2016.05.20
ライフジャケットを川遊びのドレスコードに ーミズベリング二子玉川ライフジャケットキャンペーン
4月29日の大型連休初日。ライフジャケットに絵付けをするイベントが開かれました。 カワセミとマルタウグイがデザインされたライフジャケットは、ミズベリング二子玉川未来会議が、地域で子どもも参加できる水辺活動を推進している「NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク」に贈呈されたものです。 ライフジャケットにこめた思いをミズベリング二子玉川未来会議の坪田哲司さんに話を伺いました。
「二子玉川の水辺に似合う、ライフジャケットをみんなで作りませんか?」という呼びかけに9組の親子が集まり、絵付けワークショップが行われました。
会場は東急電鉄二子玉川駅そばの「カタリストBA」です。
このライフジャケットは、安全な水辺利用のためにみんなで使えるようにと、ミズベリング二子玉川未来会議が、地域で子どもも参加できる水辺活動を推進している「NPO法人せたがや水辺デザインネットワーク」に贈呈されたものです。
この日は、そのライフジャケットをもっと「ニコタマらしく」したいと、ワークショップがひらかれたのです。
ニコタマらしいデザインをと、カワセミとマルタウグイをモチーフに4つの柄のステンシルの型が用意されました。ミズベリング2016という刻印もあります。
参加者たちはそれぞれ好きな絵柄のステンシルを選び、ライフジャケットの背中側にマスキングテープで固定します。そして絵の具をスポンジ筆でポンポンと載せるように描いていきます。まずは白の絵の具を載せベースをつくった上に、好きな色を載せて行くのがコツ。
細かい部分は色が入りにくいので、押し付けるように色付けすることが、うまく描くポイントだそうです。
最初は見ているだけだった大人たちでしたが、子どもの楽しそうな様子にだんだんと引き込まれ、途中から絵付けに参加する人も。微妙な色使い、本物の写真を参考にした色選びなど「大人の本気」を感じさせるデザインのものも完成しました。
このライフジャケットは、小学3年生くらいまでの子どもが着用するのに適したサイズです。「正しい知識としっかりとした装備をしていけば、川を安全に楽しめるということを伝えたい」「小さいときから川に親しんでもらいたい」と15着がミズベリング二子玉川未来会議から「せたがや水辺の楽校」などを行うせたがや水辺デザインネットワークに寄贈されました。
ミズベリング二子玉川ライフジャケットキャンペーンをよびかけた坪田哲司さんにお話を伺いました。
- 二子玉川エリアの水辺の魅力はなんですか?
- 隅田川や日本橋川など、東京に水辺はいろいろありますが、多くの都市河川はコンクリート護岸。対して、ここは自然の河川敷です。日本全国の一級河川の中でも、こんなにも大都会に近く、自然が残る住環境は他にない魅力です。二子玉川駅は住民はもちろん、働く人、あそびに来る人も多い、暮らすと働くが近接した街です。新しい住民も増えています。
- なぜ、このライフジャケットキャンペーンを思いついたのですか?
- ミズベリングニコタマ未来会議として2016年に何をしたらいいのか考えたときに、ひらめいたのが「ライフジャケット」でした。
東急電鉄が関わっているとくらく×Peatix「シビックプライド」支援キャンペーンで、地域のために貢献する取り組み・イベントに支援がいただけるとわかり応募することにしました。
- なぜライフジャケットなのですか?
- 多摩川の河川敷は、人が集い、楽しむことができる場所ですが、同時に水辺には危険もあります。住民の方に聞くと365日のうち「年に5回は溢れる」から「川は危ない」といいます。行政も「年に5日は危ないのだから、川を使うな」となってしまう。
- 「たった5日」でも危険を避けるために「川では遊ぶな」となってしまうんですね
- もちろん危険は回避しないといけません。大事なのは、危険がわかるように知識をつけ、適切な水辺体験を持っていることです。どこによどみがあり、どこの流れが早いのか、知識を持っている人が地域にいるのですから、その人から学び、安全に川を使用できるようにするほうがよいですよね。
- ライフジャケットにこめる思いは?
- 大人たちが子どもにプレゼントし、子どもがデザインに関わり、実際に川であそぶときに使用するライフジャケット。ふるさと二子玉川の水辺を想起させるデザインのライフジャケットを身につけることで「ライフジャケット着用は日常だ」「水辺であそぶ環境づくりに自分たちも関わっている」という意識を育て、子どもたちに川遊びやふるさとに愛着を持ってほしいと思っています。
- このエリアの方の水辺への関心はどうなのですか?
- 60〜70代のみなさんが特に、川への強い思いを持っていらっしゃいます。子どもの頃川で泳いでいた思い出のある世代です。その後、川が汚染されて泳ぐような環境は失われました。私も含め50代以下の年代にはそんな思い出はありません。平成の時代に変わり、最近、水質が浄化されて、途絶えていた鮎の遡上が見られるようになってきました。川であそんだ原体験をお持ちの60代70代の方が、仕事を退職されて昼間街にいるようになり、川が自然の姿に戻っているのに気づく。「いい川だね」ともう一度この川を生かす取り組みがしたいとまちづくりの活動に関わる方も増えてきました。ふるさとの川であそぶという「原体験」はこれからの子どもたちにとっても大切だと思います。「ここがふるさと」「ここが自分の川だ」と思う子どもたちが増えてほしいと考えています。
- 課題はありますか?
- 他地域のコンクリート護岸の川と同様、自然河川もその使用の許可などプロセスが複雑です。一口に川を使ってイベントをしたいとしても、川があり堤防があり河川敷があり運動場があり、それらは別々の管理者のもとにあります。例えば、多摩川は一級河川ですので国のもの、国土交通省の所管ですが、そばを流れて多摩川に合流していく野川は東京都が所管し区が管理しています。先日、橋脚に書かれた落書きを消す取り組みを行ったときも、活動する場所の管理者は河川事務所、橋脚の管理者は国道事務所と、別々に許可を取りました。こうした申請の複雑さがあり、利用が進みません。申請する人も少ないので、申請手続きも簡略化の方向には進みません。さらに、個人的な利用には許可がでにくいという面もあります。一方で、地域に役立つ活動を多くの人が関わりながら住民主体で実施すると言えば、許可がおりる可能性が高い。世田谷区の支援を得ながら、民間ベースでまちづくりに携わる「二子玉川エリアマネジメンツ」や我々「ミズベリングニコタマ未来会議」など、地域団体が中心となって、河川の民間利用に対する道筋をつけていけたらいいなと考えています。
このライフジャケットは、「せたがや水辺の楽校」などの地域活動で活用されます。
絵付けワークショップで出来上がったライフジャケット。5月21日にお披露目のイベントが決まっています。
二子玉川駅そばのオフィスビルの玄関に集合し、そこから多摩川まではライフジャケットを着用してパレード!
川では魚が隠れられるすみかをつくります。
「川へは当然ライジャケオン」。これが二子玉川の風景として定着し、水辺の安全意識の向上につながり、「水辺」が二子玉川の大きな資源であることをつたえるきっかけになるといいですね!
大阪出身横浜在住。実家は大阪で海運業を営む。 BankARTスクール「これからどうなるヨコハマ」に水辺班メンバーとして参加。放送局キャスターを経て、現在は二児の育児のかたわら「ヨコハマ経済新聞」「子育て情報紙ベイ★キッズ」などでライターとして活動中。
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