2015.12.17 Thu

川のせせらぎと夜風がおつまみの水辺バー「川テラス」

川のせせらぎと夜風がおつまみの水辺バー「川テラス」

福井市中心部、足羽川の幸橋のたもとの堤防がバーに変身するイベントが開催されました。 6日間の期間限定で出現した […]

    川の堤防に座って、夜風が運ぶ川のせせらぎを聴きながら、ガス灯の灯りに包まれて、ボジョレーヌーボーを傾けるーー。こんなステキなイベントが、福井県中心部で開催されました。

    川のせせらぎと夜風がおつまみの水辺バー「川テラス」

    福井市中心部、足羽川の幸橋のたもとの堤防がバーに変身するイベントが開催されました。
    6日間の期間限定で出現したミズベリングバー、その名も「川 TERRACE(テラス)」。市内の酒販店がワインバーを出店して、ワインソムリエの接客とともに、ボジョレーヌーボーを中心に、ホットワインやソフトドリンク、おつまみなどの販売をして、街の人たちで賑わいました。

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    午後7時。すでに市内の人たちでいっぱいです。即席会場となった堤防には10メートルほどのバーカウンターとデッキチェア付きのテーブルが3組ほど設置。もともとあるガス灯とテーブルや欄干に飾られたキャンドルの灯りに照らされながら、みなさん、お友だちや同僚の方たちとボジョレーヌーボを片手に、思い思いの時間をゆったりと楽しんでいました。

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    ボトルでオーダーしてわいわい飲んでいるグループも多かったですが、女性のお客さんに一番人気だったのは、「ボジョレーヌーボーの利き酒セット」(500円)。

     

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    もちろんグラスでもいただけます。

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    高校時代の同級生という2人組の女性は、ボジョレーヌーボー3本セットの利き酒セット(500円)を絶賛。「普段3本もひとりで買えないので、利き酒セットは嬉しいですね」、「福井県って雨が多いせいかオープンカフェがあまりないんです。河原が好きなので、こんな風に開放感ある場所でお酒が飲めるなんて嬉しいし、気持ちいい!」と楽しんでいたようす。(残念ながら写真はNG)

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    ソムリエの野尻さん(右)は、「思ったよりたくさんのお客さんに来ていただいて、嬉しいです。ちょうど例年にも暖かい気候でお天気にも恵まれました」と喜んでいました。

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    結婚12年目という素敵なご夫妻。「近所だし子どもが中学生なので、お留守番してもらって、夫婦で来ました」

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    そして中でもいちばんに目をひいたのが、二胡奏者による生演奏。ガス灯やキャンドルの暖かな灯りと二胡の柔らかくて優しい音色がよく合います。堤防は石畳調のつくりなので、本当にパリのセーヌ川にまぎれ込んだかのような錯覚に陥ります(注:まだ酔っていません)。

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    川テラス主宰の田中謙次さん(右)とソムリエの野尻さん(左)。

    どこか西洋の香りを感じさせる顔立ちのソムリエ・野尻さんに「こんな風に野外でワインを提供する機会ってあるんですか?」と聞いてみると、普段はほとんどないとのこと。

    「ワインは決して気取って飲むものじゃないんですよ。以前フランスに旅行に行った時、アルザス地方で新酒のイベントがあったんです。小学校の敷地内に各ワイナリーのおじさんたちがテントを出して「どうだ、ウチの酒は美味いだろう?」なんて、すごく気さくに振舞って飲ませてくれるんですね。そんなふうに、ワインのハードルを下げるのも僕たちの仕事にひとつだと思っています」。「その一方で、パリのセーヌ河の周りには雰囲気のあるカフェがいっぱいあって、若者からお年寄りまでおしゃれにシャンパンやワインを傾けてもいます。日本にもそんなお店が増えたらいいですね」。

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    主催したのは、若者から専門家まで「川好き」な人たちが集まってリバービジネスなど川の可能性を考える有志団体「日野川流域交流会」。同団体そしてプロジェクトの発起人である田中謙次さんに詳しい話を聞いてみました。

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    ミズベリング・バーって「ありそうでなかった企画」ですね! ただ実際に実施するとなると実現に至るまで、許可取りなどで、かなりハードルが高そうですが…? どのように実現まで至ったのでしょうか。
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    僕自身が川が大好きで、地域起こし型ビジネスやイベントを行ってきたこともあって、それなりに地元の人や行政の方たちからのご理解をいただいていた経緯や協力体制ができていたことが大きいと思います。例えば、2012年から年1回、越前市の日野川河川緑地で期間限定バーを開くイベント「おしゃれな『リ・BAR』」を開催する団体として、プロジェクト「リバビズ大学 in 日野川流域交流会」を立ち上げ、そこで運営ノウハウや実績を積み重ねました。実際、リ・BARは、地元の人たちからからかなりご好評いただいたんですよ。そうした背景と地盤がすでにあったことが大きかったのかもしれませんね。今年3月に福井市内で行われた「川ろうぜ! ミズベリング・越前若狭会議」で足羽川で活動する市民団体の人たちと「福井市内で何かイベントをしましょう」という話が持ち上がった時に、今回の「川TERRACE」の企画が持ち上がって、かなりスムースに実現できたのかもしれません。ただ予算はないので完全に手作りですよ。この看板も僕の手製です。

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    なぜ田中さんは川の市民利用を重視してこられたのですか?
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    もともと僕が川好きだからですね(笑)それに川って、不思議な力があるんですよ。病院と連携して、「川の体験医療」も行ったこともあります。介護施設のお年寄りを水辺に連れて行ったり、ボートに乗っていただいたりすると、不思議と気持ちが和らぐ効果が検証されているんですよね。もうひとつのきっかけは、福井市は毎年高校を卒業する人が3000人いますが、その内2000人が県外に就職してしまいます。でも例えば足羽川は全国桜の名所1000景に選ばれるなど、市内の観光・自然資源は豊富にあります。それを産業に結びつけられないか。そのきっかけとして川をプラットフォームに何かやってみようという試みでした。こうしたことがきっかけになって、福井市内にUターン、Iターン就職したり起業したりする若い人が増えていくと嬉しいですね。
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    お酒を提供するのは、なかなか許可上、難しかったのではと思いますが・・・・。
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    そうですね。でも「おしゃれな『リ・BAR』」での実績がありましたから。今回も期間限定ですし毎晩9時までと営業時間も短く設定したり、キャンドルなどを使って、どんちゃん騒ぎにならないような演出を心がけました。近隣のマンションに住む方やホテルにも一軒一軒お話をさせていただいて、ご理解を得ることができました。近くにあるホテル「リバージュアケボノ」さんにはトイレの利用をご提供していただきました。こうやってみなさんのご理解と協力によって、開催できたことが大きいですね。お酒の提供は、問題が起きないかと心配する声もありましたが、運営側も行政側も来てくれたお客さんも、それぞれが個人で責任を引き受ける部分の理解があって大人の判断ができたのではないかと思います。やっぱりお酒は人と人とのコミュニケーションの潤滑油になる効果が大きいと思うんです。それくらい、川を感じながら飲むお酒って、格別ですよ。
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    今後の予定を教えてください。
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    こうした実例をつくるのが民間の仕事だと思っているので、今後は地域の人たち、特に大学生や経営者の方々と共同していきたいと思っています。そして、毎月1回、毎週でも開催してもらえたら嬉しいですね。特に足羽川は全国桜の名所でもあるので、お花見シーズンの時にはぜひ開催できたら素晴らしいと思っています。私自身は、来年、川テラスの会場の水面でSUPツアーを検討しています。そのすぐ下流でくり舟を夏の間運行していましたので、来年に向けて総合的なリバーランド構想につながると思います。そのトリガーとなるのが川テラスだと考えています。
    Writer's Profile
    鈴木沓子
    編集者・ライター

    新聞社を経て独立、主にアートやメディア、都市の公共性をテーマに、編集・執筆・翻訳をおこなう。愛車SURLY パグスレーで、川沿いや浜辺など水辺ライドをゆくのが楽しみ。共訳書に『海賊のジレンマ』(フィルムアート社)、『BANKSY YOU ARE AN ACCEPTABLE LEVEL OF THREAT【日本語版】』(パルコ出版)、『BANKSY’S BRISTOL Home Sweet Home』(作品社)など。

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