2015.08.03
東京川ガール 川×わたし=○○
「東京の川」と聞くと、皆さんどんな川を思い浮かべますか?
私は熊本の出身で、7年前に東京にやってきました。小さい頃、生き物が大好きだった私は近くにある湖や水路で毎日のように魚やエビを採り、家には水槽がいくつもありました。
家から車で少し行けば、阿蘇の透き通った湧水の流れる音、その中で揺れる綺麗な水草や魚にいつも癒されてきました。川を見ると入りたくなる。川の冷たさを肌で感じたくなる。
そんな私が東京の川に持っていたイメージは、汚い・単調・生き物がいない。テレビで見る東京の川。神田川や隅田川。コンクリートで囲まれた、緑色の水の流れる単調な川。
熊本の透き通った湧水。
そんな中、参加した都心の水辺を船で巡るツアー。
これまで単調だと思っていた川を、船に乗って川の中から見てみると、様々な発見がありました。川岸に昔作られた石垣が残っていたり、船着き場の名残が残っていたり。また、石垣の石には所々にその石を運んできた藩の印が彫られているのを見ることができ、昔の人が大変な思いをして石を運んできたことが想像できます。さらに、水をすくってみると水質も思った以上にきれいで透き通っています。臭いもほとんどしません。
これまで、川といえば水に入って遊ぶこと、生き物を採ることしか楽しみを知らなかった私にとって、船に乗って川の中から川の歴史を学ぶという体験は、新しい川の楽しみ方の発見でした。
都心の川を船に乗って見ると、これまでとは違った景色に出会える。
その他にも、国分寺のお鷹の道や御岳渓谷といったきれいな川が東京には想像以上にたくさんあるということにも驚きました。川沿いにおしゃれなカフェがあったり、電車などでのアクセスがしやすいといったことも東京の川の魅力の一つです。電車でさっと来て、川を見ながらカフェでのんびりする。人の生活圏に川があり、人との距離が近いというのも東京の川の特徴だと思います。
立川の根川緑道。電車で気軽にアクセスでき、人と川との距離が近い。
東京川ガールの立ち上げに際して、「川」という言葉から連想されるイメージの聞き取り調査を行ったことがありました。その際出てきたワードの中に、「ゆるい」と「ガチ」という相反するものがありました。聞き取った内容を整理するうちに、川というのは人それぞれに楽しみ方が違い、人それぞれの楽しみ方の幅が広いということがわかってきました。例えば、川に入って魚を採って遊ぶ人もいれば川沿いを散歩する人もいる。また、川には明確なゴールがないといった意見も出ました。例えば、山では頂上にたどり着くというゴールがあるが、川の場合、そういった明確なゴールがない。やろうと思えばいつまででもできてしまう。逆に言うと、やめたいときにいつでもやめることができる。そういったところに川の「ゆるい」と「ガチ」という相反するイメージが浮かぶのだと思います。
東京川ガールについてのイメージ等の調査結果をまとめた。
「川×わたし=○○」
人それぞれに楽しみ方の違う川。私にとって川は癒しです。川の音を聴きながら水に足をつけて何も考えずにのんびりする。そんな時間が大好きです。皆さんにとって川はどんな存在ですか?
皆さんも、川の新たな魅力を探してみませんか?
都心の中で、人の生活と寄り添って流れる「東京の川」。これからも東京の川との様々な関わり方を探していきたいなと思います。
この記事を書いた人
東京学芸大学修士課程卒。学生時代の研究テーマは「環境教育に求められる河川の空間的特徴に関する研究」で、環境教育の場としての河川の空間の活用について研究を行ってきた。都心の川へ興味を持ってもらうこと、都心の川の魅力を伝えることを目的に、大学院の同期4人と東京川ガールの立ち上げを行った。
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