2015.07.21

東京川ガールと川活

「東京川ガール」は川のファンをふやすプロジェクト。

いま全国で水辺に賑わいを取り戻す取り組みや、川を自然豊な姿に戻す自然再生や環境保全活動が進んでいます。「東京川ガール」は川のファンをふやすプロジェクト。多くの人に川の魅力を見直すきっかけをつくってもらい、環境マインドをもつ人が増えることを期待して、学生の企画で動き始めました。

ふだんは川のことをあまり意識しない人も、必ず川との接点を持っています。飲み水はもちろん、川の水は生活のあらゆる場面で利用されています。川沿いを散歩する人、川を眺めながらレストランやカフェで食事やお茶をする人、河原でバーベキューをしたり、本格的に川に入って生物採集をしたりする人もいます。川との関わり方は人によって様々ですが、東京川ガールは、そんなすべての人を対象にしています。川好きの女の子たちが中心になって活動を進めていますが、男女、世代を問わず、みんなが参加できるプロジェクトです。(【girl】の語源を辿るとMiddle Englishでは性別を問わず無邪気な若者を意味します。)

このプロジェクトの立ち上げには、東京学芸大学で環境教育を学ぶ大学院生、男女4人がかかわりました。大学院の授業を中心に検討を進めました。これまでなかなか定着しなかった川ガールのビジョンやスタイルを確認するため、川好きの学生へのアンケート調査をしたり、川を楽しめるスポットに実際に足を運んで体験してみたりしました。その結果から導き出されたイメージをもとに、東京川ガールのイメージが出来上がりました。ロゴマークやポスターのデザインは、学芸大のグラフィックデザイン研究室の先生と学生が担当しました。ポスターやバナー、缶バッジ、ショートムービー等、様々な方法によるビジュアルコミュニケーションを考えました。

立ち上げ後、「善福寺川を里川にカエル会」のイベントでお披露目。「スターバックスコーヒージャパン」のみなさんとの野川での写真撮影会や生物採集などの活動をきっかけに「川活」が始まりました。その後、日本感性工学会でコンセプトを発表、東京川ガールの活動がFMラジオ「J-WAVE」の番組で紹介され、国土交通省(霞ヶ関)の河川愛護月間の企画展のテーマにも選ばれました。

東京を中心にメディアにも紹介されながら川活がだんだん広がってきました。
川に行くとアクティブになる人、癒される人、発見する人、その関わり方もいろいろです。ミズベリングでこれから始まる連載では、東京川ガールのプロジェクトを中心に活動する大学生が、個性あふれる「川×わたし」を紹介していきます。

東京川ガールFacebook

この記事を書いた人

東京学芸大学環境教育研究センター准教授。博士(水産学)。専門は魚類生理学、環境展示論。河川の生物に焦点を当て、それらと環境との関わりを探るための研究を行う傍ら、 当該分野の研究成果や関連知識をわかりやすく表現し、展示や教育メディアを通じて社会に橋渡ししていくための研究や創造活動を進めている。著書に「魚のウロコのはなし」成山堂書店(単著)、「博物館の展示をつくる展示論」雄山閣(共編著)など。

吉冨 友恭

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