2015.08.24
アレチウリってなに?外来種を退治するイベントに参加して、鶴見川の再生を体験してみた
100人集まれば、環境が守られるってどういうこと?
ネットサーフィンしていたら、こんな情報を発見
真夏のアレチウリ退治でオギを守ろう!
2015年7月26日(日)9:00~12:30
このイベント、アクアソーシャルフェスというイベントの一環で、以前から鶴見川の再生でお名前を聞いて気になっていたNPO鶴見川流域ネットワーキングさんが共催している、ということで参加を決断。申し込みはウェブの情報をたよりにメールでおこないました。すると早速申し込み完了のお知らせ。
当日は、長靴持参、長袖、長ズボン、帽子が必須(しかもスズメバチ対策で黒はダメらしい)ということで、気合いを入れて集合場所に到着。このときすでに気温は30度を超えていて、熱中症対策で持参したスポーツドリンクはこころもとなく、あわてて自販機に走って追加で調達。
早速受付を済ませると、さすがトヨタのクルマの名前が冠になっているだけに、グッズが素敵。
新羽橋の下でオリエンテーションをうけ、中州へ移動。
今回、退治するアレチウリについて、慶応大学名誉教授の岸由二先生からご説明をうける。
「2012年は、アレチウリがこれだけこの中州を覆ってしまっていました。アレチウリは外来種で、鶴見川にもともと生えていたオギを覆って日光を遮断してしまうことで駆逐してしまうのです。今回は、アレチウリを退治する、というより、オギを保護するためにアレチウリをやっつけるということなのです。」
なるほど。オギ、というのは在来植物で、在来植物が生い茂る環境をとりもどしたい、ということで活動をされているんですね。
それでは、実際にやってみました。
アレチウリは途中でぶちぶち切れてしまうので、できるだけ根元の方から採ります。根元から採ろうとすると、根っこも一緒にとれるのですが、これでアレチウリは根絶することができます。アレチウリは、ツタ性の植物なので、オギやアシに絡まりついていて、けっこうたいへんです。
それでも、アレチウリ、失礼ながら勝手にイメージしていはほどは生えていないようです。
「去年はたくさんアレチウリを退治したおかげで、今回はだいぶ少なくなったようですね。
なるほど。
それでも、アレチウリ以外にもヨーロッパ原産のネズミホソムギやオオブタクサ、カナムグラなどたくさんの植物を退治。
それにしても暑い!この日の作業は9:00~12:30までだったのですが、気象庁発表の横浜地方の気温を見ると、12時の時点で34度!立っているだけでふらふらします。これはキツい!
中州に建てられたテントのなかには、緊急用の水と塩あめ、そして氷が用意されています。安全のため、15分作業して、15分休憩します。
ひとしきり作業すると意外なほどの達成感が。となりで作業しているひとたちにも自然と声をかけます。
来ている人たちは多彩。まさに老若男女。トヨタの販売店のひとも積極的に参加していました。
終了とともに、採れたアレチウリはじめ、外来植物たちを前に、記念撮影!
これで、オギがのびのび成長できる環境ができましたね。
でも疲労感がハンパではありません!
参加者のなかには去年のこのイベントに参加した人たちもふくまれていたようで、今年のオギの元気さにおどろいていたようです。来年がまた楽しみですね。
11:10からは、バイオブリッツとよばれるイベントが行われました。バイオブリッツ、とはある一定のエリアの生き物をできるだけ多く見つけ、その名前を判別するというイベントです。昨年は15分のあいだにみつけたそうですが、今年は安全を考慮して10分に短縮。それでも、植物は22種類(昨年は27種)、昆虫類は25種(去年は23種)水のいきものは6種見つかり、全部で54種類の生き物がみつかりました。
「今回バイオブリッツで発見されたもののなかに、昆虫や植物が多いのは実はあたりまえで、地球上の生物のほとんどがこういう種類のものです。地球上にこのような環境が生まれたのは意外と歴史が浅く、1億2千年前から。花をさかせてつながってきたこの環境を、わたしたちがどう次につなげていくのか、ということに関心をもってもらえれば」
なるほど。
その後、キーワードトークをNPOのシンクジアース理事の上田さんがファシリテーション。「体験と経験ってちがうのです。」と上田さん。
「体験はみんなに共通のできごと。経験はそのひとなりの意味付けで変わる。経験を言葉にして共有することで、同じ体験でも多様な受け止め方があることがわかる」というお話があり、自ら気がついたことを紙に書いてみる。
みんなでやれば楽しい、とか、日差しって厳しいなとかたくさん意見があがっていました。それぞれの人の気がついたことが、なるほどねー、と頭に入ってきました。
私は「身近な自然に人が手を入れる、っていうこと」と書きました。
自然って、人の手が入らないなにか、ではなくて、人間も自然の循環の一部だからこそ、外来種が本来生育するべきでないところで生育してしまったりする。
アレチウリの退治を通して人が自然とどうやって対峙していくことがいいことなのか、いろいろと考えるきっかけをいただきました。
さて、アレチウリの退治、行政がすることもあるそうなのですが、岸さん曰く「莫大な予算をかけてムダなことをしている」とのこと。どういうことかというと、作業員の人を雇って機械で伐採しても機械で切っているだけなので根っこが残っているからまた生えてしてしまう。
こういう市民が100人も集まるようなイベントにすれば暑い日でも100人日の作業量がこなせてしまう。しかも根っこから採るので、再生につながりやすい。
個人的な感想を言えば、とっても楽しかった。作業は単調でつまらないのではないか、と思っていたけど、よく考えれば自分の目線をこんなに低くして河川敷の草むらと向き合ったことなんて、子ども以来なかったかもしれないですし、レクチャーもとても面白かった。
このイベントに参加している、とFacebookで挙げたら、知りあいから早速「次はぜったい参加する!」とのコメントが。
前向きの連鎖がつながって、継続して鶴見川の再生に多くのひとが携われるような環境がつくれるといいな、と思いました。
この記事を書いた人
ミズベリングプロジェクトディレクター/(株)水辺総研代表取締役/舟運活性化コンソーシアムTOKYO2021事務局長/水辺荘共同発起人/建築設計事務所RaasDESIGN主宰
建築家。一級建築士。ミズベリングプロジェクトのディレクターを務めるほか、全国の水辺の魅力を創出する活動を行い、和歌山市、墨田区、鉄道事業者の開発案件の水辺、エリアマネジメント組織などの水辺利活用のコンサルテーションなどを行う。横浜の水辺を使いこなすための会員組織、「水辺荘」の共同設立者。東京建築士会これからの建築士賞受賞(2017)、まちなか広場賞奨励賞(2017)グッドデザイン賞金賞(ミズベリング、2018)