2017.02.18 Sat

水辺は新たな広告メディアになりうるか?─ミズベリングテーマ会議#06「水辺広告の未来」 #レポート

水辺は新たな広告メディアになりうるか?─ミズベリングテーマ会議#06「水辺広告の未来」 #レポート

海外の最先端水辺広告事例。首都高から見える看板の媒体代理店さんに水辺の媒体価値を聞いてみました。

世界で実際に行われている水辺広告と街にある屋外看板を踏まえ、日本の水辺が新たな広告メディアになりうるのかを妄想

水辺は新たな広告メディアになりうるか?─ミズベリングテーマ会議#06「水辺広告の未来」 #レポート

水辺のまちづくりや公共空間としての水辺活用を様々な視点から考えるため、毎回タイムリーなテーマを軸にその分野のスペシャリストをゲストに迎える「ミズベリングテーマ会議」。ソトノバでも過去にもレポートしています。2回3回

6回目となる今回のテーマは「広告」。街がクリスマス一色となった12月20日に大手町3×3ラボフューチャーで開催されました。

ゲストは、株式会社ヒット屋外メディア開発チーム担当者の宮内理司さん。

水辺の広告の可能性について熱く議論が繰り広げられたその模様をレポートします!

日本初?! 水辺広告について考えよう!

今回の会議は、世界で実際に行われている水辺広告と街にある屋外看板のイロハを学ぶとともに、それらを踏まえて日本の水辺が新たな広告メディアになりうるのかを妄想しようというもの。

おそらく日本で初めて、水辺広告について整理し真剣に議論した場だといえるでしょう。

参加者は国交省や警察関係、広告クリエイターやまちづくり関係者など、かなり幅広い層の面々が集まりました。

司会はおなじみ、ミズベリング・プロジェクト事務局のプロデューサー山名清隆さん。今回のテーマを選んだ理由については同じく事務局の滝澤恭平さんと岩本唯史さんが解説してくれました。

「広告をテーマにしたきっかけは先日、目黒川みんなのイルミネーションを見たこと。水辺を魅力的に演出することでこれだけ世間の注目を集めることができるのならば、水辺空間を広告メディアのようにすることができるのではと考えた。」

とのこと。

02
ミズベリング・プロジェクト事務局のプロデューサー山名清隆さん。

世界中でブーム! 驚きの水辺広告の数々!

まずは世界の水辺広告のレビューから。なお、多数の事例紹介があったので以下は抜粋になります。

最初に紹介されたのはスポーツウェアブランド・O’NEILLがオランダ・アムステルダムで仕掛けたイベントプロモーション。内容は、単に美女集団が突然、スタンドアップパドル(SUP)で運河を巡るというもの。なかなか衝撃的かつ見入ってしまう光景です。

「これの面白い点は水辺が何かを伝える空間として社会に認知されていること。さらにこの映像がネット上でバズって世界中に拡散するコンテンツであることも興味深い。」

と山名さん。

03
「美女×SUP×アムステルダム」が揃えば、絶対バズります!(個人的見解です)

また、自動車メーカー・FIATやMINIも、全米の河川で車のボディを走らせるというイベントプロモーションをしているとのこと。どうやら水辺でのイベントプロモーションは自動車業界で流行っているようです。

04
おそらく車のボディの下には船が仕込まれていると思われます。だとしてもかわいい!

05
マクドナルドがセントパトリックデーの主催者と協議したかは不明です。

他には、街の行事に乗っかった形のイベントプロモーションも。アイルランド系の都市では毎年セントパトリックデー(3/17)に河川を緑色に染める伝統(?)があるのですが、そこに目をつけたのがマクドナルド。シェイクをこぼしたかのような巨大なオブジェを川岸に置くことで市民の注目を集めることに成功しました。

でも実は、海外だけでなく大阪でもそういった水辺でのイベントプロモーションは行われているとのこと。それはズバリ、南海電気鉄道が運営・管理している道頓堀・とんぼりリバーウォーク。これまで、映画「レッドクリフ2」などのプレミアイベントで使われてきました。最近では、なんとフェラーリが水上パレードをしたんだとか。

今回、大阪から参加された関係者の方は「これが大阪の日常」とのこと。大阪の水辺文化はかなり進んでいるようです。

06
映画のあのシーンを彷彿とさせます! これはよくできている!

このような水辺を使ったイベントプロモーション。上述の通りすでに世界中で多数行われていますが、なぜこれほどまで社会的に認められていて、むしろ好まれているほどなのでしょうか。

「それは公共空間を企業が使うという難解な合意形成にチャレンジするというフロンティア精神を市民が無意識に讃えているからでは。」

と滝澤さん。

なるほど、確かに。逆に、こうしたイベントプロモーションが社会的に受け入れられるかどうかは、その街の市民の「公共」に対する考え方やセンスにかかっているともいえそうです。

また、イベントプロモーションではありませんが、世界中で計画されている水上プールやパリ・プラージュ(期間限定で道路を砂浜にするイベント)も広告メディアのように使えるのではとの話も。

参加された警察関係の方も「率直に面白い」とコメント。これは実現化もありえるかもしれません。

07
この水上プール、日本でもできそうですね!

次に紹介されたのはビビッドシドニー。ビビッドアイデア、ビビッドミュージック、ビビッドライトという3つのコンテンツを同時に開催し街に盛り上げようというオーストラリア・シドニーのイベントです。シドニーは数十年かけて水辺を工業的な産業利用から魅力的な商業利用に切り替えていった都市。ビビッドライトを行うことによって、シドニーは行政も民間も一緒になって壮大なチャレンジができる都市だと世界中にアピールしているのです。

こうしたイベントは2020年にオリンピック開催を控える東京にとって参考になる取組みといえそうです。

08
シドニーの湾内が全てライトアップ! 圧巻だけど、合意形成も大変そう

また、ちょっと変わったプロジェクトなのがアメリカ・オレゴン州にあるBend Whitewater Park。どんな内容かというと、なんと今ある川の堰を取り壊して自然に戻すとともに、サーフィンしやすいうねりができる川底の形状になるように改造しようというもの。そして、その資金を集めるために専用のビールを売っているという、なんともオレゴン州っぽい発想!このように、通常は興味を持たれない公共施設整備に市民が関わりたくなるコンテンツと仕組みを取り込んでいるのです。

話を聞いていた国交省の方からは「公共事業のあり方として勉強になる。日本でもみんなで一緒にやってみたい。」とのこと。このプロジェクト、日本でもぜひ!

09
Bend Whitewater Parkについて解説する滝澤さん。アメリカのプロジェクトはスケールが大きい!

目からウロコ! 屋外広告と街の深〜い関係とは?

ここからは、街や首都高沿いにある屋外看板を所有し企業にPRの場を提供している株式会社ヒットの宮内さんからのプレゼン。

10
株式会社ヒットの宮内さん。首都高で新しい渋滞場所を見つけると嬉しいとのこと。

会社で扱っているのはアナログからデジタルまで大小様々な屋外看板だそうで、渋谷駅の目の前にある巨大な看板や渋谷の街中に点在する小さな看板群はこちらの会社の所有なんだとか。

11
渋谷駅前のシブハチヒットビジョンは日本最大のデジタルサイネージ看板。

今回、特に宮内さんが詳しく教えてくれたのは首都高沿いにある屋外看板について。実はこの看板、ランダムに設置されているわけではなく、首都高を走っている時に同じ側に並ぶようにしたり、渋滞が多いところに狙って設置しているとのこと。また、屋外看板と設置されている街の間には面白い関係があるんだとか。

「看板の価値が見られる回数のみで決まるのならば、一番交通量の多い首都高が走る街である池袋の看板が一番人気になるはず。でも実際は、池袋よりも六本木や渋谷の方が人気がある。どうやら街のイメージが広告のイメージに影響を与えるからのようです。六本木ヒルズを背景に自動車の広告を見ると自然と自動車もかっこよく見える、あの感覚ですね。」(宮内さん)

なるほど、つまり広告にとって設置する場所のイメージはとても大切ということ。これは魅力的な空間が数多くある水辺には朗報といえるでしょう。

12
首都高5号池袋線の青空の背景にした広告もかっこいいです!

屋外広告のプロに聞く! 水辺広告の価値はどれくらい?

最後は、グーグルリバービューを使ってまだ見ぬ水辺広告を妄想する時間です。今回、例として挙げたのは東京・隅田川沿いのスーパードライホール付近。ちょうど吾妻橋がかかっていたり首都高が走っていたりして、屋外看板を設置する場所としてポテンシャルが高そうです。

13
水辺広告を妄想するには最適な場所かも!

山名さんがワクワクして宮内さんに聞いてみるとこんなコメントが。

「橋は交通が集中するので看板をつけるには絶好の環境。ただ、単に看板だけでは注目度が低いので川岸に何か新たな施設を一緒につくると良いかも。例えばドッグラン。また、隅田川を走る船からの視線の数だけでは橋脚に看板をつけても価値は低い。橋の周りの看板と橋脚の看板をセットにしてクライアントに売り込めば面白がってもらえるかもしれない。」

なるほど。これは水辺に限らずですが、広告メディアの価値は、単に見てもらうだけでなく、いかに印象に残る体験をさせられるかによって決まるようです。参加された警察関係の方は

「水辺広告は道路標識の視認性に影響を与えない範囲なら問題ないと思う。むしろ、海外では水着姿の交通整理員が表示される看板によって速度超過が減ったという事例もある。水辺に限った話ではないが、広告の表現でも交通安全に寄与するという考え方ができたら面白いと思う。」

とコメント。

交通量の面では道路には敵わない水辺では、人が集まったり注目する企画と屋外広告をセットにした、エリア全体でのメディア化を図ることが重要そうです。

14
前代未聞の水辺広告について真剣にアドバイスしていただき、ありがとうございました!

単なる広告にとどまらない、水辺のメディア化によって生まれるもの

以上、今回のテーマ会議では、水辺広告の可能性について世界の事例や実際の場所を見ながら考えてきましたが、専門家や関係者からはかなり前向きな意見が出ていたように感じました。

また、会議全体を通して感じたことは、水辺が広告メディア化することによって、「市民・企業・行政」といったこれまで深くコミュニケーションできていなかった立場の異なる人達同士が出会い対話するきっかけが生まれているということ。「水辺広告」は実はそんな効果や役割もあるのかもと感じられた夜となりました。

15

All Photos by Tsubasa Endo

【イベント概要】

ミズベリング「広告」会議 第6回ミズベリングテーマ会議
日 時:2016年12月20日(火)19:00-21:30
会 場:3×3lab Future(東京都千代田区大手町1-1-2)
主 催:ミズベリング
ゲスト:株式会社ヒット屋外メディア開発チーム担当 宮内理司氏

本記事は、ソトノバの転載記事となっております。

Writer's Profile
ソトノバ

ソトノバは、「ソトを居場所に、イイバショに!」をテーマにしたパブリックスペース特化型ウェブマガジンです。
身の回りの街のソトを楽しく豊かに使いこなすために役立つアイデアや、国内・海外問わずパブリックスペース(ソト)の情報を発信します。
ぼくらはソトやパブリックスペースに関心ある、様々な若手のメンバーでチームをつくっています。仕事で学ぶ知識と経験に加え、自分たちの感性で感じるワクワクすることを、純粋な気持ちで届けています。
ソトをもっともっと楽しく!そんな未来をつくっていきます。
http://sotonoba.place

Mizbering © 2017 All rights reserved.