2016.01.12

いなっかぺ少年、真冬の水切り炎の30連投 in 飯能河原

12月27日午後4時。日没も迫った夕暮れの埼玉県飯能市にある飯能河原へ寮の後輩を引き連れて向かった。今回こんな真冬の河原にBBQをするためでもなく来た理由はそう、水切りをするため。クリスマスも終わり年の瀬も迫ったこの時期に2015年の煩悩を石に込め、きれいさっぱり水に流すのだ。当時のコンディションは晴れ。加えて無風。だがしかし気温はなんとびっくり2℃!指先の繊細な感覚を要するこの競技にはタフな環境であった。

水切り1

池袋から西武池袋線に乗って1時間弱という絶好のロケーションもあって夏の時期には大勢の行楽客が訪れる。しかし、僕たちが行ったときは誰一人いない。一抹の寂しさはあったが雄大な自然の中に僕たちは包まれていたあの時間は幻想的でもあった。

水切り2

という前置きはここまで。

さて、やりましょうか水切りを!投げましょうか石ころを!そして捨てましょうか煩悩を!

まず水切りにおいてうまく記録を伸ばせるかどうかを大きく左右するのが石選び。弘法筆を選ばずなどという理論は水切りにおいて通用しない。

どんな石がいいかというと、なるべくきれいな円形で平べったくレンズのような形の石がいい。大きさに関しては直径5cmくらいの石が投げやすいのではないだろうか。

水切り3

今回のチャレンジは1ラウンド10回を3ラウンド行い計30投。

投げ方に関しては後で説明するが、僕の水切りの投げ方は肩に大きな負担をかける。30回というのは決して楽な投球回数ではない。野球で言ったら9回120球完投くらいの…(大げさですね)。

段数を増やすコツとして、投石のフォームはアンダースローで毎秒数十回転という強力な回転を石にかける。リリースポイントなるべく水面に近い位置で、着水の際の石の角度も水面に刺さらないようにしなければならない。

そして忘れてならないのは自然を感じる心。これがなければ絶えず変化する風や水面の状態を読むことができない。
心・技・体が合わさった時に爆発的な段数を生み出すのだ。

そして始まった第1ラウンド。
一投目6段。二投目7段。三投目10段。失投が続く。
( ※ 水切りに用いられる助数詞は‘段’ )

ただ単に肩が出来上がっていないだけなのか、それともただの実力不足なのか。水切りが得意だった少年時代はもはや過去の栄光と思われた。

しかし4投目の石を投げたときだった。きれいなレンズ状の石が勢いよく回転し、リズムを刻みながら水面を跳ね上がる。成功だ!

何段跳ねたか計測しようとしたが、段数が多すぎてスーパースローカメラがないと計れないことに気づく。計測不能によりデータが取れないという事態に陥ったのだ。

水切り4

ということで記録の計測は諦め、第2ラウンド、第3ラウンドも投げきった。

結果から言うと、第1ラウンドはやはり投石の勘を取り戻すまでに時間を要するため全体的に失投が目立った。第2ラウンド、第3ラウンドは大差なく安定してくるのだが、形のいい石を見つけると好投しようとりきんでしまうことが多く、逆に結果が伸びなかった。ここが自身の弱さともいえる。今後の課題であろう。

水切り5

さて、30投における最高記録に関してだが、動画から判断する限りでは25回目に投げた22段!しかし、水切りのギネス記録が2007年にRussell Byarsさんが記録した51段というのだから驚きである。世界の壁は高い。

水切り6

水切りは自分の性格が出る。うまくいかなくてすぐ飽きてしまう人、できるまで何度も挑戦する人、記録を出して満足する人、さらなる高みを目指す人。みなさんはどのタイプだろうか。

単純ゆえに奥が深い水切り。自然を感じ、自分と向き合うことで記録を伸ばす。
皆さんは何段をたたき出せるか、暖かくなる春先の川でぜひ水切りに挑戦してほしい。

この記事を書いた人

髙橋息吹

東京学芸大学F類環境教育専攻。北上川水系江合川流域出身(宮城県大崎市)。 幼いころから田んぼの用水路が遊び場。ザリガニ釣りが得意。水切りは特技。 少年の遊び場がTVゲームやスマホゲームに占領された時代にモノ申す!

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