2015.12.10

サケ産卵床調査

2015年9月下旬のこと、学芸員実習で北海道標津町を訪れたのですが、そのなかで標津町さけます自然産卵調査協議会の方々の産卵床調査に同行させていただく機会があったので、その様子をお伝えします!(数度サケやマスの遺骸の写真がでてきます、ご了承ください。)

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まず、少しだけサケの自然産卵をとりまく背景についてお話します!

とっても長いサケと人との歴史のなかで、明治以前の漁獲高とくらべて圧倒的豊漁をつづける今日のサケ漁が、これまでの地道な人工ふ化放流事業の賜物であることは間違いありません。

しかし、そんな人工ふ化・放流事業も自然界の競争のなかから切り離すこと、河川間での遺伝子固有性の問題などから全面的な支持を受けているわけでもないそうで…

そんな状況のなか、人の手によるとことのないサケの自然産卵に水産資源としての価値を見出そうとする動きがあり、標津町さけます自然産卵調査協議会をはじめとする多くの方々が日々調査・研究をされています。

前おきが長くなりました!以下、調査の様子です!

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調査では、標津町内を流れる数河川に複数ずつある調査ポイント周辺にシロザケ、カラフトマス、サクラマスの①産卵床数、②生体個体数、③斃死個体数を数えながら記録していきます。

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当日の朝、協議会の方々とお話しをするなかで調査の目的や手法を共有し、調査範囲が広大なため2班に分かれて調査へ出発します。私たちの班は町内北部の数水系を担当するこことなり、サケの姿を探してたくさんの川を巡りました!

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橋の上から眺めたり…

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川までおりて探したり…

ときには藪に分け入ったりして調査しました!

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サクラマスの斃死個体。
産卵後力尽きたのでしょうか。地元でホッチャレと呼ばれるこれらの遺骸は、森の栄養となりやがて豊かな自然をはぐくむ糧となります。

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このシロザケの斃死個体はオジロワシがお食事中のものでした!
オジロワシ、かっこよかったなあ!

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産卵床みつけました!
館長のあしもと、ちょっと白っぽくなっているのがわかりますか?

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わかりやすい産卵床。(曰くサクラマスの複合産卵床ではないかと)
楕円状に川底がきれいになっているところがみえますね!これは魚が卵を埋めるために底を掘るので、部分的に川底がきれいになってるんですって!!

結果として、数は多くはないものの複数の河川でサケやマスの遡上が確認されました。また、近年まったく産卵が確認されていなかった調査ポイントでシロザケの自然産卵が確認されたなど一定の成果がありました。

調査の途中、背中に標識のついたサクラマスを幾度か見かけるなど、サケやマスの生態について多くの人々が高い関心を寄せていることに気づきましたが、それはきっとサケやマスの一生が流域の人々の生活や文化に深く根付いているからなんだろうなあ!と感じました。

このたびは調査に同行させていただきありがとうございました。
たくさんの感動に出会った、貴重な体験となりました!

この記事を書いた人

東京学芸大学環境教育専攻。富士川水系出身。 堰堤や魚道といった河川構造物に興味があり、特技はカジカ突き。 天気のいい日は飯能にいます。

髙榮晋平

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