2016.05.30 Mon

川から横浜駅西口を変えていく「ミズベリング横浜西口会議」のまちづくりプロセス

川から横浜駅西口を変えていく「ミズベリング横浜西口会議」のまちづくりプロセス

横浜の商業施設集積エリアの中心を流れる水辺にて、ミズベリング会議を重ねた水辺のまちづくりの一年間の経過報告です。

川から横浜駅西口を変えていく「ミズベリング横浜西口会議」のまちづくりプロセス

まずは、ヨコハマニシグチのことを知ってみよう!

はじめにミズベリング横浜西口会議が舞台とするヨコハマニシグチのことを少しだけ紹介します。ターミナル駅である横浜の西口エリアは、店舗や飲食店が多く集まり若者を中心に賑わいます。さらに近年は、駅の再開発が加速し、日々大きく姿を変えている場所です。そんな商業カラーのイメージが強いエリアですが、実は駅から7~8分も歩けば住宅が多い落ち着いた雰囲気が広がるのです。

そんなヨコハマニシグチ、中でもパルナード通りを軸に広がる南幸地区とその先の岡野町の一部は帷子川とその派川である新田間川・幸川に囲まれた孤島になっていることをご存知でしょうか?一見、建物が多く、東口に比べると水辺の印象が低い西口ですが、実は立派な水辺エリアなのです。
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アイディアブレストからアクションまで!ミズベリング横浜西口会議がやってきた1年間をダイジェスト!

さて、ヨコハマニシグチの水辺事情が分かったところで、本題であるミズベリング横浜西口会議のレポートとしましょう。2015年4月17日の第1回ミズベリング横浜西口会議から2016年4月16日の第4回会議までの1年間、アイディアブレストやまちあるき、さらには当会議の主催である、横浜西口エリアのまちづくり団体「横浜西口元気プロジェクト」による夏まつりなど、実際のアクションも起こしてきました。

第1回ミズベリング西口会議では、ここヨコハマニシグチの水辺でどんなことができるのか、したいのか、テーブルを囲んだアイディアブレストを実施。
楽しくゴミ拾いを行い気持ちの良い水辺にしようという「リバークリーン大作戦」や、このエリアから外せない高校生を巻き込んだ水辺のライブ「カタビ・ライブ・プロジェクト」。さらには、アユが遡上する帷子川を目指そうといった「AYUプロジェクト」等、すぐにアクションで来そうなことから夢が広がる大きなプロジェクトまで、そのアイディアの視点は幅広いものでした。そしてこれらのアイディアは、「ミズベリング横浜西口会議アイディア集2015.04」として1枚の冊子になりまとめられています。
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その後5月3日に開催された第2回会議では、実際にまちにでて皆さん一緒に川沿いを一周まちあるき。長くこの地を知る地元の方と改めて歩くなんてそうそうない経験で、「昔は、あそこから川を降りてよく遊んでいたもんだ」なんて貴重なおはなしが聞けたのも、このミズベリングならではのこと。その後のワークショップでは、やりたいことの課題とそのための解決法をチームごちい議論しました。

さらに10月23日の第3回会議では、川を楽しむうえで知っておかなければならない「治水」に関する取り組みについても、河川管理者の県を講師として招き、学んできました。また、ワークショップの中で、みんながやりたいアイディアそれぞれについて、河川管理者や企業、住民など様々な立場に成りきって、分析する「ロールプレイ」を行いました。

そんな会議と並行して、横浜西口元気プロジェクトでは、昨年8月に「横浜西口夏まつり」を開催。帷子川の上中下流に生息する生き物を展示した「横浜西口ミニ水族館」や水辺荘の協力による「SUP」を実施。特に、メイン軸であり人通りの絶えないパルナード通りに交差する幸川でのSUPYOGAは、横浜駅のど真ん中の川に人が下りている!?という強烈な印象を通過する人にも与えたのではないでしょうか。その他にも、冬には横浜駅西口振興協議会と共催で新田間川のイルミネーションを実施。これらはすべて横浜西口会議で出たアイディアなのです。

このようにアイディアブレストとアクションを重ねた一年。これまでの総括として、将来的なビジョンをまとめるべく2016年4月16日に第四回ミズベリング横浜西口会議が開催されました。


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中:横浜西口夏祭りでのSUPクルーズ&ヨガ、下:ビブレ前に出現した帷子川ミニ水族館は子供たちに大人気

横浜に大阪のミズベリストがやってきた!大阪から学べ、ヨコハマニシグチを動かすヒント。

第四回ミズベリング横浜西口会議でゲストとして招かれたのは、今や日本の水辺活用先駆都市大阪より、水都大阪パートナーズプロデューサー・佐井秀樹氏と忽那裕樹氏の御二方。アイディアが蓄積され、次なるアクションに向けて進んでいこうという横浜西口会議にとって、アグレッシブに水辺活用を仕掛ける御二方より直に聞けるのはすごく貴重!水都大阪の取り組みについて知っている方は多いと思いますが、普段は、なかなかできない仕組みや想いについてお話ししてくださいました。しかも、さすがなにわのトーク!面白く、熱いお話でした。

―立場を超えて意見を交わす。イベントで終わらせない、日常化へ導く体制づくり

まずは佐井さんより、水都大阪パートナーズ設立のきっかけとなった「水と光のまちづくり推進会議」から現在に至るまでの取り組みについてご紹介が。

近年の大阪の取り組みは、ラバーダックや北浜テラスを筆頭に、とんぼりリバーウォークに中之島GATEなど、どれもインパクトが強いものばかり。
では、なぜこれが実現したのか?そのヒントはやはり、議論の核となった「水と光のまちづくり推進会議」が府・市・経済界が一体となった組織体制をとっていたことが大きいようです。佐井氏は、そこにいた人それぞれが目指す目標を一つに掲げ、立場や肩書を忘れ理想の大阪について議論できたことが成功の要因であったとお話ししてくださいました。

さらにこの取り組みをただのハード整備や一時的なもので終わらせないため立ち上げられたのが「水都大阪パートナーズ」でした。「水都大阪パートナーズ」では、民間投資を得て継続的なものとしていくため、その第一歩となる大阪の水辺が持つ価値・魅力を発見し、プロモーションを行い、企業や市民の中に理解者をみつけてきたのです。
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―使いこなしてなんぼでしょ。楽しむだけではない、大阪では水辺を使いたい市民が殺到している!?

一方、忽那さんからは、木津川遊歩空間プロジェクトや水都大阪フェスのお話を中心に、住民と行政とのプラットホームづくりに関するお話。忽那さんは、課題を解決するうえで、「環境デザイン」「サスティナブルシステム」「アクティビティプログラム」これら3つを一体にする仕組みづくりが大切といいます。

「木津川遊歩空間プロジェクト」では、デザインコンペや住民WSなどの手順を踏んでおり、その狙いは「市民も育てる環境づくり」であると忽那さんはいいます。地域性など考えられず結果的にどこの土地でも同じハコばかりつくられてしまう従来の「結果の平等」という考えから、提案の窓を広くし「機会の平等」を与えることで、そのプロジェクトについて真剣に考える人を多く生み、質の高い案が集められるのです。だからでしょうか?紹介される取り組みは、どれも楽しそうでうらやましさすら感じるものばかり。きっとそれは、みんなが自分事として考え、水辺を使いこなしている証拠です。

しかも市民から「あんなことやっている人いるなら、こんなことやらせてよ!」という声が実際にあるというから驚き。市民をうまく巻き込む仕組みづくりをしていることもさることながら、今やそれに反応しオモテに出てくる市民が大阪にはたくさんいるのです。「使いこなしてなんぼでしょ!」忽那さんの一言がものがたるように、大阪ではこれまで仕掛けた取り組みが火種となり、再び自発的な取り組みがアメーバ状に広がりをみせているのです。
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水の中の住民、横浜市西区帷子川在中の生物たち。

さて、今回の会議では、これまでの会議で出てきたキーワードの一つ「生物」に関する調査報告も。ヨコハマニシグチでの水辺活用アイディアの中には、「生物観察をしたい」「水族館にできないか」など実際に帷子川に生息する生物に触れたいという意見も多く出てきました。そこで今回の会議に先立ち、今年2~3月にかけて実施されたのが、帷子川・幸川・新田間川の5ポイントでの「流速調査」「水質調査」「生物調査」です。

実際に生物調査を行ったKOKOPELLI+の寺田浩之氏による「帷子川環境調査結果報告」。このエリアを知っている人の第一印象は、川は汚く生物なんていないイメージを持つ方も多いかもしれませんが、水質調査による透視度は1m以上、さらに、11種類の生物がいるというから驚き。そう、実はこのエリアの川は皆さんが思うより何倍もきれいなのです!

特に生物に関しては、きれいな川でないと生息が難しいハゼ系の魚やエビが生息していることも明らかに。寺田さんは、「魚が少ないといわれる冬の時期にこれだけの生物が見られたことは予想を上回る結果であった」と話す一方で、「それら生物の住処となっているのは川に投げられたごみであることや藻が貧弱であることが課題である」と言います。ごみに頼るのはよくない、今後、今いる帷子川在住の生物たちが本当に快適な川としていくために、我々の新たなミッションがみえた調査報告でした。
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次はなにする?動かそう、ヨコハマニシグチの未来。

それにしても、なんて密度濃い会議!!最後は、水辺総研の岩本唯史氏・滝澤恭平氏より、これまでの一年間の議論を踏まえた「これからのミズベリング横浜西口会議のビジョン、長期目標」が打ち出されました!
―女子会の水辺
―商談で落とす水辺
―簡単におりられる水辺
―生き物を体験する水辺

などなど、これまでのアイディアがイラストになって、より具体的でリアリティあるものに。
さらにそれぞれのアイディアが総括された、水辺を活用しまくったヨコハマニシグチの未来の描も。
こうやって1年間の積み重ねを振り返ると「水辺で飲みたい」「水辺に降りたい」「川で泳ぎたい」など、皆さんの水に近づきたいという共通項が見られてきました。
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未来アクション枠
これまでのミズベリング横浜西口会議での意見を踏まえて描かれた、未来に起こって欲しいアクション。ペルソナごとに14枚のスケッチとして提示されたものの一部を紹介

一方で、楽しく水辺を使う上で忘れてはならないことも。そう、第3回でもテーマで取り上げた「治水」です。特にこのエリアは、埋め立て地であることや川が多く通ることから、過去に何回もの浸水を受けた場所でもあります。

今回のビジョンではそんな「安全と楽しみが両立する水辺」に対するアイディアも組み込まれています。それは、本流である帷子川から、活用のメインとなる支流の新田間川・幸川を水門によってコントロールをするというもの。これは、実際に横浜市による横浜駅周辺地区のまちづくり計画「エキサイトよこはま22」にも組み込まれており、今後、さらに具体的検討を進めていくべき重要項目なのです。
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親水性を確保するための水門のアイディアと、ワークショップの意見を踏まえて描かれた横浜西口の水辺まちづくりの未来ビジョン。

さて、ビジョンの実現に向けスタートダッシュに立った今、計画の中にはハード面の整備など長期間で進めていくべきこともありますが、明日から実施できるアイディアもたくさんあります。川そうじなど、まずはできることからやっていくことで、少しずつでも水辺をきっかけにヨコハマニシグチを変えられること、一緒に変えていこうということを市民にインプットしていくことが大事なのかもしれません。
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水がきれいになり、生き物が豊かになることを土台として、水辺のまちづくりを進めていく帷子川グリーンリバー戦略

そして、もう一つ大切なこと。それは、まさに水都大阪の取り組みが教えてくれたように、あらゆる立場の人が一つのテーブルに集まって議論をすること。横浜駅という、あらゆる層の人が行き交う場所であるからこそ、ヨコハマニシグチのことを一つのテーブル語れる拠点・体制づくりが必要なのかもしれません。

photo by 横浜西口元気プロジェクト実行委員会、KyoheiTAKIZAWA、ShihonaARAI

(本記事はソトノバに掲載された記事を基にした転載となります。)

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