2017.01.13

狛江を盛り上げたい!comaecolor主催の『TAMARIBA』で多摩川を堪能。

『TAMARIBA』は、みんなの溜まり場。

昨年秋、ミズベリング事務局定例会議に現れたのは、狛江市からやって来られた「comaecolor」の面々。代表の篠塚雄一郎さんと副代表の高野充吉さん、そして狛江市議会議員の山田たくじさんの御三方が、ミズベリングの噂を聞きつけ定例会に登場し、事務局メンバーと意見を交わしました。

comaecolorは、狛江を盛り上げたい・狛江の良さをもっと発信したいと共通の思いを持つ人々が集まり、それぞれの得意分野を融合させ、新しい狛江のイメージを作っていくことを目指し集った仲間だそうです。
実はここ数年、狛江市内に移り住む若いご家族が年々増えているとか。新宿にも小田急線1本で向かえることができ、水辺を含む自然環境も備えたゆったりした雰囲気に、魅力を感じているのかもしれません。
そんな狛江”愛”に満ちたcomaecolorが作った『TAMARIBA』が多摩川の河川敷でついに開催されると聞き、ついでにおなかもすかせて遊びに行ってみました♪

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TAMARIBA=タマリバとは、Tamagawa Riverside Festival。 何とも響きがいいですね!気負いもなくカジュアルに集える雰囲気がタイトルからも感じられます。

残念なことに開催された10月の初めは雨が多く、実施された9日もあいにく朝からの雨。やっと昼頃になってやんだので、無事決行に至りました。

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和泉多摩川駅をおりて数分、多摩川沿いの土手からアプローチすると、『TAMARIBA』とイベント名を掲げ、木を寄せ集めて作ったクラフト感たっぷりの入り口のゲートがお目見え。映画やテレビドラマなどで活躍されている大道具の方が廃材を利用してわざわざ作ったそうです。手づくりって、ほっこりするあたたかみがありますね♪

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ミズベリング事務局も開放感ある雰囲気に大満足!

雨の中準備に専念したという大変な甲斐もあり、多少ぬかるみはあるものの(水たまりの水抜きをする工夫もしたとか)、来場者がたくさん集まっていました。多摩川を眺めながら、やわらかな芝生に点在するベンチ(こちらもハンドメイド)に座ると爽やかな気分に。ミュージシャンの奏でるゆるやかな音楽もとても心地よいです♪この開放感、分かりますか?

人気急上昇中のスラックラインとけん玉体験ブース、珍しいフィンランドサウナやハンモックが吊るされていたり。会場内は体験コンテンツが充実!子どもから大人まで幅広く楽しんでいます。大人はこわごわ、子どもはスイスイ!府中スラックライン アミューズさんが3段階の高さのラインを用意し、パフォーマンスしながら教えてくれます。来場者が自由体験できるように、姿勢や目線の保ち方、渡り方のコツなどレクチャー。幅のある綱渡りだから、子どもたちのようにスイスイと歩けるだろうと思ったら…う〜ん、バランスを取るのって結構難しい!

 

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「このトレーラーはモバイルオフィス。野外の素敵な空間に持っていき、”新しいものを生み出す装置”としてクリエイティブな発想作りの場になれたらな、といろいろな展開を考えているところです」とTRAILHEADSの山口さん。

おしゃれなキャンピングトレーラーに本を積んだ、タマリバ図書館

山口さんの本業はオフィス空間のプロジェクトマネジメントなどを事業としているTRAILHEADSさんですが、TAMARIBAには牽引式のルーメット=キャンピングトレーラーにて「OFFICE CARAVAN×TAMARIBA LIBRARY」なる青空図書館を展開。代表の山口さんは狛江在住で、しかも篠塚さんとはご近所。そして共同で代表をつとめる高山さんも篠塚さんと接点があるとのことで、ご縁と偶然がつながっていたそうです。
狛江の持つ恵まれた資源の中で楽しく活動できたらと、トレーラーに本を積みタマリバ図書館として今回初めてのお披露目に至りました。「狛江在住のお母さんからのウケも良かったので、自信が持てました。来場したご家族はシートやくつろぐ用のグッズなど持ってきていて、川のそばでの遊び方がうまいなあ、と。この図書館もイイねと皆さん言ってくれて。共感する感性を持っている人が多く、やりやすい空気感がありますね」
今後は都内や全国各地にも、このモバイルオフィスを移動させ、いろんな方々がハブとして利用いただけるように工夫するとのこと。確かに、いつもの狭いオフィスを飛び出して、自然を背景にすれば、いつもと違うポテンシャルで仕事がはかどりそうです♪

会場では狛江のイタリアンバルpitattiやクラフトビール店spicarboが出すお肉のグリルなど、美味しいものがとにかく充実。ボリュームのあるお肉が焼きたてで食べられ、お酒ももちろん進みます。他にもインドカレーやタコス(アボカドタコライス、さっぱりで美味しかったです!)、ピザといったキッチンカーも出ており、オナカがだいぶ満たされる感じでした。大満足です!!

多摩川を感じながら、ミズベリングトークイベントがスタート!

1日目の夕方には、このTAMARIBAを企画したcomaecolor篠塚氏と高野氏、そして国土交通省・藤井氏とミズベリング事務局から岩本氏が登場しクロストークが行なわれました。岩本氏の軽快な口調で、ミズベリングトークがスタート。集まった狛江市民を前に、ミズベリングプロジェクトの取り組みについて伝え、場をあたためます。

狛江で川の家を作りたい!

「多摩川をみて、こんなにいい環境があるのにないのがもったいないなあと。そこで海の家の川版、川の家を作りたいと思いました。当時、河川管理者だった藤井さんに会いに行ったのが出会いだったんです。」

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都内の設計事務所に勤められている篠塚雄一郎さん、comaecolor代表をつとめています。

「狛江市には市民提案型制度があり、7月に『川の家プロジェクト』をプレゼンしてきました。狛江に住む現役世代からすると良いところと悪いところがある。安心安全以外に足らないのは、狛江市について知らない人が多いこと。東京でも危うくて、関西なんて知られてなくさみしい。また市内にあまり若い人が行く場所がないので、もっと魅力的な場所を作りたいなあと。それで、週末にぎわう現代版の川の家をやりたいと思い、提案したのです。狛江は、西は多摩川、東は野川があり、川に挟まれている平らな土地。狛江駅近には泉竜寺があり、駅前広場にも緑があって凄くいい雰囲気の街です。僕こんな喋っていますが、狛江住んでたった3年なんですよ(笑)。狛江って不思議で、10年住んでいる人と話すると全然自分事なんですよ。狛江愛がハンパ無くて圧倒されます!小さい街って何でもみんな自分事になるんだと思いました。前は人口25万人の府中に住んでいてたけど、狛江はやっと8万人。狛江は小さい町だからまとまれたのかも。このイベントも、大きい企業ではなく、僕らがやりたいことをやっている。これをきっかけにして、他にもいろいろ狛江市内の公共空間を使ってもっと盛り上げていきたいですね。」

TAMARIBAはスタートライン。どんどんやっちゃって欲しい。

「僕はアメリカから狛江に移り住んで15年。個人の思いから始まったcomaecolorがこんな風景を生み出せるなんて嬉しいですね!狛江に住んでいて、市民共同提案型事業について誰も知らなかったし、狛江市が何年も前から取り組んでいるけど、民間レベルでは使えないんだろうなあ、と思っていた。でも今回、プロの方と話して、努力して問題ないと提示すると利用できることがやってみて分かったんです。飲食の立場からだけど、これからもできることで参加して行きたい。」

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狛江市役所近くにあるCafe&Bar「pitatti」店主、高野充吉さんはcomaecolor副代表。

実はTAMARIBAの構想は、高野さんとタマリバグリルを手伝うナベさん、そして篠塚さんらが別々に飲んでいる場で生まれていたのだそう。
高野さんと篠塚さんから呼ばれ、ナベさんもお肉を焼く手を休めてトークに加わります。「狛江にある、使われていない立体駐車場や多摩川の河川敷を活用して何かやりたいと思って、去年の夏頃前から、高野さんと話していたんです。そこにたまたま篠塚さんが現れて、川のイベント考えているんだよねって、偶然同じテーマで話したんです。そこから1年足らずでこのように実現できた。怖い位の偶然だったけど、本当に嬉しいですね!」同じ企みを持つ人たちが偶然集まったのがTAMARIBAを興すきっかけに。そこで描かれたものは今回だいぶ実現されたのでは?
「ここからがスタートライン。僕とナベちゃんで描いたプロットはあったけど、こんな風にいろんなコンテンツが揃う広がりは僕らではできなかったと思う。篠塚さんとは凄い出会いだったし、狛江のいろいろな方達が本当に協力的で。準備中、協賛を募るのにお店を回ったのですが、僕らの思いを共有してもらって、自分達もやりたかったって仰る方も多かった。どんどん他の方々も後続でやっちゃって欲しいですね!」

もっと自分事になって考えれば、変わるはず。

以前、多摩川の河川管理側だった国土交通省の藤井さんは、このタマリバを見て感動。こういった河川の積極的な活用法を応援しているそうです。

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「タマリバのゲートが凄いよね!こういった手作り感って。人と人との関係性で創られる頑張った感じがする。いろんな人がこういうことをやろうとして、形から入って壁にぶち当たることが多いです。やる気があればやっちゃえばいいと思う。実は応援する制度って結構いっぱいあると思う。相談されてもどう応援したら良いか分からない場合もあるし、河川管理者に聞き耳を立ててもらうような話術や話し方もあるのだろうなと思うんです。制度を勉強するのは凄く骨の折れることだから、制度を知っている人や、どこのボタンを押せば何が起こるか分かる人を見つけるのが、重要。隅田川にしろ多摩川にしろ、あいまいな境界領域として、自然と人との営みが渾然一体になって存在する場所がこの河川敷。実はここって本来は使い勝手がいいはずなのに、なぜか今までいろんな現象が起こってこない。なぜなら、役人がダメと言う場合もあるし、危ないからやらない方がいいよね、きっと言ってもダメだろうとあきらめたりする。こうじゃなきゃいけない、というルールは基本的にはなくて、その空間をいかに大事にするかなんです。それがあれば必ず折り合いが付けられる状況ってある訳です。僕は自分事になって“どう折り合いを見つけるか?”という人を手助けしたいと考えています。」

守るべきルールを守れば新しい提案はおおいに歓迎!

「多摩川の河川敷は、私が市長に就任したときは、BBQも花火も禁止して本当にキレイになったけど、
さみしくなった。イカダレースの時にBBQを解禁した訳だけど、これは従来からの川の使い方。空間としては貧弱なんです。緊急用のヘリポートがすでに作られたし、これからドッグランも作ろうとしているのですが、これまでできなかったことを河川敷でできないかと思い、多摩川の利活用基本計画を一昨年に作りました。つまり、従来型のBBQの解禁だけでなくもっと有効に使うことができないかなと。これからは皆さんの知恵を入れて、多摩川の河川敷を創って行きたいと思っています。」
また今後の提案について釘を刺すのも忘れない市長。お立場からのしっかりしたアドバイスです。
「やるからには一定のルールは守っていかないと。マナーやルールを守ってくれる保証が欲しいですね。一定の守るべきルールを守れば新しい提案はおおいに歓迎なので、どんどん出してみて欲しい。篠塚くん達が提案してくれたことを受け入れられるかは、今回じっくり見させていただきます。」

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「私が一番、多摩川について自分事に考えています」と語るのはこの日のスペシャルゲスト、狛江市の高橋都彦市長。

「篠塚さん達のような市民側は、こうやって人を繋いで盛り上げていって、行政側はそれを下から支える応援団になってもらえたらいいですね。高橋市長にはぜひ、じっくりみてもらって、しっかり応援頂きたいです!」と岩本さんが励まします。
篠塚さんからは、穏やかながら力強い意思を感じさせてくれました。
「他にもいろいろ狛江市内の公共空間を使って、もっと盛り上げていきたいです。基本的には僕らが先導してやりますが、ぜひ市長としても場合によっては連携するなど応援をしていただきたいです。
僕らに限らず、新しい方や元々ずっと住んでいる方とかが、触媒効果で盛り上がったらいいなと。今回やってみて、近隣の人に迷惑をかけるような勝手なことではなく、楽しみながらルールを守ることを実感しました。この空間をどう作りたいか、いろんな業界の大人が集まって、ノウハウやセンスとかを集めることができたので今後が楽しみです。SNSにも是非連携したいと言ってくれているメッセージをもらっています。」

「川ろうぜ!」

水辺に関わってきてだいぶ経つけれど、最近は空気が変わってきた、と語る岩本さん。
「狛江は毎月100人引っ越してきていて、子育て世代が増えているらしく、人口が増えることは珍しいです。応援する役人が増えてきているということなんですね。水辺をなんとかしたい、とずいぶん邪見にされた過去とは全然違う。お役所が変わってきたのか、空気が変わってきて、凄いチャンスなんじゃないかと感じています。何が僕らのルールなのかを確認しながら経験積んでやってきたせいか、ちゃんと社会に根付いたルールになって花開いてきている時代なのかもしれない。今でももちろんダメなことはたくさんあると思うけど、みんなで協力し合えるようになった。国交省だけが管理できる訳ではなくて、市民のみんなで見ていくことが大事なのかと。ちゃんと考えられる人が育って行ってる実感がありますね。」
comaecolorさん達の出現は狛江に住む方達にとって大きい一歩なのかもしれませんね!

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元気な街はおせっかいなおじさんがいる?

「アメリカのポートランドは最近とても人気な都市なのですが、以前は駐車場だらけの変な街だったんです。川との間に高速道路が通されているので、川へのアクセスができない、って街の人が気付いたところから、変革が始まった。そう、実は川をどうにかしようというきっかけだった。いい意味でおせっかいなおじさんがいたりして、公共空間をさまざまな立場で意見し、作っていくヒューマンインフラが大事だと言っていました。一方日本では、水都大阪でも、イベントをやることが目的ではなく、人とのネットワーク作り自体が一番の目的と言っています。川からこんな風に始まったように、多摩川をきっかけにして、狛江も高野さんのお店でつながっていってもらいたいですね。篠塚さんや高野さんみたいな熱い人がいることが分かって、狛江の人たちは良かったと思います!川に接することで、自分も変われるし、地域に関わってコミットメントできるはず…ということで、最後に“川ろうぜ!”で締めさせてください(笑)」

最後は集まったみんなで「ミズベリン“ぐー”」!

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風がキモチよく吹き抜けていたTAMARIBAの会場。ノリの良い皆さんといっしょに「みずべりんぐ〜!」

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日が暮れても尽きること無くつながり合うTAMARIBA

全国で2番目に小さい市、狛江。新旧住まう人々がこういった場を共有することでつながり合い、狛江の公共空間を利活用するアイデアがどんどん生み出されることで、素敵な街になっていくはず…そんなことを思い、少し名残惜しい気持ちながら会場を後にしました。

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朧月がかかり、ライトアップで美しく照らされた会場から、冷めやらぬ熱気が離れていても伝わるようです。

〜後日談〜
comaecolor篠塚さんに、TAMARIBA開催後お話を聞く機会がありました。
来場した方々やお知り合いから、SNSなどでメッセージをたくさんもらったそうです。
「公式には約2800名の来場でした。ノウハウ無しの中、みんなで考えながら詰めていく状況だったし、開催日は朝から土砂降りで、もう不安だらけでした。」
「でも開催できて本当に良かったです。終わったあと反省会をやって、設営の効率の悪さなど次回への課題も見つけました。悪天候の影響で出演者や来場者にご迷惑をかけたことも反省ですね。河川敷の使い方も含めて、屋外イベントの難しさを痛感しました。良かった点は、メンバーのキャラクターがマッチして、ネットワークを広げて感覚を理解する人を連れて来れたのが大きかったこと。次回は狛江市民以外の人に多く来てもらいたいですね。若い子育て世代って、既存の御神輿やどっかのコミュニティに属していないから、そんな子どものつながりがまだない世代とつながっていきたいと思った。実際、週末も都心で遊んで、暮らしやすいけど地元に興味がないような方々に多く来てもらえたようでした。“絶対続けてくださいね!”、“毎週やってください!”など声をかけてもらいましたよ。」
凄い!狛江の方々から期待の声が上がっているんですね。もう次回が見えてきそうです。
「TAMARIBAだけでなく、他の場所も良くしたいし、コミュニティを作っていきたいです。川の家はもっと日常。音楽があったり、日常をのんびり過ごせる場所を作りたい。市に提案しているのは2ヶ月間続けて川の家を設置して、多摩川を使うようにすること。今回のTAMARIBAをやった柳の木のところが雰囲気が良いなあと思っています。その他にも、狛江の広場でも、今までにない面白い使い方をしたいと思っています。どんどん仕掛けていきたいですね。」
そう言えば高野さんは「ここがスタートライン」と仰っているのを思い出しました。狛江のこれからに、ぜひ期待したいですね!

この記事を書いた人

榊原あすか

本職はPRコンサルタント(フリーランス)。 PRや広報周りの企画から情報発信、制作まで幅広く行なっています。 ミズベリング・プロジェクトは2016年春から参画して、広報業務をお手伝い中。 キャリアのスタートが百貨店だったせいか、ファッションやモノコト場所など有形無形のグッドセンスを見つけたり体験したりするのが好き。素敵な水辺の楽しみ方を見つけて発信して行きたいです。 その他通年で携わっているおシゴトは交通安全キャンペーンの「おもいやりライト運動」、アウトバウンドPR「マカオ観光局」など。

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