がみられます。
この記事を書いた人
ミズベリングプロジェクトディレクター/(株)水辺総研代表取締役/舟運活性化コンソーシアムTOKYO2021事務局長/水辺荘共同発起人/建築設計事務所RaasDESIGN主宰
建築家。一級建築士。ミズベリングプロジェクトのディレクターを務めるほか、全国の水辺の魅力を創出する活動を行い、和歌山市、墨田区、鉄道事業者の開発案件の水辺、エリアマネジメント組織などの水辺利活用のコンサルテーションなどを行う。横浜の水辺を使いこなすための会員組織、「水辺荘」の共同設立者。東京建築士会これからの建築士賞受賞(2017)、まちなか広場賞奨励賞(2017)グッドデザイン賞金賞(ミズベリング、2018)