2014.03.03
東京運河21km SUPツーリング
東京セントラルイーストの運河を行く。
はじめまして。水主(かこ)の糸井と申します。
水主とは、櫓や櫂を使って舟を航行させる漕ぎ手の呼び名です。
今回僕は東京都内に広がる水域を廻る旅をしました。
そのご紹介をいたします。
東京都内SUPツーリング21km
東京という大都会は現在日本の首都であり、多くの人で賑わっています。
ただ、今回注目すべきは東京の水上、すなわち運河廻りです。
東京は海に面し、荒川や江戸川、多摩川など多くの河川が流入し港として江戸時代から発達してきた街でありますが、その水上交通網を支えてきたものが「運河」です。
今回は、その迷路のように張り巡らされた運河をSUPを使用してツーリングします。
SUPとは??
さて、今回使用するSUPというギアとはなんでしょうか。
SUP(サップ)は、Stand Up Paddlebooard(スタンドアップパドルボード)の略称で、ボードに立ちながら(もしくは座りながら)パドルを使って漕ぐものです。
発祥は、ハワイ。あるサーファーが、行動範囲が狭く同じ波を取り合うサーフィンのリスクをパドルを使って移動して波を求め、またパドルも使用して波乗りするという目的で産み出されたものです。そこで、サーフゾーン(砕波帯)と海岸との移動を行うサーフィン(波乗り)だけでなく、パドルを使用することでサーフゾーンを超えた沖、もしくは河川や湖沼などの静水域なども航行することができるカヌーやカヤックなどのツーリング文化が融合し、現在ではサーフィンタイプのSUPだけでなく、2000年代に流行り始めたリジットタイプという一枚板のボードのツーリングタイプのSUPも普及しています。
そこで、さらに改良されたボードがインフレータブルボード(空気注入し膨張させるタイプのボード)で、2010年代に入り各メーカー(サーフィン・ウインドサーフィン・カヌーメーカーやアウトドアメーカーに至るまで)が競って開発を行い普及しています。
今回使用するタイプは、インフレータブルタイプのツーリングSUPです。(使用するのはairSUP社。)
折りたたむとサイズは70~90リットルサイズのリュックサックサイズになります。
空気を入れ膨らませると、サイズは長さ300cm、幅76cm、厚さ15cmのボードと化します。
今回は、このボードをレンタカーに積め、横浜の水辺荘から東京を目指しました。
出発地
SUPだけでなくマリンスポーツのアクティビィティ全てに等しく言える事は、出発地をどこに設定するかということです。
今回フィールドは東京。護岸パラダイスの運河・港湾地帯。荒川や多摩川などの大型の河川敷では護岸はないのですが、東京都内から少し離れた場所に位置し、本命の場所である神田川までのツーリングを考えると時間がまったく足りません。
そのため、護岸パラダイスの中にオアシスのように存在する希少な出発地点(出艇ポイント)をあらかじめ目星を付け、その近くの駐車場に停めます。
今回の出発地は、越中島と月島を結ぶ相生橋。その越中島側にある隅田川沿いの中の島公園からスタートです。
この公園に桟橋はありませんが、代わりに感潮池という潮の満ち干きの影響を受ける空間が公園の内部にあり、そこと隅田川が小さな柵にて区切られています。隅田川といっても、海に近い河口に位置するこの場所では潮流の影響があるため、河川特有の上流から下流へ流れる水の一方向性以外の水の流れも考えなければなりません。それでも、上手くこの「潮位」というものを利用すれば楽に水面に降りられるチャンスがあるのです。
さて、まずは中の島公園近くで路上停車をしてツーリングに使う荷物をサッと降ろし、僕は車を駐車場へ、もう1人は荷物を川沿いまで運び出発準備を行います。
今回の同行者は、海洋建築と都市空間を大学院にて学びSUPというマリンスポーツをツールとしながら水辺を観察する若者です。彼にはまずSUPに空気を入れてもらいましょうか。
僕が近くの駐車場から戻ってくると、彼は空気入れに苦戦しています。なんせ手動ポンプで100回以上も空気を入れていかなければなりません。目指すは1気圧近い12psiという表示単位を超えることです。ボードの中に入っている空気圧が適量であることが、ツーリングの良し悪しに関わってきます。そのため、この作業は最も重要なイベントです。
こんなことをしていると、通行人や公園にいる人たちは興味を持って話しかけてくださることも多々あります。
今回は水際の公園ということもあり、お昼から釣りをしているオッチャンたちが話しかけてくれました。
「これは何なの?」とか「空気入れんの、こりゃ大変だわ」とか「なんかあったら助け呼んでやるよ」「風が強いから気ぃつけてな」
そう。この日は風が強い日でした。出発時刻12時で南の風で風速6~7m/sとSUPにとってはレッドシグナルものの強風です。
マリンスポーツで、特に水上のマリンスポーツは風の影響を考えながら遊ぶのですが、SUPも例外ではありません。
ただ、僕はこれから向かうツーリングコースと風向きとメンバーを考えて、今回問題なくツーリングできると判断しました。
この時の風向きは南の風もしくは南南西の風と「南から北への追い風」、一方この夕方の風予報は北の風もしくは北北東の風と「北から南への追い風」と変化します。ちょうど秋から冬にかけての変化の季節ではこういった風が1日で変化することが多々あるのです。昔の大戦略家のように風を味方につけて楽なマリンスポーツをすることが、賢い大人な遊び方と思っています。
ツーリング当日(2013年11月28日東京)の毎時風情報。南から北へ風向きが変わる予報。
気象庁の過去の気象データを参考に作成
よって、ツーリングコースは南風に乗って北上し、夕方前に北風に乗って南下するコースを前もって組み立てておきました。
では、これを基に神田川へ安全に北上するには、まずどこへ向かいましょうか。
中の島公園出発から亀島川
釣り人のオッチャンたちに見送られ、いざ隅田川。といっても、隅田川は川幅が広く、多くの船が通るので、なるべく早くどこかに逃げ込みたいものです。風もビュ~ビュ~吹き荒び追い風とはいうものの風で波が立つので、まずは亀島川へと向かいます。
亀島川は霊岸島(現在の新川)沿いを流れる運河で、最寄り駅はJR京葉線の八丁堀駅です。ここでは水辺と都市とが他の地域よりも相対的に近く、また風の影響も受けにくいのでここへ逃げ込みましょうか。
しかし、逃げ込むにもまずは広い隅田川を横断しなければなりません。
中の島公園から相生橋をくぐり、船が来ないか確認してから追い風を使って一気に石川島公園までまずは横断。
この石川島公園は親水テラス(都市住民が水に親しめるよう川岸を整備して作られた遊歩道や緑化地)があり、この時間は満潮のため川のフェンスがこのように沈んでいます。もしかしたらこの場所も出発地点に使えるかも。
この親水公園も満潮ならばフェンスが沈み障害はなくなる
さて、次に中央大橋がかかる隅田川を横断しなければなりません。
隅田川はこの中央大橋の1つ上流にある永代橋から下流に向けて2つに分岐し、1つは出発地近くの相生橋、もう1つはこの中央大橋、そして東京湾へと流れていきますが、隅田川横断を細分化して横断して行くことが無事に渡り切ることの戦略です。
つまり、この隅田川ツーリングにおいて最大のリスクは「他の船舶」であるので、船舶の位置をすぐに見つけること、横断を最短距離で行うこと、そして船舶の航行する場所を予測すること、この状態で一気に横断を敢行します。
と難しく書いてありますが、水上には陸上交通網と異なり交差点に信号と横断歩道は着いていないので、国道を視認しやすい場所で横断するようにスッと行えば問題ありません。大切なのはリラックスして状況判断することです。そこから「困難の細分化」ならぬ「横断の細分化」をしていきましょう。
さぁ中央大橋に沿って隅田川を渡ると、妙な像が真上に見えてきます。この像の真下までたどり着ければ横断完了です。
また岸沿いを通って隅田川を南下してすぐ亀島川に入りたいところですが、南風はここでは敵となって我々に襲い掛かります。漕いでも漕いでも進まない。やっとこさ、霊岸島水位観測所まで到達します。ちょうどお昼時で休憩に来たサラリーマンたちに「がんばれ~」と応援されました。有難いですね。
ようやく難所である隅田川を越え亀島川へ到着しました。これから、この水路を遡って行きます。
この亀島川は、先述したように水辺と都市との距離が相対的に近いのです。この写真のように生活空間の裏側にこの水路が位置していますが、船着場と河岸の高さが適度で、水路沿いは草花に覆われています。護岸パラダイスの大都市水路の中では少し異質な空間ですが、この距離感が水辺と人とが接する本来の空間なのでしょうか。
最後に日本橋水門を通航し、いざ日本橋川へ突入です。
日本橋川
亀島川から日本橋川に入ると景色は一転します。
まず目に飛び込んでくるのは、この高速道路の集合帯「江戸橋ジャンクション」が上空で空中戦を繰り広げております。構造物に特に興味を持てない僕でもこの空間にはたまげますね。
ふと、ビルに跳ね返ってきた強風がいきなり我々を横から襲います。危うく水へと落ちてしまうのを膝立ちに変えて阻止。追い風といえども「ビル風」には注意ですね。警戒のため膝立ちの状態で漕ぎます。フォームがいろいろ変えられるのがこのSUPのメリットの1つです。
さぁ、ついに見えてきました。日本橋。東海道の出発点で麒麟や獅子の像がいますが、彼らを下から眺めるのもオツです。
ここには日本橋の防災桟橋があります。防災桟橋とは、災害時に逃げ道としての水路利用、また物資運搬として水路を使用するための基点として機能する桟橋として作られたものです。災害時でない平時でも観光船や水上バスの桟橋として一部利用されています。
ここでは、ちょうど遊覧船が利用していました。彼らの運航の邪魔にならないよう距離をとりつつ日本橋を通過。
この先には江戸城のお堀の石垣たちが未だ残っています。この辺りは江戸時代から明治時代にかけての歴史の語り部たちが多く残っていますが、水路でも現存しております。きっと土木が好きな方と一緒にツーリングをしたらいろんな話が聴けるのだろうなと思いながら、常盤橋防災桟橋にて少し警戒。
警戒するのは、常盤橋。修復作業中のため変貌しております。アーチ橋を崩さずに解体して修復作業を行うようなので、今後この橋の通航がどうなるか分かりませんが、我々はちょいと遊び始めました。
リンボーで腰を少し痛めながら北上していくと、次に見えるのはJRの鉄橋です。まさに神殿ですね、この神々しさは。
写真奥の3連アーチ橋が新幹線(東北・上越新幹線)の鉄橋。そして手前の大きく1つのアーチ橋がJR在来線(山手線・京浜東北線・中央本線・総武本線)の鉄橋です。
水の神殿を超え、追い風をつかみながらずんずん遡って行きます。途中防災桟橋を1つ超え、もう少しで日本橋川が終了する手前に1つ防災桟橋(新三崎橋防災桟橋)があります。ここに捕まってお昼休憩を取ろうとしましたが、先客がいらっしゃいました。
千代田区のさくらというエコボートでした。ちょうどお客さんを乗せ説明している所にちょうど我々来たもんだから少しお邪魔しちゃいました。エコボートが去った後に水上で総武線の鉄橋(水道橋~飯田橋間)を眺めながらお昼ご飯を取るのでした。
神田川(分水路と渓谷)
「神田川」という歌を皆さんご存知でしょうか。ちなみに僕はたまに歌いますが、僕の後輩たちは何の歌なのかさっぱり分からない。そういう世代です。
今回ツーリングの本命はこの神田川。「東京にもあったんだ」と思える素晴らしい景色が広がっています。むしろ人が多く集まる東京を横切る場所だからこそ産み出された水路です。
おそらく「神田川」で歌われる川はもう少し上流の方だと推測できます。なにしろ生活感がまったくない水路をこれから通っていきます。
まずは、日本橋川と神田川の交差路に注目すると、ゴミ運搬船が作業中であります。ここでは千代田区と文京区から集められた不燃ごみの一部がここでゴミ運搬船に積載され、最終的に中央防波堤外側埋立処分場まで運ばれるようです。
今回はちょうど船がゴミの積載も終わり出航するようだったので、ゴミ運搬船のお兄さんに「これから船出ますから気をつけて~」と声をかけられました。ただ、この後ゴミ運搬船は我々SUP探検隊を見失うことになるのですが。
この交差路から神田川を下流(東から西)へと進みます。水道橋駅のあたりではこのように防災桟橋があるのですが、たまに水上バイクの人たちが止めるらしく「立入禁止」の札が多く掲げられていますね。さすが東京の防災桟橋です。河川の通航というものは自由なのですが、桟橋は申請しないと使えません。よって誰も水上を利用できないようになっております。
さて、本命はこちら。水道橋をくぐると神田川と並行した水路があり、その入り口が見えてきます。入り口は藪で覆われているのが特徴の1つです。
まずは入って休憩しているとエコボートが近づいてきました。邪魔にならないようにトンネル入り口まで逃げこみます。
このトンネルが、御茶ノ水分水路。神田川が増水したときに水を本線と分水路に分けることで減災するための構造物です。
ちょうど追い風に押されて潜入してしまったため、このまま探検隊スタート。こういう時のために防水バッグに入れておいた防水ライトとヘッドライトを使用します。
分水路の中は一筋の光もなく闇に包まれ声は反響します。きっと夏に入ったら毒々しい臭気で参ってしまうのでしょう。水質は最悪ですので見ないようにしながら光を求めます。
途中、ゴミ運搬船のエンジン音が鳴り響きます。トンネルの入り口からか出口からなのか反響していて距離感を失います。延々と鳴り止まず大きくなり小さくなるエンジン音がようやく消えていきました。次は何処かの駅のホーム放送が響きます。何時間経ったのでしょうか。いえ、きっと何十分しか経っていないのでしょう。光が見えてきました。交差路を右に曲がり光の射すほうへ向かうと、まさかの行き止まり。絶望が我々を襲います。気を取り直して、交差路まで戻り、もう一方の水路を進むと、ようやく出ました。神田川本流よ、ただいま。
神田川に戻ると、場所は昌平橋の近く、左に行けば秋葉原、右に行けばお茶ノ水とそんな場所です。針路としては戻ることになるのですが、せっかく来たのでお茶ノ水へ寄り道を始めました。
皆さんは、お茶ノ水駅のホームから下を流れる川を見たことはあるのでしょうか。まさにその川に我々はいたのです。お茶ノ水渓谷は聖橋がよく映えます。残念ながら聖橋付近で工事中であったため少し景観は損ねましたが、水上でまったりと東京の秋を堪能できました。
しかし、時刻は15時近く。日も暮れてきました。すぐさま方向転換して一路下流へ漕いで行きます。
途中、丸ノ内線がひょっこり顔を出す鉄橋をくぐります。
万世橋駅跡をチラ見し、秋葉原を通過。浅草橋の屋形船の船溜まりを見ながら河口へ出ます。
再びの隅田川、そして江東内部河川という迷路へ
神田川の河口は、すなわち隅田川です。またもや隅田川を横断しなければなりません。
その前に東京の新たなランドマークである東京スカイツリーをよく見えるので、ちょいと写真撮影を。
さて、横断と意気込むと、気づくと隠密のようにやってくる物体があります。TOKYO CRUISE社のヒミコ。遠くから見てもまったく気づかずヒミコ通航前に横断を始めるところでした。観光船は乗るのは楽しいですが、同じ航行する立場になると楽しいというよりも事故を起こさないよう細心の注意を払います。おそらく我々だけでなく、ヒミコの船長さんも同じことを思ったはず。「なんだ、あの乗り物は」と。
ヒミコ通過後に広い隅田川を一気に横断します。
隅田川は直角護岸に囲まれているため、船の引き波が護岸に当たって反射波となり、その繰り返しが延々と続く三角波スポットなので、膝立ちに切り替えて落ちないように悠々として急ぐわけです。
さて、ここで問題です。
これから我々は南下を始めてスタート地点に戻るのですが、ルートが2種類あります。
①超特急便だけど大荒れの水路(隅田川をそのまま南下)
②少し遠回りするけれど安全な水路(江東内部河川を使用して南下)
さぁ貴方はどちらを選びますか。
我々が選んだのは、②少し遠回りするけれど安全な水路(江東内部河川を使用して南下)です。なぜかというとSUPで三角波に翻弄されながら焦って漕いでゴールするのが粋でないと思ったからであります。
その結果、これから江東内部河川が始まります。
ここは、荒川と隅田川に挟まれた江東三角地帯を流れる江東内部河川と言われ、古くから舟運が盛んで今もカヌーやカヤックなどの手こぎボートでたくさんの人々が水辺を利用している水路です。そのため、自主ルールや標識があり、それに則って通航をすれば、安全にツーリングを楽しくことができる水路なのですが、この江東内部河川を大きく二分することができます。その基準は扇橋閘門の存在です。この閘門という水門により荒川方面の旧中川から北十間川などの水路と、今回ツーリングする大横川などの隅田川ほう面の水路に分けることができます。
ただ、気をつけていただきたいのが、水の迷路となっているためツーリングの際はぜひ地図を持ってきていただきたいということです。
我々は今回迷路の入り口である堅川へ進入してオリエンテーリングスタート。
さぁ、まずは東西まっすぐ1.7kmの堅川です。上空は首都高速7号小松川線が通り、大横川との交差路である突き当りの護岸まで入り口からよく見えます。ここは、静水域でのストレートコースではパドリングのスキルが試されるので、気持ちよくスピーディに漕いでようやく右への曲がり角。
角を曲がると水路は大横川となります。この川は南北をまっすぐ結ぶ川ですが、特徴の1つに河岸の歩道沿いに現在地んもマップがあります。また、フェンスはありますが歩道との距離も近く、緊急時は上陸(エスケープ)も可能な高さです。
大横川は途中小名木川という隅田川から荒川まで東西を結ぶ水路の要と交差します。交差路の東を見ると、扇橋閘門がありますが、今回は時間がないため通航もしません。
ずんずんと南下して行く頃には、予想通り南風から北風に変わってきたためまた追い風で楽にツーリングができるのです。
夕暮れの中、地元の子供たちに「がんばって~」「わたしもやりた~い」「ばいば~い」と声をかけられながら次の交差路へと辿りつきました。
ここには茂森橋という東京で最も低い橋があります。もう少しで干潮の時間であったため、橋と水面との空間は少しあり、我々は腹ばいになって通過。潮が高い満潮の時間であったら通れないため貴重な体験です。
茂森橋通過後に木場が見えてきます。木場は貯木場として機能していましたが、現在はその機能を少し東の新木場に譲っています。その夕暮れの木場で迷路に迷わずに豊洲運河へと抜け出しました。
豊洲運河では夜の屋形船の活動が始まっていて、その引き波に翻弄されながら水門を抜けると、夜の東京が一望できます。貯木場跡に生息する鵜たちが不気味に鳴いていますが、この景色は美しい。ただ、夜風で体が冷える前に、夜景に見とれて落水する前に、なんとかスタート地点である中の島公園までゴールすることができました。
総ツーリング距離は21km。時間は5時間半かかりました。
中の島公園はすでに釣り人がいなく閑散としていました。スタートの満潮時とは異なり、ゴールのときは干潮に近い時間であったため上陸に少し手間取りましたが、無事に東京の水路廻り達成です。
東京の課題は、桟橋が多くある中で上手く活用していない、うまく活用できない体制にあるところですが、こういった自力で漕ぐ水辺ツーリングをしていくと、東京でありながら、江戸の遺産に思いを馳せることができるのですね。地元の水辺や働き先に近い水辺という身近な非日常空間で楽しむというのも、1人1人の観光場所として深みを持ってくるのではないでしょうか。
おっと、終わったら後片付けが残っていましたね。
この記事を書いた人
水主(櫓や櫂による舟の漕ぎ手・「かこ」と呼びます)
NPO法人 横浜シーフレンズ理事(日本レクリエーショナルカヌー協会公認校)
帆船日本丸記念財団シーカヤックインストラクター
水辺荘アドバイザー
横浜市カヌー協会理事
東京海洋大学大学院(海洋科学)在学中に、東京や横浜で海や港のフィールドワークをシーカヤックを通して学ぶ間に街中の水辺の魅力に引き込まれ現在に至ります。 大都市の水辺は、多くの旅人が行き交い賑わう場所で、また自然と対峙するアウトドアでもあります。 水辺をよく知ることが、町や歴史や国を知り旅の深みを増す契機となり、 また水辺の経験により自己を顧みる機会となります。 日本各地において水辺の最前線で活動しているプレーヤーの紹介を通して、水辺からの観光、地元の新たな魅力、 水辺のアウトドアスポットに触れる機会を作っていきたいです。 シーカヤックインストラクター(日本レクリエーショナルカヌー協会シーシニア)、一級小型船舶操縦士、自然体験活動指導者(NEALリーダー)。趣味は、シーカヤック・SUP(スタンドアップパドルボード)スキンダイビング・シュノーケリング・水中ホッケー・カヌーポロ・ドラゴンボート、そして島巡り旅。
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