2015.03.23

札幌で人とコミュニティが関与できる新しい水辺のつながりが始まる!

官民連携のまちづくりで先進事例を生み出し続けている札幌でミズベリング会議が行われる意義

札幌スタートアップ会議が3月1日、テレビ塔の会議室で開催された。 総勢50名の方が集まり、札幌近郊の市民活動としての水辺、そして水辺の活動が街とどう未来をつくっていくか考えるワクワクする会が北海道でも幕を開けた。

全国へそして北海道内にも広がる!

はじめに事務局からミズベリングについての説明。
国土交通省の課長補佐の田中さんから、今までやっていることからはみだしてみようと話し始めると会場が少しざわついた。

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水辺は触ってはいけない所というイメージがあったが、触っていいんだと環境が変わり、このミズベリングはみんなで話しあって楽しく進めていくことが特徴と真田さんから説明があった。
水辺の価値を見つめ直し使い倒そう、と昨年の3月に始まり全国で30もの会議が行われた。
そして今年、北海道では札幌に続き3月に千歳でも開催される。

そして全国の水辺の“はみだしもの”がつながっていくのも面白くなりそうだ。
これから始まるミズベリング札幌、まずはどんな方たちがいてどのような活動をされているかみなさんで共有する発表の時間が始まった。

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まずは全国でも先進的取り組みであるサイクルシェアサービスを運営するNPO法人ポロクル事務局の三上さんから活動の発表。

街中の点と点を結ぶサービスを提供している中で、川と川を自転車で結ぶイベントも行うことを考えていた。
川をつなぐモビリティとして自転車はこの地でもとても可能性がありそうだ。

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右:事務局の三上さん・左:大学生でありポロクルのクルー(運営スタッフ)の佐藤さん

そして札幌では若い人も積極的に地域の活動に参加し、地域の課題から事業を起こしていく方たちがこの地はいる事を知れた。

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札幌の郊外にはモエレ沼公園がある。
モエレ沼は川と思ってない方も多いそうだが実は一級河川なのだそうだ!

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NPO法人モエレ沼公園の活用を考える会の武市さん

モエレ沼はもともと洪水対策。そしてゴミ処理場として使われていた。
イサムノグチが関心をもってこの公園にするプロジェクトがスタートした。

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大阪万博で噴水の設計やマイアミのランドスケープデザインを手がけたイサムノグチは1988年にかつてこのモエレ沼をこんな風に言ったそうだ。
『大きな水面があることがこの公園の最大の魅力なのだから、それをもっと引き出すよう計画する必要がある。』

武市さんは施設を作るだけではなく多くのファンを作らなくてはいけなく、公園というのは出来上がったところがスタートだと思ったそうだ。
そんな事から12年前、ガラスのピラミッドが出来上がるときにモエレ・ファンクラブが結成された。
そして、それをどう使うかNPO法人モエレ沼を愛す会はコンサートやワークショップなど様々な取り組みをしてきた。

でも実はあまり今まで水を意識した取り組みはされてこなかったそうだ。
このミズベリングを通じてモエレ沼公園の水辺の可能性を考えたいとこれからを語られた。

こどもたちに水辺の経験を!

手稲さと川探検隊の局長の鈴木さんは、このミズベリングの事を聞いた時、まず俺らが関わらなくては!と思ったそうだ。

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水は多くの生きものを育み、水辺は生きものたちと出会いの場、そして水辺は困りごとが解決する場だと発表する鈴木さん

この会は2004年からボランティアで子供の頃から水の体験をする場、そして機会を作っている。
自然体験活動を通じて、いのちの素晴らしさ、仲間と協力して楽しむことなど感じ学び、水と親しんできた子供が多くいる地域にはこれからの水辺にとても希望がある。
水辺の命も感じながら、水辺での人のつながりをつくっていこうと鈴木さんはメッセージをみなさんに伝えた。

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会場のテレビ塔の前には創成川が見える。
このそばでカフェを営む、寿珈琲の柴田さん。

はじめなぜ自分が呼ばれたのだろうと思ったそうだ。
やはり水辺にはカフェが必要だろうと改めて思い始めた。

“市民はもっと川を使うべき。
創成川は大通公園のイベントに対し普段から日常使いができるスペースだ。”

商店主目線で街と川への意見を述べられた。

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柴田さんには発表前、会場で珈琲を提供して頂いた

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会場の方になぜこの会を知ったか聞くと、知人から聞いておもしろそうと思ったという方が多かった。
またポートランド開発局の山崎さんからこのミズベリング札幌会議の事を知った方もいたそうだ。

その山崎さんからポートランドより映像でメッセージがあった。
さすがポートランドの姉妹都市!札幌。

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札幌ミズベリングチームのチーフの須賀さんが先月東京で行ったフォーラムのレポートをされた。
フォーラムで取り上げられた全米一住みやすいポートランドの下記のような事が挙げられた。

・大自然に囲まれた都市
・自然を楽しむライフスタイル
・豊かな食文化
・「自然へのリスペクト」を共有している

札幌にもこの要素がある。
とても可能性がある街なのだ。
ミズベリング札幌チームはイベント継続型で進めようとしている。

「参加しよう!それがまちを変えて、水辺の未来をつくっていく」

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須賀さんは静かながら熱くみなさんに語られた。

事務局の岩本さんは、“札幌はまちづくりに主体的に参加している人たちがたくさんいるし、ミズベリング的な概念を持ちすでにいろいろな活動をされている人たちもいるのでミズベリングも札幌から学びたいと思っている”とみなさんの発表を聞いて感想を述べられた。
そしていきなりはすぐできないが、好きなこと楽しい事が地域に貢献していけばいいのではないかとお話しをし建築家目線から他の地域の具体的な例や可能性ある案も出された。

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このミズベリング札幌会議、北海道開発局の須賀さんが昨年の4月、グリーンバードというゴミ拾いの会で、さっぽろ大通まちづくり会社の佐々木さんとゴミを拾いながら、こんな事をやりたいなぁというさりげない会話から始まったと言う。

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ゆるやかなつながりを川はつなげてくれる。
札幌会議は、普段から活動し実践している人たちがすでに活動の豊かな土壌で川を一緒に考えそしてつながる事で、できる事からまた夢が実現していくような希望に溢れていた。

スタートアップ会議が終わり進展が楽しみだ。

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今回、ミズベリング札幌会議は、札幌大通りまちづくり株式会社が事務局を運営し、開催されました。
札幌大通りまちづくり株式会社は、都市再生特別措置法の都市再生整備推進法人(まちづくり会社)に指定されています。まちを活性化するさまざまな事業をやられているなかで、この指定を受けたことにより、国道36号線の歩道部にコンテナとウッドデッキを置いて、「大通りすわろうテラス」と名付け、カフェや軽飲食の販売施設として貸し出しを始めました。公共の道路の上で販売事業できる建物をつくってしまうなんて、全国的にもあまり例がありません。ここでおこなわれるさまざまな出来事や得られる収益によって、地域は活性化する、という算段だそうです。
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ミズベリングではおなじみの、広島の水辺のカフェも同様の事例ですが、広島は行政主体でカフェ空間の整備、事業者の誘致を行っているのに対して、札幌は民間が主体です。このまちづくり会社の株主は、商店街の組合だったり、企業だったり、百貨店だったりします。市も出資していますが出資比率は3%程度です。株式会社が公共空間の利活用を実際にやっているという先進事例なのです。
ミズベリングは、水辺という陸地と河川のあいまいな領域を自分事化していこうという活動です。水辺のことを考えれば必然的にまちをどうするべきなのかを考えざるを得ません。稼ぐ公共、民間主導のまちづくりを体現している札幌のまちづくりが創成川の水辺をこれからどうされるのか興味が尽きません。視察させていただいた札幌大通りまちづくり株式会社のみなさん、ありがとうございました。(編集部)

この記事を書いた人

REFS代表 、沼津ジャーナル編集長、上土商店街理事

小松浩二

学生時代、ユーラシア横断を旅した時に日本の素晴らしさ、そしてどの国でもおいしいモノのまわりには人が集まり笑顔が集まる事を見て食の道に進み食品会社に入社。バイヤー業を務め6年後地元に戻り地域のReal food storyを発信するため、沼津上土(あげつち)商店街で野菜のセレクトショップREFSを起業。畑に行き野菜を仕入れながら畑で写真や映像を撮影し食べる人と食の物語を共有させる小売店を運営。 生産地の畑と、消費地の商店街にて有機的な関係を作るため活動をしている。 商店街で沼津ナイトマーケット、川辺で狩野川ローカルマーケット、沼津港でライジングサンマフェスティバルの実行委員長を務めながら地域の魅力を見つめ発信するためwebにて沼津の物語を発信する沼津ジャーナルを立ち上げる。 山・川・海・街のある沼津。現状活かされてない地域の資源をどのように使えるか提案をしながら実践をしている。

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