2021.08.23

古利根川の水辺活用を進める『ミズベリングすぎと』

東武スカイツリーライン、東武動物公園駅東口から徒歩3分のところに、一級河川の「大落古利根川」があります。
埼玉県東部地域を流下するこの古利根川。もともとは利根川の本流であったが、江戸時代初期の利根川東遷事業により、現在の流れにかわり、一級河川として埼玉県が管理しています。

利根川東遷以前は、米や物資などの船運や、うなぎやドジョウなどの川魚を使った料理店が多数あり、古くから川を活用する文化がありました。

古利根川流灯まつり

昭和初期に杉戸町、宮代町の商店が協力し、商店の宣伝のために工夫を凝らした灯篭を古利根川に浮かべる「流燈會」を開催した。第二次世界大戦中に一時中断していたが、平成2年に本町商店会の若手グループ本町昭和会がまちおこしの一環として、流燈會を復活させ、平成6年度から実行委員会によって、現在の形と同じような古利根川流灯まつりが開催されている。

古利根川流灯まつりは例年、8月上旬の土日に開催され、古川橋から清地橋の間の約1kmに、畳一畳ほどの大きさの灯篭を川に250基ほど係留し、地上に降りた天の川のようと例えられている。小型灯篭を川に流すほか、バンド演奏や川の上で打ち上げ花火などのイベントも行われており、全国でも類を見ない祭の一つである。

昭和初期の流燈會 灯篭は趣向を凝らしてお店によって形も様々。

現在の古利根川流灯まつり畳一畳もある大型灯篭が250基並ぶ姿は美しい。

このように古くから川に親しんできた環境が杉戸町にはありました。

川の国埼玉 海はないけど日本一の川がある

海なし県である埼玉県は、県域に占める河川の割合が全国トップクラスであり、「川の国さいたま」を推進し、豊かな水辺の価値創造に向けた様々な取組みを実施しています。
杉戸町を流れる「一級河川 大落古利根川」でも水辺の活用に向けた「川の国埼玉 はつらつプロジェクト」をはじめ、「川のまるごと再生プロジェクト」など多くの事業を実施してきました。

川の国埼玉はつらつプロジェクト
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1008/hatsuratsushinchoku.html

川のまるごと再生プロジェクト
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1008/kawanosaisei/kawanomarugototennkaityuu.html

これらの事業によって、水辺の散策路や階段護岸、ポケットパークの整備、スロープや船着き場の整備が行われました。
町も流灯まつりの拠点となる「流灯ふれあい館」の整備や、古利根川と並走する杉戸宿の散策コースの整備などを行いました。

ドローンによる撮影 流灯ふれあい館付近から上流、駅前通り(古川橋)を望む
※左岸側には散策路や階段護岸が整備されている

ドローンによる撮影 流灯ふれあい館(左下施設)から下流、清地橋を望む
※左岸側の一部に散策路があるが、途切れてしまっている

ミズベリングすぎと

2020年度より、これらの事業によって整備された護岸や水辺空間を積極的に活用していくため、「ミズベリングすぎと・古利根川活用推進協議会」を2020年8月に立ち上げて活動を開始しました。

残念ながらコロナの影響で、例年8月上旬に行われていた古利根川流灯まつりは、中止となってしまいましたが、護岸や水辺空間を活用した新たな事業を小規模で展開しました。
水辺の活用としては、地域の民間事業者によるSUP(スタンドアップパドルボード)の体験会や、千葉県野田市の野田関宿カヌークラブとの連携による、カヤックの体験会を実施しました。


SUP体験会

カヌー体験会

護岸の活用としては竹灯籠などによるイルミネーションイベントや吹奏楽の演奏会の実施、創業支援事業である「月3万円ビジネス講座」の卒業発表会として、「321の市」を実施するなど、コロナ禍ではありますが、水辺の新たな日常の風景をうみだしてきました。

竹灯籠イルミネーション

吹奏楽の演奏 護岸の反響板がとてもいい響きを出します。

月3万円ビジネス 卒業発表会 321の市

かわまちづくり

国土交通省の採択を受けて、かわまちづくりの試行段階の検討を開始しました。水辺活用の効果が、まちへにじみだしていくことで、「水辺」と「まち」がつながっていくことを目指していきました。
検討に着手するのにあたり、河川管理者である埼玉県、隣町の宮代町の職員や、リバーフロント研究所の阿部さん、水辺総研の岩本さんにも参加していただき、古利根川を中心とした街歩きを実施して、駅前通りや公共施設の再編、日光街道など地域資源の再認識と宮代町や沿川と連携していくことの重要性を確認しました。
コロナじゃなければ、みんなで集まってわいわいミズベリング〇〇会議を開催したかったのですが、行政職員のオンランイン勉強会を実施し、これかの水辺活用に大切なマインド、何をやるか(WHAT)よりも、何故やるか(WHY)を考え、何を目指し、どんな状態を共通認識することが大事だと、水辺総研の岩本さんから教えていただきました。

流灯ふれあい館でかわまちづくりミーティング

都市・地域再生等利用区域への指定 そして・・・

「ミズベリングすぎと」として、水辺の活用をさらに進めていくために、「都市・地域再生等利用区域」の指定を目指して、河川管理者の埼玉県へ要望を行い、2021年4月に区域指定を受けました。
さらにその区域の一部の占用許可を杉戸町が受けて、施設使用者の公募を行った結果、杉戸町観光協会が使用者となり、2021年7月から河川敷地の民間事業者による商業利用が可能となりました。

杉戸町観光協会ホームページ 古利根川活用事業者募集
https://www.kankou.sugito.info/?p=7046

民間事業者と連携したさらなる河川空間の利活用

2021年度から、埼玉版SDGs重点テーマ「埼玉の豊かな水と緑を守り育む」の実現に向けて、新規事業として「水辺deベンチャーチャレンジ」を実施することとなりました。この事業は、企画段階から民間事業者との連携をさらに強化して、より魅力ある水辺空間の創出を図る事業です。
杉戸町はこの事業に応募し、実施候補箇所として選定されました。今後は、県、民間事業者などと協議を行いながら、整備プランなどの検討を進めていきます。

埼玉県 水辺deベンチャーチャレンジ
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1008/venture.html

個人的なこれから・・・

私自身も水辺活用の当事者となるべく、自前でSUP、カヤックを購入して古利根川の水辺を楽しんでいます。身近な川でこんな楽しみ方ができるということを、これからも発信していけたらと思います。
また、更なる連携を強化するため、綾瀬川で活動する草加パドルクラブさんや春日部カヌー協会さんにお邪魔して、清掃活動やカヌー大会、ダウンリバーに参加させていただき、情報交換や今後の連携について相談させていただきました。
水辺や護岸を活用した様々な社会実験という名のチャレンジを繰り返し、新たな民間事業者との連携を図るべく、これからも営業活動を積極的に進めていきます!
そして来年こそはコロナがある程度収束して、古利根川流灯まつりを開催し、多くの方に古利根川に来ていただきたいです。

春日部ダウンリバーにSUPで参加

マイカヤック!水辺の清掃活動頑張ります。

この記事を書いた人

杉戸町 商工観光課長

新井友和

1971年生まれ。1990年杉戸町役場奉職。2020年から現職。 これまで都市計画部門では線引き、用途地域変更、地区計画の決定などを担当。産業団地部門では合計14年間で2か所70haの開発を計画、用地買収、造成、分譲などを担当。営繕部門では学校校舎の耐震補強・大規模改修を担当。まちづくり部門では都市計画道路の事業認可、沿道整備街路事業の認可、公民連携手法を活用した公共施設の再編整備の検討を担当。商工観光部門では観光イベントの運営、新型コロナ対策、ミズベリングなどの業務を担当。彩の国さいたま人づくり後期連合に2年間派遣され、政策研究部で行政課題の解決に向けた政策研究を行った。 趣味は吹奏楽、ウインタースポーツ、サッカー、SUP、カヤック、ガーデニング、キャンプほか。

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