2020.07.06
「水辺で乾杯」のコロナ対策のそれぞれ
今年の水辺で乾杯は、昨今のコロナウィルス対策で例年通りに開催することは、難しそうです。
水辺で乾杯は、例年全国の水辺という水辺にたくさんの人が集まり乾杯をし、同じ時間を同じ水辺で共有してきました。この「集まり乾杯をし」というところが今年はどうも悩ましいのです。
事務局でもどうするか、悩みに悩みました。そして、6月11日にこんなメッセージをFacebook上で出しました。
”今年の水辺で乾杯はスライド作戦、一斉での乾杯アクションは7月7日から9月9日にずらす方向になりました。楽しみにしてしていた人ごめんなさい。
ちなみに、7.7で企画を進めている人はそのままで大丈夫。応援します。”
このコロナ禍の状況で、河川敷に集まることだけに止まらず、マスクを外して大声をあげて乾杯をする。考えれば考えるほど、このタイミングにふさわしいのか疑問が湧きます。もちろん日本全国が同じ状況ではなく、コロナ前とあまり状況が変わらないところもあると聞いています。ただ、事務局がある東京では6月19日までずっと自粛生活が続いており、コロナ対策は多くの人々の関心事であり、実際ひとりひとりの行動にその行く末が左右されてしまうとされている事象です。
悩みを披露してもいい
「水辺で乾杯」は、さまざまな地域の「きっかけ」として必要とされています。これまで「水辺で乾杯」はその低い開催ハードルや「乾杯」というお酒や飲み物を嗜む楽しさを超えて、地域のさまざな人々同士のつながりや未来への思いを繋げることができるイベントでした。
そのいいところだけを抽出して、クリエイティブに三密をさけて開催することも可能ではないかとも思いました。実際、事前に開催した「水辺で乾杯どうする会議」でも、「マイ水辺」という素敵なキーワードがでて、それぞれの水辺に対する思いをどう表現するかということに参加したみなさんの関心があることも確かめることができました。とはいえ、それを全国一律に7月7日までにやってくださいとお願いするのはちょっと難しいと思ったのです。悩みましたよ。悩んでいます。ただ、それが前述のメッセージにつながりました。それは、9/9まで、よりクリエイティブな水辺との向き合い方をそれぞれの地域で模索する時間をとったほうが、ただ無理に時間が少ない中で7/7に強行することを呼びかけるよりも、いいのではないかと考えたからです。7/7に開催する人もいるでしょうし、それはそれで問題ないけど、9/9までずらした2ヶ月余の間に、ちょっとでもいいのでそれぞれの地域で本音で語り合う機会が増えることを期待しています。
そして、各地には、迷いながらも、アクションを起こしている人がでてきました。事務局には日々各地からこんなイベントにしたい、こんな思いでやりたい、という連絡をいただきます。各地のそれぞれの取り組みをご紹介します。
1.ソーシャルディスタンスで乾杯
2.集合はしない。けどオンラインやSNSでマイ水辺で乾杯
3.日程をスライドして実施
4.みんなで悩みを共有。次のアクションにつなげる
1.ソーシャルディスタンスで乾杯
「ソーシャルデイスタンスを確保して、水辺で乾杯しよう」の案は、地域のなかでも比較的にコロナ前と状況が変わらない地域で行われる傾向があります。ソーシャルディスタンスを情報発信するためにデザインされたアイコンなどをチラシデザインに用いたり、意欲的にこの状況に取り組んでいることが伺われます。
Riverfront Marché(薩摩川内リバーフロントマルシェ)
川内川では、河川敷でソーシャルディスタンスを徹底した、水辺で乾杯を開催。持ち物は、乾杯用のドリンク、青いもの、感染対策予防グッズ。そして、乾杯後は、地域の飲食店で2次会をしてまちを元気に!
▪️開催日時:7月7日午後7時7分
▪️開催エリア:薩摩川内市西開聞町左岸河川敷
▪️主催:Riverfront Marché(薩摩川内リバーフロントマルシェ)
https://www.facebook.com/events/614162475882234/
水辺から、ありがとう~水辺で乾杯2020~
久留米市の筑後川では、「医者の町 久留米」として、医療従事者へ感謝を込めて「ありがとう」を届ける。当日は、河川敷に2m間隔で並び「ありがとう、乾杯」のあとスタンディングオーベーションを行う。もし当日、会場に来られなくても、それぞれの河川敷で「ありがとう、乾杯」を行い、写真をSNSにアップし、ハッシュタグで「#水辺からありがとう」をつければ、今回のプロジェクトの参加できる。
▪️開催日時:7月7日午後7時7分
▪️開催エリア:筑後川小森野橋下付近河川敷
▪️企画:一般社団法人 北部九州河川利用協会
水辺で乾杯 in 二子玉川 2020/07/07
毎年開催している「水辺で乾杯in二子玉川」。
二子玉川は、今できる最大限の楽しみ方で、ソーシャルディスタンスを守りつつ、乾杯を行う。当日はZOOMでのライブ配信も予定、各々好きな場所からの参加も可能。また、「水辺で乾杯!」全国一斉アクションに合わせ、9月9日にも開催予定とのこと。
▪️開催日時:7月7日午後6:30-7:30
▪️開催エリア:二子玉川 兵庫島公園
▪️主催:ミズベリング二子玉川未来会議
https://www.facebook.com/events/1136850440032097/
また、二子玉川では6月7日にも、川沿いで乾杯を行なった際、ソーシャルディスタンスを保ちながら、安全に乾杯するためのルール「麦麦ノミカタ6か条」を参加者と共有している。
2.集合はしない。けど、オンラインやSNSでマイ水辺と共に乾杯
「集合せずに、オンラインやSNSを利用して、自分の身近にある水辺で乾杯しよう」という案は多くの地域で見られています。もちろん水辺で乾杯は水辺の現地にて多くの人たちと水辺の気持ち良さを再確認するという機会ではありましたが、全国の水辺に思いを馳せる仲間と繋がるという機会でもありました。この繋がりはSNSなどで簡単にコミュニケーションがとれる現代ならではの事象です。
そして、「マイ水辺」というキーワードはコロナ対策が産んだ成果の一つといっても過言ではないかもしれません。水辺が公共空間であるのと同時に、誰かのもので自分とは関係ない水辺から、一人称の思い入れのある水辺へと変えてきた「水辺で乾杯」の企画の意図を言葉にしてくれた「水辺で乾杯どうする会議」の参加者のみなさんの集合知そのものです。その思いは、それぞれの地域の乾杯企画にも見ることができます。
水辺で乾杯!in府中2020
Mizbering 634 Fuchuでは、オンラインで水辺の動画や写真を見ながら、夜7時7分に一緒に乾杯する。当日は「疲れたときに癒やしてくれる府中の水辺」をテーマにした、風景写真や動画を募集し、オンライン上で鑑賞。また、短冊に記載したい願い事を募集し、それを事務局で代筆し、7月7日の夜に多摩川沿いで願い事を夜空に掲げる。
▪️開催日時:7月7日午後7時7分
▪️主催:Mizbering 634 Fuchu
https://www.facebook.com/events/282391859481072
今年はオンライン水辺で乾杯!2020 in 樋井川
樋井川では、オンライン乾杯を企画。参加にあたってのルールは、①個人個人が、コロナ対策上安全な場所から参加。②Zoomの仮想背景に、樋井川流域の素敵な写真など水辺を感じられる画像を使う③青い物を身につけるなどの粋な趣向で一体感を作ること。
▪️開催日時:7月7日午後6時~7時30分
▪️主催:2020 in 樋井川実行委員会
https://www.facebook.com/events/283457399405279/
MIZBERING Fukushima 2020~三密を避けてみんなで乾杯!~「マイミズベで乾杯しよう!」
阿武隈川では、SNSを利用した乾杯を企画。なんと、実施場所は、阿武隈川上流の水辺であれば(川岸はもちろんのことご自宅のお風呂場や台所などの”水辺”)どこでもOK。参加にあたってのルールは、「♯阿武隈川上流水辺で乾杯」「♯マイミズベ」を付してSNSにアップ、乾杯している状況写真とコメントを投稿すること。
▪️開催月日:7月7日 ※時間は任意
▪️主催:MIZBERING Fukushima
https://www.youtube.com/watch?v=5qRiK95txRM&feature=youtu.be&fbclid=IwAR2agMsGZ49ao6g_uHS3bkPshQU8Te91wR7PaL_uEcrSprWLHzvnBVZDksg
思川で 思い思いに 乾杯!
思川では、SNSを利用した、「一人で乾杯してもみんなとつながれる」乾杯を企画。開催場所は、観晃橋の付近の遊歩道、ほか思川の水辺ならばどこでもOK。参加にあたって、水辺で乾杯している様子をSNSに投稿し、その際、ハッシュタグ「#水辺で乾杯」 「#思川で乾杯」をつける。
▪️開催日時:7月7日(火)7時7分らへん
▪️主催:小山&御殿広場情報発信サイト『Goten Hiroba Portal』
https://www.facebook.com/events/570111313890245
3.別の日にスライドして、乾杯
7月7日から別の日にスライドして、乾杯するところも。その例を紹介します。
リバキャン!|ボクも水辺、私の水辺
日野川では、8月8日の午後7時7分に乾杯をスライドして行う。「リバキャン!|ボクも水辺、私の水辺」と同時開催で、水辺でキャンプしながら、家族やグループでピクニックを楽しんだり、思いっきり川で遊べるそう。
▪️開催日時:8月8日の午後7時7分(水辺で乾杯)、8月8日午前10時〜9日午後6時(リバキャン)
▪️主催:一般社団法人 環境文化研究所
https://www.facebook.com/events/245308426708111/
ミズベリング三条
7月7日から9月9日に延期、とFacebookに掲載あり。続報に期待!
4.みんな悩んでることを共有。次のアクションにつなげる
最後に地域の水辺に関わるひとびとが集まり、オンライン会議をして、悩みを共有した例を紹介します。
「悩み」はなかなか披露されるものではありません。ましてや組織が「悩んで」いたりすると、批判や心配も起こることが創造されます。しかしミズベリングがこれまでチームや共有、協働など肩書きを超えた関係を提唱してきましたが、その関係は「悩み」を披露することによってさらに深い信頼の輪をうむことにつながるのではないかと考えました。
コロナウィルス対策でみんなが「悩んで」いるからこそ、その悩みの共有が地域の将来への「きっかけ」になるのかもしれません。そして「きっかけ」こそが「水辺で乾杯」が各地域で果たしてきた役割で、その形はそれぞれの地域の実情に合わせて千差万別でいいのだと思います。
江東区のアフターコロナの水辺を面白がる会inZOOM
6月12日に開催された、江東区の水辺のアフターコロナを「面白がる」会。豊洲の水辺で乾杯!2017を実施したメンバーが集まり、現状の悩みを共有する会に。コロナが明らかにした、水辺の本質的な価値と、未来の江東区を共に考え、将来を共感する仲間をつくる機会となった。
▪️主催:ミズベリング・イーストベイTOKYO水辺で乾杯!実行どうする委員会有志
https://www.facebook.com/events/3237108986312739
あらためて、なんのためにやるのか。
いかがでしょうか?9/9まで2ヶ月ほど伸びた、とも言える今年の「水辺で乾杯」ですが、地域のみなさんの「きっかけ」として必要であるとお考えだとすると、やれる方法はいくつかあると思います。ぜひ各地の創意工夫を見せてください。その試行錯誤そのものが、地域の力になると信じています。
またいま現在も大雨に見舞われている地域もあろうかと思います。引き続きみなさまにおかれましては警戒をしていただき、身を守る行動をお願いいたします。遠くから祈ることしかいまはできませんが、皆様の安全と1日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。
この記事を書いた人
ミズベリングとは、「水辺+リング」の造語で、 水辺好きの輪を広げていこう!という意味。 四季。界隈。下町。祭り。クリエイティブ…。 あらためて日本のコミュニティの誇りを水辺から見直すことで、 モチベーション、イノベーション、リノベーションの 機運を高めていく運動体になれば、と思います。
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