2016.12.21
徳島LEDアートフェスティバル2016が開幕
先進水辺都市徳島の光の祭典は、これまでのさまざま活動や政策の蓄積の上になりたっていた
徳島県徳島市の新町川において徳島LEDアートフェスティバル2016が12月16日18時に開幕しました。
今年3回目となるこのイベントでは、徳島が誇るLEDの作品が30以上展示され、12月25日まで徳島を彩ります。
LEDアートフェスティバルと水辺
吉野川の河口部に位置する水辺の先進都市徳島市は、江戸時代から舟運で栄えた町で、縦横無尽にはしる運河のような川は徳島という都市を形作り、そしていまなおその魅力の一端を担い続けている。それでも、徳島の水辺とはいっても、他の都市の例に漏れず、厳しい時代もあった。
「私が子供の頃はここ新町川悪臭放つ川で近寄りがたい川でしたが、公園整備や新町川を守る会の活動や啓発などで徐々にきれいな空間となりました。徳島では「ひょうたん島水と緑のネットワーク構想」に基づいてひょうたん島周辺の水を活かしたまちづくりを継続的におこなっており、このLEDアートイベントでは、地域の資源であるLEDの「光」の要素を加えることによって他の都市にない魅力を発信するのです。」
と話すのは徳島市の遠藤市長。
「今回のイベントで芸術監督を務めるチームラボの猪子代表は、この新町川会場のすぐ近くがご実家ということもあり、地元でLEDのアートイベントをやるなら新町川を使わなければならないという提案をしていただきました。地元にとっては有り難い限りです。」
そのチームラボ代表の猪子さんは、
「幼少期は何も意識していなかった地元ですが、18歳で離れ世界各地で活動していく中で、街中に広大な原生林が残り、水辺との距離がこれほどまでに近い街の希少さに気がつきました。生まれ育った徳島の川と森の魅力を意識したアートフェスティバルとしました。」と挨拶。世界を知る猪子さんだからこそ、地元の資源を客観的に見てそして愛情を注ぐということができるのかもしれません。
LEDの点灯式にあらわれた猪子さんは地元からの認知度も高く、多くの方々から声援を受けていました。
LEDと徳島
1993年に青色LEDを発明した日亜化学工業株式会社が本拠とするのが徳島県ということもあり、LEDが産業として非常に重要な徳島。工業製品としてのLEDというよりも、人のふれあいや地域の活性化にどう寄与できるかということが、2006年ごろから徳島市内で議論を重ねてきました。2010年にLEDアートフェスティバルとしてスタートし、3年に一回の開催をしてきましたが、今回が3回目。
水辺を会場とするのも恒例で、これまで展示されてきた作品のうち、新町橋、ふれあい橋、両国橋につけられた LEDの作品は徳島市LED景観整備事業で常設として残され、地域の魅力として市民に親しまれています。今回も春日橋にあらたな作品がつくられ、あらたな水辺の魅力が徳島に誕生しました。
徳島水辺を担う新町川を守る会もそのイベントを盛り上げることに参加
その徳島水辺で重要な役割を担う「NPO法人新町川を守る会」は、毎日11時~17時までの間で「ひょうたん島クルーズ」というクルーズを現在でも残る街中運河を周遊するクルーズを提供し、徳島の水辺になくてはならない存在として定着しています。
このLEDアートフェスティバルのイベント期間中は、18時~22時の間、アートフェスティバル観覧のために夜の新町川のクルーズを実施します(徳島市の事業)。チームラボの大きな球形の作品がならぶ新町川をめぐる体験は人気で、初日も整理券があっというまになくなってしまい、300名以上のお客様がこのクルーズを楽しみました。
新町川を守る会は、平成2年に会長の中村英夫さんが発足した水辺団体で、二十数年間にわたり、水辺の清掃活動をしてきました。
毎日継続することで周囲から水辺の活動を地元から認知され、また清掃活動の一環で船舶を導入し、現在のひょうたん島クルーズへと派生することになりました。
この新町川を守る会の30年近く経っても継続してきた活動と柔らかく周りを巻き込む力が、今日徳島の水辺の基盤となっています。
そんな徳島街中の水辺を彩る「徳島LEDアートフェスティバル2016」は、12月16日~12月25日まで開催です。
「徳島LEDアートフェスティバルを通して、徳島の水辺のまちとしての魅力を全国の水辺に関心のある方々に知ってもらいたい」というのは前出の遠藤市長。
この機会に、徳島の水辺を体験してみてはいかがでしょうか?
- 項目
- 内容
- イベント
- 徳島LEDアートフェスティバル2016
- 開催日時
- 2016年12月16日(金)〜25日(日) 18:00~22:00(一部コンテンツを除く)
- 場所
- 徳島市中心部
- 主催
- 徳島LEDアートフェスティバル2016実行委員会・徳島市
- 芸術監督
- 猪子寿之(チームラボ)
- 公式ウェブサイト
- こちらより。
この記事を書いた人
水主(櫓や櫂による舟の漕ぎ手・「かこ」と呼びます)
NPO法人 横浜シーフレンズ理事(日本レクリエーショナルカヌー協会公認校)
帆船日本丸記念財団シーカヤックインストラクター
水辺荘アドバイザー
横浜市カヌー協会理事
東京海洋大学大学院(海洋科学)在学中に、東京や横浜で海や港のフィールドワークをシーカヤックを通して学ぶ間に街中の水辺の魅力に引き込まれ現在に至ります。 大都市の水辺は、多くの旅人が行き交い賑わう場所で、また自然と対峙するアウトドアでもあります。 水辺をよく知ることが、町や歴史や国を知り旅の深みを増す契機となり、 また水辺の経験により自己を顧みる機会となります。 日本各地において水辺の最前線で活動しているプレーヤーの紹介を通して、水辺からの観光、地元の新たな魅力、 水辺のアウトドアスポットに触れる機会を作っていきたいです。 シーカヤックインストラクター(日本レクリエーショナルカヌー協会シーシニア)、一級小型船舶操縦士、自然体験活動指導者(NEALリーダー)。趣味は、シーカヤック・SUP(スタンドアップパドルボード)スキンダイビング・シュノーケリング・水中ホッケー・カヌーポロ・ドラゴンボート、そして島巡り旅。
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